2020年12月30日水曜日

職員労働組合・横浜市従大学支部 2020-2021年度 活動方針について

12月4日、2020-21年度の職員労働組合・横浜市従大学支部の大会を開催し、活動方針について下記の通り決定しました。


職員労働組合・横浜市従大学支部 2020-21年度 活動方針

  1. 働きやすい職場環境の確保への取り組み

    社会環境の激変とそれに伴う大学への要求の多様化、公的助成の削減など日本の大学を巡る環境は年々厳しさを増しています。特に横浜市立大学においては、法人化以降、全員任期制の導入、国立大学の比ではない大幅な経費の削減、市OB・市派遣幹部職員への経営権の集中による非効率な業務の増加と現場負担の増大など、国立大学法人、多くの公立大学法人に比べ非常に不安定な経営環境下に置かれることになりました。労働契約法の改正と法人化以降の取り組みの結果、固有常勤職員の任期制は廃止されたものの、それのみで固有常勤職員をめぐる諸問題が解決されたわけではなく、人材育成、人事評価、労働時間等の職場環境に関する多くの問題が残されています。雇用契約法改正による非常勤職員の一般職への移行に関しても、給与の改善は伴わないままの責任と負担のみの増が懸念され、新たに設けられた有期雇用職員から一般職への転換に関する公平性への疑念、一般職における短時間勤務とフルタイム勤務における時間当たりの給与格差など幾つもの問題が残されています。また、財政の膨張を支えていた附属病院経営の悪化と今期中期計画における経営拡大方針により法人の財務状況は急速に悪化しつつあり、固有常勤職員の給与体系の変更や教員に対する給与・賞与・退職金の削減提案など、そのしわ寄せが早くも人件費に及びつつあり、消費税引き上げ、附属病院における無給医問題による問題のさらなる深刻化も予想されます。過去の若年層の極端に偏った固有常勤職員採用と「法人財政の厳しさ」を謳いながら同時に行われている近年の経営拡大という構造的要因により、今後、法人の経営はさらに悪化することが予想されます。組合の警告に耳を傾けることなく実施されたこれらの施策のつけを、経営責任を問うことなく一般教職員、そして学生に転嫁することは容認できるものではありません。さらに今回の新型コロナ禍は、在宅勤務など労働環境の激変をもたらしていますが、来年度以降、雇用環境へも影響が拡大する可能性が高くなっています。

    大学に働く職員の職域を代表する労働組合としてこれらの問題に取り組み、法人化時の「固有職員の処遇は市職員に準じる」という労使合意を遵守させるとともに、職員の労働環境の改善、安心して働ける職場の確保に全力を挙げます。
  2. 組織拡大への取り組み

    法人化以降、市派遣職員の引き上げ・退職に伴う組合員の減少が続いていましたが、常勤・非常勤の固有職員の加入により減少に歯止めがかかりそうな様子も見えてきました。とは言うものの、大学にとどまっている市派遣職員は漸次退職を迎え、固有職員の組合員については、常勤職員、非常勤職員とも様々な問題を抱え、かつ多忙化により目前の業務以外に目を向けるゆとりさえ失いつつある状況で組合の維持・拡大は依然として容易ではない状況です。また、若年層に広くみられる、労働環境や雇用条件等に問題を感じる場合、労働組合に加入して職場の改善に地道に取り組むのではなく転職を選択するという傾向は本学においても共通しており、固有職員組合員の退職による組合の脱退も続いています。組合ニュース【公開版】を通じた情報提供、問題提起等によりプロパー職員の組合に対する信頼・期待は高まっていますが、これを新規組合員の獲得・組織の拡大へとつなげていく必要があります。特に、近年は新規職員の一括採用が無くなり、これに合わせて実施していた広報・勧誘活動も行われない状態が続いているため、これらの取り組みの立て直しを図ります。また、職場集会、学習会などを通じてずらし勤務の試行導入や業務の多忙化で難しくなっている組合員相互の交流を確保・促進し、組合の基盤を強固なものとします。
  3. 常勤固有職員の給与体系変更、人事考課制度変更問題への取り組み

    2017年度来、交渉を行ってきたこれらの問題については一昨年8月、9月に相次いで大枠で合意しました。しかし、制度の具体的設計、運用等に関しては懸念すべき点が残っており合意時に確認した一定期間経過後の検証も含め、引き続き制度化と運用について注視して行きます。また、市職員との処遇差が生じている住居手当に関しては、一昨年来、たびたび交渉再開を求めているにも拘らず、以前として交渉が行われないままとなっており、引き続き交渉再開を求めるとともに格差の解消に取り組みます。
  4. 嘱託職員、契約職員の一般職への移行に伴う問題への取り組み

    雇用契約法改正による非常勤職員の一般職への移行に関しては、一昨年7月に大枠に関して合意しましたが、その時点で本学嘱託職員と横浜市嘱託職員で月額4万円以上に格差が拡大していた給与についての改善は実現しませんでした。それにもかかわらず、正規職員化に伴い責任と負担のみの増が懸念される状況で、また、制度変更後の有期雇用職員から一般職への転換に関する公平性への疑念、一般職における短時間勤務とフルタイム勤務における時間当たりの給与格差など幾つもの問題が残されています。短時間勤務契約でありながら超勤の恒常化により実態としてはフルタイム勤務となっているにもかかわらず、この時間当たりの給与格差により、超勤手当を合わせても同じ時間働いたフルタイム契約の一般職より給与が少ないなどの問題も発生しており、これらの問題の解決を求めるとともに、横浜市嘱託職員並みの給与の獲得を目指して取り組みを継続します。
  5. 大学専門職の雇用問題への取り組み

    大学専門職制度は、国内の大学関係者等の大学職員の高度化への要請に対する先進的取り組みとして導入されたものでしたが、法人化直後から大学の経営権を事実上掌握した市派遣幹部職員によって、その趣旨を無視した制度運用が行われ、告発本の出版など様々な問題が起こってきました。組合執行委員でもある大学専門職2名についても3年ごとの契約更新の度に様々な問題に見舞われ、前回の契約更新に際しては、「学務教授」への変更について、教員、固有職員、横浜市職員に比して著しく均衡を逸した実現困難な基準を一方的に示すなど、職員の高度化や専門化とは相反する人事政策上の動きが続いています。労働契約法の規定により無期雇用転換権が発生しているため、任期制の問題は法人の方針とはかかわりなく強制的に解決されることになりましたが、高度専門職としての適正な処遇を求め、今後も取り組みを継続します。
  6. コンプライアンスに基づく労使関係確立への取り組み

    1.でも記したよう法人化以降積み重ねてきた交渉や組合ニュース【公開版】等を通じた指摘がある程度の影響を及ぼした模様で、法人化後の数年間の状況に比べれば担当者レベルでの対応に関してはある程度の改善が認められるものの、法人化後、事実上人事権等を掌握する市派遣幹部職員の労働3法、労働契約法を始めとする関係法令、制度等への知識・認識の不足が本学の労使関係の底流を流れており、それが人事制度、制度運用、個別の雇用関係トラブルに大きく影響を与えています。ただし、一昨年度来、政府の労働政策上の修正を反映したものと思われる労働基準監督署からの厳しい指導があり、法人としても組合との関係も含め法令順守の姿勢を示さざるを得ない環境下に置かれています。これも追い風として関係法令及びそこで保障された労働者・労働組合の権利の尊重に基づく労使関係の確立を求め取り組みを続けます。
  7. 新型コロナ禍による雇用労働環境への影響に対する取り組み

    新型コロナ禍により、大学では民間企業などと同様に広く在宅勤務が行われるとともに、学生への教育の短期間でのオンラインへの切り替え、経済的困難におちいった学生への支援措置などの新たな取り組みが必要となりました。これに伴う労働環境上の問題については、すでに複数回にわたって当局側に対して要求や交渉を行っていますが、在宅勤務についてそもそもそれが業務命令によるものであることを否定するなど、非常時であることを考慮しても当局側の認識や対応には不審な点が目に付き、様々な問題が残されたままとなっています。さらに来年度には大学、そして設置者である横浜市の財政悪化に伴い、雇用環境についても影響が出てくることが予想されます。適切な労働環境の確保と雇用環境の維持を目指して取り組みを続けます。
  8. 横浜市従本部、教員組合等との連携

    本学の労働環境は、法人プロパー教職員にとって非常に厳しい状態が続いています。横浜市従本部、病院組合、近年、金沢八景キャンパスにおける諸問題について共同で要求、交渉を行うことが増えている教員組合等との連携を深めつつ、山積する問題に取り組んでいきます。
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1月からの八景キャンパスの新しい36協定について

2020年12月31日で現行の36協定が期限切れを迎えるため、2021年1月1日から3月31日までの八景キャンパスの新しい36協定が締結されました。現行の協定は、新型コロナの影響で始まった在宅勤務に十分に対応したものとなっていないのですが、この点について、在宅勤務の際の残業の取り扱い(この点についてはこれまでも報じてきたように、組合の要求に対して当局側は「残業は認めていない。したがって残業は存在しない」というスタンスを取ってきました)、および在宅勤務にかかる経費の負担(この点についても当局側は「在宅勤務は業務命令に基づくものではないので法人が経費を負担する必要はない」という事実に反するアクロバティックな主張を展開してきました)を含め、来年度からの在宅勤務の制度化に向けて組合と協議することが約束されたため、とりあえず年度内に関してはこれまで通りの内容とすることを認めたものです。

内容は以下の通りです。

時間外労働及び休日労働に関する労使協定書

公立大学法人横浜市立大学(以下「法人」という。)と金沢八景キャンパス事業場の職員の過半数を代表する者(以下「八景キャンパス事業場過半数代表者」という。)は、労働基準法第36条第1項に基づき、時間外労働及び休日労働に関し、次のとおり協定する。

(定羲)
第1条 この協定において「時間外労働」及び「休日労働」とは、次に掲げる労働をいう。
(1) 時間外労働とは、法定労働時間を超えて行う労働及び勤務を要しない日に行う労働をいう。
(2) 休日労働とは、法人職員就業規則第40条に規定する休日に行う労働をいう。

(時間外労働・休日労働を必要とする場合)
第2条 法人は、次のいずれかに該当するときは、時間外労働又は休日労働を命ずることができる。
(1) 対外的事由により、法定労働時間内にその業務の実施が不可能なとき
(2) 入学試験、就職等の学生支援業務が集中し、法定労働時間内の勤務では処理が困難なとき
(3) 入学試験関連業務を行う必要があるとき
(4) 契約等により時期の限られた業務を実施する場合であって、作業を予定どおり進捗又は完了させるとき
(5) 専門的な技術、知識、経験等を必要とする業務を行う場合であって、その業務の処理を他の職員に代替させることができないとき
(6) 災害又は災害発生のおそれのある時など、臨時に作業を行う必要があるとき
(7) 各種システムの運用、操作等を行わなければ法人の運営に支障がでるとき
(8) 緊急を要する施設管理・補修のための業務を行う必要があるとき
(9) 決算に関する計算及び書類作成を行う必要があるとき
(10) 月内、期末等の経理事務等が繁忙なとき
(11) 各種行事又は会議の資料作成及びその他行事・会議開催に係る業務を行う必要があるとき
(12) その他前各号に準ずる事由が生じたとき
2 職員は、正当な理由がある場合には、時間外労働及び休日労働を拒むことができる。

(時間外労働及び休日労働を必要とする業務の種類及び職員数)
第3条 時間外労働及び休日労働を必要とする業務の種類及び職員数は次のとおりとする。
(1) 事務系職員 140 人
(2) 技術·医療技術系職員 7 人
(3) 医務系職員 2 人
(4) 教員 l35 人
(5) 非常勤職員 51 人
(6) 非常勤教員 15 人

(延長することができる勤務時間数)
第4条 この協定によって延長することができる勤務時間数は、次のとおりとする。
(1) 1日につき4時間
(2) 1か月につき45時間以内
(3) 1年につき360時間以内

(勤務させることができる勤務を要しない日及び休日数)
第5条 この協定によって延長できる、勤務を要しない日及び休日(以下「休日等」という。)数は1か月につき4日以内とする。

(休日等勤務の時間数の限度)
第6条 前条の規定により休日等に勤務させることができる時間数は、1日の休日等につき8時間以内とする。ただし、必要と認められる場合には第4条第1項第1号で定める1日の延長時間の範囲内において延長することとするが、第4条の各号の延長時間には算入されない。

(限度時間を超える時間外労働)
第7条 法人は、第2条第1項各号に掲げる業務に従事する職員のうち、一時的又は突発的に第4条に定める限度時間を超えて業務を行う必要がある場合であって、その業務が次号に掲げる事由に該当する場合には、労使の協議を経て、年6回を限度として、第4条各号に関し1か月80時間まで及び1年につき720時間まで延長することができる。
(1) 入学試験、定期試験、卒業・進級判定に関する業務
(2) 学部設置認可申請・届出に関する業務
(3) 緊急を要する学生への対応業務
(4) 予算・決算業務
(5) 3月・4月の採用・退職手続き及び年末調整業務
(6) 大規模災害の発生時対応
(7) 重大な施設(電気、機会、機器等)のトラブル対応
(8) 大規模な施設の改修
(9) 大規模なシステムの改修の業務
(10) 臨時かつ緊急対応が求められる市会業務及び外部機関への対応
(11) 公的機関による立入調査のうち臨時に実施されるものへの対応
(12) 時限的なプロジェクトに関する業務
(13) 国・県等の補助金事業への申請・事業報告等の対応
2 前項を適用した場合において、法人は当該職員の健康・福祉の確保のため、次の各号に掲げる措置を実施する。
(1) 保健管理センターによる相談
(2) 産業医等による助言・指導や保健指導

(時間外労働の割増賃金率)
第8条 時間外労働の時間数が1か月45時間を超えた場合又は1年360時間を超えた場合の割増賃金率は2割5分とし、1か月60時間を超えた場合の割増賃金率は5割とする。

(育児又は家族の介護を行う職員の時間外労働等の制限)
第9条 第4条、第5条及び前条の規定にかかわらず、育児又は介護を行う職員が請求した場合には、法人職員の育児・介護休業等に関する規程第20条、第20条の2及び第21条の規定により、時間外労働及び深夜勤務を制限する。

(有效期間)
第10条 この協定の有効期間は、令和3年1月1日から令和3年3月31日までとする。


令和2年12月22日

公立大学法人横浜市立大学 理事長 二見 良之

金沢八景キャンパス事業場過半数代表者 小幡 敏行


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2020年10月30日金曜日

SKYSEA Client View導入に関する団体交渉結果について -ネットワークセキュリティ確保以外の目的には使用しないことで合意-

前回前々回の組合ニュース(公開版)でお伝えした「SKYSEA Client View導入」に関して組合が団体交渉を求めていた問題について、決着したのでお知らせします。
  1. 組合が懸念していた、導入の目的とされている「ネットワークセキュリティ確保」以外の「職員の監視」に使用されるのではないかという点に関しては、当局側から「現時点で契約しているのは『Light Edition、オプションなし』で、組合が懸念する画面操作録画などの職員を監視する機能は付いていないか使用できない」との説明がありました。

  2. また、その説明を受けて、たとえ現時点ではできなくても、Editionの変更やオプションの追加で可能になってしまうため、今後も使用は「ネットワークセキュリティ確保」のための範囲に限定し、機能の追加は行わないことを保証してほしいとの組合の求めに対しては「本来の目的であるネットワークセキュリティ確保以外には使わない。疑義があった場合や変更をする場合は、組合に説明をする。」との回答がありました。

  3. 上記2点が最終的に確認できたため、組合としては今回の「KYSEA Client View導入」については反対しないこととしました。

 これにより、「SKYSEA Client View」が職員の監視のような目的で使用される心配は当面なくなったことをお伝えします。

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2020年9月27日日曜日

従業員監視ソフトの導入の何が問題なのか

SKYSEA Client View の導入に関し、組合として急遽団体交渉を要求したことについては先週の組合ニュース(公開版)の通りですが、もう少し、その何が問題かという点について書いてみようと思います。

と言っても、ちょうどおあつらえ向きに組合の懸念している問題点について、世界的に高名な経営学者が新型コロナ禍のリモートワークと絡めて書いている文章があるので、直接的な問題点についてはその紹介をもって代えようと思います。

スタンフォード大ビジネススクールの教員で、国内でも「悪いヤツほど出世する」「ブラック職場があなたを殺す」「影響力のマネジメント」「なぜ、わかっていても実行できないのか 知識を行動に変えるマネジメント」「人材を活かす企業」等多数の翻訳書が出ているジェフリー・フェファー教授が書いた「要注意!社員を『リモート監視』する会社の末路」という文章が東洋経済オンラインに8月19日に掲載され、さらにYAHOO!ニュース等、多数のサイトに転載されています。

詳細は上記サイトをご覧いただいた方がいいと思いますが、サブタイトルだけでも内容は十分に想像できるので以下列挙してみます。
「急成長する『従業員の監視会社』」
「1.組織が効果的に機能するために最も重要な要素は『信頼』」
「従業員の監視は今に始まったことではない」
「2. 監視は信頼を損なう」
「3. 企業は細かな行動ではなく、結果を評価するべき」
「従業員への信頼度が低い会社で働く弊害」
「4. 監視はストレスや健康問題の原因」

どうでしょうか?世界的に高名な研究者が過去の研究も紹介しつつ展開している主張と導入を必要と主張する側、どちらが説得力があるでしょうか?

ついでにいくつかの文章も引用してみます。

「88店舗の小売店を対象に行われた長期調査から、従業員が経営陣に信頼されていると感じている場合、その売り上げやカスタマーサービスのパフォーマンスは上がることが判明しました」
「就業年齢にあるアメリカ人1202人のうち23%が、リーダーが信頼できれば、もっと多くのアイデアや解決策を提案すると回答しています。」
「従業員を厳しく監視する企業の行動は、従業員は監視しなければ仕事をしないという、会社の信頼のなさを示しています。」 「これは、会社側が、監視や指示によって業務が円滑に回ると信じているからです。社会心理学者ロバート・チャルディーニや私は、これを『監視信仰』効果と呼んでいます。」
「ところが実際には、監視によって、会社に対する従業員の信頼が損なわれます。」
「企業は、物事を遂行させるために人を採用しているのだと思います。必ずしも、一定時間の労働や特定の行動をさせるためではないはずです。定常作業の自動化が増え、問題解決能力やクリティカルシンキングなどのソフトスキルの価値が大きく増している現在ではなおさらでしょう。」
「従業員は(中略)監視が必要な小さな子どものように扱われたいとは思っていません。」
「信頼度の低い企業で働く従業員と比較して、信頼度の高い企業で働く従業員は、ストレスが74%低く、職場での活力が106%高く、病欠が13%少なく、バーンアウトが40%少ないことが分かりました。」
「自由という感覚を奪うことが、従業員の健康や活躍に非常に重大な影響を与えることに加え、厳しい監視は、上司に対する部下の信頼や部下に対する上司の信頼を損ねてしまいます。信頼の文化は、監視を増やすのではなく、減らすことにかかっています。」

さて、今回のSKYSEA Client View導入に関して直接的に言いたいことは、このようにほぼジェフリー・フェファー教授が既に指摘されていました。あとは、公式の導入理由に照らせばオーバースペックに見える、決して安価ではないであろうシステムを大々的に導入するくらいなら、より限定的で安価なシステムにして、その分の費用は経済的困難を抱えている学生の支援に回した方が良かったのでは、とか、遠隔授業のための教員、学生の支援に回すべきだったのでは、あたりでしょうか。労働組合的には、横浜市に大きく劣る一般職、有期雇用職員の待遇改善やこれまた横浜市と大きく差が開いている固有職員総合職の住居手当改善に回す、というのでも別に構いませんが。

もう一つ、個人的に何とも言えないばかばかしさを感じる点について付け加えておきます。

必要があって昨年、経営学者である太田肇同志社大学教授の著書を読み漁ったことがありました。

太田先生は、長年にわたって日本の組織と個人の関係に焦点を当てた研究を行っていらっしゃいますが、近著「なぜ日本企業は勝てなくなったのか:個を活かす『分化』の組織論」で、日本企業が勝てなくなった要因として、①工業社会では、均質で協調性、勤勉性を備えた人材が重宝され、日本企業という「共同体型組織」はこのような人材を獲得、育成し、標準的な意欲と能力を引き出すのにきわめて効率的だった、しかし、②IT化、ソフト化、グローバル化が同時進行するポスト工業社会に入ると、一転して創造性、革新性、感性、ユニークな人間性といった、自発的で質の高いモチベーションで発揮される能力や資質が重要になり、「共同体型組織」という日本企業の特徴は逆にポスト工業社会への変化への適応の妨げになっている、と指摘しています。

今回の事態を太田先生の論旨に当てはめると、工業社会に適合的だった「共同体型組織」がポスト工業社会を駆動するIT化には適応できずに衰退する社会の中で、 遅れを取ったIT化への適応のために「共同体型組織」の在り方や個人の働き方を変えようとするよりも、「共同体型組織」の管理統制強化、その手段としてITの利用拡大を図っている、という図式になります。その倒錯性に気づく人が何人いるでしょうか。

(菊池 芳明)
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2020年9月24日木曜日

SKYSEA Client View導入に関する団体交渉要求について

9月14日、事務局から職員に対して「今月中にSKYSEA Client ViewをPCにインストールするように」というメールが送られてきました(すべての部署ではないという情報もありますが、組合では全容を把握していません。また、今回は教員、学生が利用する教育研究系のネットワークはとりあえず対象外のようです)。

このソフトについては、メールでは「管理用ソフト」であるとし、導入目的は不正なPCのネットワークへの接続を監視する、ウィルス感染の際の調査としていますが、このソフトの機能はそのような範囲にとどまるものではなく、実態としては職員のPC内のすべての情報とPCを使って行われるすべての挙動を監視する「従業員監視ソフト」とでも呼ぶべきものです。

そのようなソフトを導入し、職員をいわば囚人のような常時監視下に置くことは職場環境として著しく不健全、問題のあるものであり、労使関係上も看過すべきではないと判断したため、急遽、当局に対して理事長、事務局長との団体交渉を要求しました。要求書は下記のとおりです。

なお、「SKYSEA Client View」については

「クライアントPC を丸裸にするIT資産管理ソフト『SKYSEA Client View』」

「機能一覧」

「組織内のネット素行を監視しているつもりが機密情報ダダ漏れに貢献してしまったというお粗末」

あたりをご覧ください。

また、このようなことになるため、以後、組合に対する連絡、特にハラスメントの相談、残業実態に関する情報等、組織の負の側面に関わるものについては、組合のgmailのアドレス宛てに送るようにして、執行委員の大学のアドレス宛てには絶対にしないよう気をつけてください。発信者と内容がチェックされる危険があります。

また、返信が必要な場合、プライベートのアドレスを記入してください。同様の理由で、組合からの返事を大学のアドレス宛てに送るわけにはいきませんので。
不自由な話ですが、くれぐれもご注意をお願いします。


2020年9月18日
公立大学法人 横浜市立大学
理事長 二見 良之 様
横浜市立大学職員労働組合(横浜市従大学支部)
委員長 三井 秀昭

SKYSEA Client View導入に関する団体交渉要求書

市民から期待され信頼される大学教育と運営の確立に向け、日頃の取り組みへのご尽力に敬意を表します。

さて、9月14日にICT推進課より職員に対して「端末管理エージェントソフト(SKYSEA Client View)をインストールする」よう連絡がありました。

導入の目的は「事務ネットワーク内で不正な端末やソフトウェアが使われることを防ぐとともに、セキュリティ上のインシデントが発生した際の調査を行えるようにする」とされていますが、SKYSEA Client Viewの機能はそのような範囲に限定されるものではなく、実際にはインストールしたPC内のすべてのファイル名の収集、PCの挙動のすべてのリアルタイムの監視が可能な「従業員完全監視ソフト」ともいうべきものです。

掲げられた目的だけであれば、インストールしたPCのあらゆる挙動の把握、キーロガー機能、画面キャプチャ機能、PC内のあらゆるファイル名の収集・検索機能などはオーバースペックであり、スパイウェアと同様の機能を実装する必要があるのかは疑問です。

このようなソフトを導入し、PC稼働中のあらゆる挙動を監視可能とすることは、組織の基本原理を信頼から不信へと変更することに他なりません。このような不信に基づく監視は、組織が効果的に機能するために最も重要な従業員の組織への信頼を損ね、さらには従業員の健康をも損ねることはこれまでの複数の研究でも明らかにされています。

本学は法人化以降、(市派遣職員を除く)全員任期制の上に上意下達を基本とするガバナンスを取り、多くの教職員が次々と退職していきました。近年、そのような惨状がある程度落ち着いたのは、現理事長の方針によるものと組合として評価しています。

しかしながら今般のSKYSEA Client Viewの導入は、そういった環境を一変させかねないものです。

不信に基づく看守と囚人の関係ごときガバナンスへの転換へと至らないために、10月1日より運用されるSKYSEA Client Viewの機能を、導入目的として掲げている「事務ネットワーク内で不正な端末やソフトウェアが使われることを防ぐとともに、セキュリティ上のインシデントが発生した際の調査を行えるようにする」に必要な最低限のレベルに局限し、職員のPCの使用状況の常時監視は控えることが健全な組織運営として必要です。

情報システムの在り方だけでなく労使関係全体の基本原則の在り方に関わる問題であり、経営者による責任ある説明と交渉が必要であることから、法人理事長及び事務局長を交渉委員とする団体交渉を申し入れます。

9月24日までに文書をもってご回答ください。



1.日時    2020年9月28日18時より
            
2.場所    両者協議の上決定

3.交渉委員  当局側 法人理事長、事務局長
        組合側 職員労働組合執行委員、横浜市従本部執行委員

4.交渉事項  SKYSEA Client Viewの機能の限定的運用について
          
以上

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2020年8月8日土曜日

在宅勤務でも時間外労働(残業)は記録、申告しましょう

 4月9日付「組合ニュース公開版」の記事「新型コロナウイルス感染拡大に対応した大学部門の全教職員原則テレワーク化について」で、「4月9日から教職員は全員原則テレワーク」という法人の方針について組合が8日に当局側より説明を受け、その場で11事項に及ぶ指摘、要望を行ったことをお知らせしました。

 今回は、これらの項目のうち3番目に記した「緊急事態であるからこそ超過勤務を余儀なくされる事態が発生する可能性は高いが、逆に『超過勤務を命じることが出来ない』として超勤は存在しないものとしてしまっている。現実と適合しないことをすればサービス残業につながるだけである。」という問題について取り上げます。

 まず明確にしておきますが、在宅勤務の場合でも通常の勤務と同様、労働基準法をはじめとする労働関係法令はそのまま適用されます(例えば厚生労働省「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」P6)。どこで行ったとしても労働は労働です。その意味では、在宅勤務でも時間外労働は当然起こりえるものであり、その場合、雇用者は超過勤務手当を支払う法的な義務があります。

 しかしながら、当局側は「在宅勤務においては超過勤務を行うことは認めないという指示を出している。従って在宅勤務では残業は存在しない」というスタンスを取り続けています。

 その他の在宅勤務に伴う諸々の問題についても要求を繰り返していますが、今のところ法令違反を指摘している事項も含め当局側の対応ははかばかしいものではありません。今年度に入って以降、当局側の態度にまるで5,6年前に逆もどりしてしまったかのような感もあり、楽観はできない状況です。

2020年3月10日「新型コロナウイルス感染拡大に対する本学の対応に関する質問及び要求」

2020年6月17日「新型コロナウイルス感染症と関連した今後の勤務態勢・職場環境等に関する要求」

2020年7月27日「新型コロナウイルス感染症と関連した今後の勤務態勢・職場環境等に関する再要求」

 再び感染が拡大しており、再度の原則全員在宅勤務化も含め、在宅勤務が増えることが予想されます。上記の通り、当局側は「残業は無いはずなのだから無い」としており、実際の状況を調べるつもりはないようです。誠実に仕事に取り組まれている職員の皆さんには、残業時間を自分でウソ偽り無く記録し、申告することと、在宅勤務の際の労働実態について組合への情報提供を呼びかけて、この稿を終わります。

ycu.staff.union(アット)gmail.com

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2020年7月27日月曜日

新型コロナウイルス感染症と関連した今後の勤務態勢・職場環境等に関する再要求

前回の7月13日付「組合ニュース公開版」で紹介した通り、「新型コロナウイルス感染症と関連した今後の勤務態勢・職場環境等に関する要求」への当局側回答に組合として受け入れがたい点があり、在宅勤務に関わる経費負担の点に問題を絞って再度、要求書を提出しました。

内容は下記の通りですが、ポイントとしては「在宅勤務は職員が自発的に、言い換えれば命令もないのに希望して行ったという当局側の主張は事実に反すること」こと、及び「業務として行う在宅勤務のために必要な費用を職員に負担させることは労働基準法第89条第5項に違反する」という2点です。

2020年7月15日
公立大学法人 横浜市立大学
理事長 二見 良之 様
横浜市立大学職員労働組合(横浜市従大学支部)
委員長 三井 秀昭

新型コロナウイルス感染症と関連した今後の勤務態勢・職場環境等に関する再要求

市民から期待され信頼される大学教育と運営の確立に向け、日頃の取り組みへのご尽力に敬意を表します。

さて、6月12日付で組合が行った「新型コロナウイルス感染症と関連した今後の勤務態勢・職場環境等に関する再要求」について6月30日に回答を受け取りましたが、特に要求事項3.についての当局側回答内容は組合として承服し難いものであり、再度、検討を行うよう要求します。

  1.  6月30日の回答時、当局側より口頭で「在宅勤務については必ずおこなうよう指示したものではなく、職員が自発的に行ったものであるため組合が要求する経費の補償を行う必要はない」という趣旨の説明が行われた。しかし、4月8日付「新型コロナウイルス関連第20報」では「教職員は原則在宅にてテレワーク等を行うこととします。」、4月16日付「新型コロナウイルス関連第22報」及び「「新型コロナウイルス関連第23報」では、それぞれ「①オフィスでの仕事は、原則として自宅で行えるようにする。」、「出勤者7割削減、接触機会8割削減を目途に取り組むよう」として、いずれも事務局長名で繰り返し指示が行われており、「職員が自発的に行ったのだから経費の補償は不要」という当局側主張は事実に反する。

  2. 回答文において「通知では、『原則テレワークにより業務を遂行することとしていますが、業務の性質等によりテレワークが難しい場合等については出勤可』としています」としているが、「業務の性質等によりテレワークが難しい場合」とは、当局側の当時の説明では「情報セキュリティ上の理由から学外からの情報システムへのアクセスが難しい一部の管理部門など」という事だった。「在宅勤務に伴う出費について法人の方針が示されていないため、在宅勤務は拒否する」などという理由が含まれるとは常識的に考え難く、事実、組合の把握する限り「在宅勤務に伴う費用の負担がどうなるか分からないので、その点を懸念するなら在宅勤務は断っていい」などという説明が行われた部署は存在しない。

  3. 労働基準法第89条第5項は、「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項」について就業規則に定めなければならないとしている。言い換えれば、就業規則に「在宅勤務の場合、それに伴う支出の一切は労働者が負担する」旨の定めがない限り、雇用者が在宅勤務に伴う負担を労働者に負わせることは禁止されている。本学就業規則にはその種の定めはなく、当局側回答は労働基準法第89条第5項に明確に違反するものと言わざるを得ない。

  4. また、口頭説明で「費用全てが法人の負担かどうかは議論の余地がある」としていたが、それ自体は事実であり、光熱水費、通信費のうち在宅勤務に伴う出費を厳密に算出することは困難であるとしても、それが「法人が費用負担を行わなくていい」論理的根拠となるわけではない。厚労省Q&A集で例示され、民間企業で実際に行われているように定額での負担とするなどの方法が考えられる。
以上に基づき、6月30日付回答を撤回し、改めてこれまでに職員が負担した費用への補償を行うと共に、今後の在宅勤務の継続に備え法令に則った就業規則の改訂等を行うよう要求します。

以上

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2020年7月13日月曜日

「新型コロナウイルス感染症と関連した今後の勤務態勢・職場環境等に関する要求」への当局側回答

6月17日付「組合ニュース公開版」でお知らせしたように、緊急事態宣言解除と神奈川県知事の大学への休業要請解除を受けて、「新型コロナウイルス感染症と関連した今後の勤務態勢・職場環境等に関する要求」を提出しましたが、6月30日、当局側より以下の通り、回答がありました

質問及び要求回答
1.教職員・学生の心身健康、生命を守るための適切な措置の実施

国、神奈川県、関連学会等の各種ガイドライン、チェックリストなどを参考に、例えば職員の職場における物理的距離を確保すること、教職員・学生の健康状態を把握することなど教職員・学生のキャンパスにおける心身の健康、生命を守るための適切な措置を講ずること。また、今後第2波、第3波の再流行も懸念されるところであり、今回対応が泥縄となり確保が困難であった消毒液等の物資、機材について、その流通が回復している間に必要量の確保に努めること。
これまでも適宜通知において、執務室等内の消毒、3密の回避、マスク着用の励行や換気の実施を依頼してきたところです。県のガイドラインにおいても、「十分な距離を保てず、近距離での会話や発声が必要な場合は、飛沫を飛ばさないよう、マスクの着用を徹底させること。」とありますので、引き続き、新たな生活様式と併せて、周知していきます。

健康管理や感染予防対策については、学生、教職員のための大学における感染予防の手引きを作成し、周知しています。

心身の不調への対応については、保健管理センター、2病院の健康管理室で相談を受けています。

消毒液等の物資、機材については、執務室消毒用の次亜塩素酸ナトリウムや防護資材は一定量を、手指消毒液は例年の2倍量を確保したところです。
2.教職員の育児、介護等の負担に関する適切な配慮

緊急事態宣言は解除されたものの、幼稚園、小学校、保育園、福祉施設等に関しては、新型コロナウイルス感染拡大前と同じ状態での利用が出来ない施設も多い。家庭において育児、介護の負担のある職員については、個別の事情を考慮した勤務形態、業務配分とすること。
育児、介護の負担がある職員については、休暇の取得や短時間勤務制度の活用を推進するなど、ダイバーシティ推進計画を着実に進めてまいります。
3.在宅勤務に伴う教職員の業務準備、業務実施の費用負担に対する補償

今回の原則在宅勤務への移行は、組合ニュース(公開版)(4月9日)で指摘したように、4月8日に突然「明日から原則在宅勤務」という指示のみが出されて始まった泥縄式のものであり、後に(組合の指摘もあってか)決定した「大学のPCを自宅に持ち帰って業務に使用することも可」という措置を除けば、そのためのPCや周辺機器の購入、通信費、在宅勤務による光熱水費の増等についてすべて各教職員の負担とされたままである。業務命令に基づく業務を遂行するための費用は雇用者側が負担するのは当然であり、この点に関し制度面での改善並びにこれまでの各教職員の私費による負担分について補償を行うよう求める。
通知では、「原則テレワークにより業務を遂行することとしますが、業務の性質等によりテレワークが難しい場合等については出勤可」としています。なお、いただいた課題等については今後の制度設計の際の参考とさせていただきます。
4.有期雇用職員、アルバイト職員等の雇用の維持

今回の緊急事態宣言、またその前段階での「自粛」に伴う経済面での影響は現在進行中の事態でもあり、その全体像を明らかにすることは困難だが、既に一部で解雇などの問題が発生している。緊急事態宣言に基づく業務縮小の間、アルバイト等についても解雇を行わず法定の休業手当の支払いに努めた経営姿勢について評価するとともに、今後も有期雇用職員、アルバイト職員等も含め教職員の雇用を維持するよう求める。
有期雇用職員及びアルバイト職員の雇用については、法令に則り適切に運用してまいります。
5.給与の維持

同様に安易な教職員給与の引き下げ等を行わないよう求める。本学の財政については、例えば2019年7月29日付の「本学の財務・人件費の状況と今後の職員の処遇に関する質問書」とそれへの回答に見られるように、組合が懸念し自制を求めてきたにもかかわらず近年経営方針として支出を増大させる拡大路線を取り続けてきたものであり、それに伴う財政状況の悪化については一般の教職員が責任を負うべきものではない。今般の新型コロナウイルスに関しても、日本の地方財政制度、大学法人の会計制度の仕組み等により、すでに例年並みの資金が確保されており、今回の新型コロナウイルス感染症を理由として安易な教職員給与の引き下げ等を行う環境にはない。
法人職員の給与については、地方独立行政法人法第51条で「退職手当以外の給与及び退職手当の支給の基準は、同一又は類似の職種の国及び地方公共団体の職員の給与を参酌し、かつ、他の特定地方独立行政法人の職員及び民間事業の従事者の給与、当該特定地方独立行政法人の業務の実績及び認可中期計画の第26条第2項第3号の人件費の見積りその他の事情を考慮して定められなければならない。」とされておりますので、給与改定の際にはこれらの要件を考慮するとともに、引き続き組合と協議してまいります。
6.就業規則、規程の適切な改正

在宅勤務、時差出勤については、既に組合より就業規則、規程等の根拠が無いか疑義のある状態であることを指摘し、当局側もその点については対応を約束したものの、未だに改正がなされていない。改めて適切な改正を行うよう求める。
在宅勤務及び時差出勤については、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、時限的かつ緊急的に試行実施しているものです。

今後、本格的に実施する際には、組合及び職場代表者の意見を聞いて必要な改正を行ってまいります。

1.については、基本的に職員の感染等を防ぐための対応としては「マスク」と「部屋の換気」、それに「手洗い、手の消毒」などで、担当や係ごとに机をくっつけた「島」になって数10センチから1メートル程度の至近距離で仕事をするという密集した執務環境については特に対応は行わないという事でした。要求文にある通り、組合としては在宅勤務との組み合わせなどにより出勤する職員を2分の1から3分の1程度として職員間の物理的距離を確保することを求めていました。本学に限らず、多くの大学が実験、実習などで部分的に対面授業の再開を試みていますが、その際には教室の収容人数を2分の1や40%程度に限定して学生間の物理的距離を確保するのが普通で、学生に関してはそのような対応を取りながら、職員については密集した業務スタイルを放置するのでは意味がないのではないかと危惧します。

また、手指消毒液については例年の2倍を確保したとのことですが、例年であれば各校舎の入り口に置かれた手指消毒液を利用する人は少数で、それを基準として2倍ではとても足りないのではないかと懸念されます。現時点では後期の授業形態をどうするか決まっていないようですが、例えば対面授業を拡大するといった決定を下して、その後で必要な消毒液の量を計算、確保しようとしてもその時点で確保できる保証はないでしょう。いつもながらstrategyやlogisticsについては、ちぐはぐな対応が目につきます。

2.については、当局側回答の様なダイバーシティ推進計画の遂行という観点ではなく、非常事態下における必要な対応として要求したものです。当局側もとりあえず対応自体は否定していませんが、問題が発生した場合には速やかに組合までご相談ください。

3.ですが、事務局長指示により原則在宅勤務という方針が取られていたはずですが、回答受け取りの場では「在宅勤務は職員が自発的に行ったものだから経費補償は不要」という予想していなかった斜め上の説明が返ってきました。回答文においても「業務の性質等によりテレワークが難しい場合等については出勤可」とありますが、これについては、原則在宅勤務という指示が出た際には学内情報システム利用の関係で在宅勤務が難しい業務を担当している場合などを想定しているという説明でした。常識的に考えても「在宅勤務をしたくないので出勤したい」などの事態を想定、許容している文章とは読めません。この問題については、到底承服できない回答のため、近く再度要求を行う予定です。

4.及び5.については、現時点というよりは今後のために組合として立場、見解を示し、予め当局側の対応について釘を刺しておきたいという趣旨のものです。特に5.については、これまでも度々指摘してきたように「財政難を謳いつつ推進された拡大方針」により新型コロナ感染症拡大以前から財務状態が悪化しており(例えば「本学の財務状況と職員の処遇に関する質問書への回答 ― 組合の警告通りの赤字転落、そして教職員人件費へのつけ回しの懸念 ―」)、今回の事態による収入減や支出増への対応に潜り込ませる形で、いわばどさくさ紛れにその処理が行われることを強く懸念してのものです。

最後に6.ですが、在宅勤務については現在も事務局長名で「推奨」されている状態であり、新型コロナの感染状況を見ても、在宅勤務が続くという前提で直ちに制度改正を行うべきものです。

また、「時差出勤」については、「ずらし勤務」という名称でなんと2010年から「試行」が続いています。組合はこの間、「何年にも渡って実施するものを『施行』とは言わない」、「休憩時間の確保、残業開始時間の調整などで対応がしっかり行われるのであれば基本的に反対するものではないので、正式に制度改正の提案を行うよう」求め続けてきましたが、なぜか当局側は一向に対応を行おうとせず「試行」状態を続けることに固執し続けています。「試行」のギネス世界記録でも狙っているのでしょうか、わけがわかりません。

回答はこのようなものでしたが、上に書いたように少なくとも3.の在宅勤務に関わる経費の問題については再要求を行います。続報をお待ちください。

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「大学部門の一斉休業日に関する要求書」と当局側回答

 6月30日付で大学部門の「一斉休業日」についての要求を行いました。

これは、昨年11月に金沢八景キャンパス過半数代表者が行った残業実態調査において、調査内容とは本来無関係な特別休暇の取得に関する不満が多数寄せられ、それを機に年末及び夏季の休暇、休業に関して事務局長通知などを見直したところ、問題があるという認識になったため要求を行ったものです。

要求は下記の通りです。


2020年6月30日
公立大学法人 横浜市立大学
理事長 二見 良之 様
横浜市立大学職員労働組合(横浜市従大学支部)
委員長 三井 秀昭

大学部門の一斉休業日に関する要求書

市民から期待され信頼される大学教育と運営の確立に向け、日頃の取り組みへのご尽力に敬意を表します。

さて、2017年度より導入された大学部門における一斉休業日の設定について、夏季は夏季休暇として付与される日数のうちから取得するよう局長通知にて推奨されています。

また、2019年度には年末における一斉休業日が新規に設定され、年次有給休暇または振替休暇を設定日に取得するよう通知がありました。

しかし、そもそも年次有給休暇については、法律上、労働者の請求する時季に与えられるものとされており(労基法第39条第5項)、雇用者による制限は原則として認められません。

特別休暇の取得については、年次有給休暇のような雇用者に対する法令上の制約はありませんが、「推奨」などというあいまいな形で事実上その取得に制限を課すことには問題があると考えます。

以上を踏まえ、次の通り要求します。

  1. 年末における一斉休業日について、法人の指示により年次有給休暇を取得させることは労基法第39条に違反するものであり、撤回するよう要求します。
  2. 夏季休暇の取得が「推奨」される「夏季一斉休業日」とはそもそもいかなる内容、位置づけのものであるか、まずは説明を求めます。
上記2点について、2020年7月10日までに回答及び説明を行うよう求めます。

以上

1. については、他の用務などに追われていたこともあり、うかつにも指示が違法であることを見落としていたものです。

たまにはこちらも、ということで早めの回答期限にしてみたのですが、7月10日、当局側から回答がありました。

1. については、「年次有給休暇の取得については法に則り適切に運用していきます。」というものでした。これにより、今年末については年次有給休暇を強制取得させるという通知が出ることはないはずです。

2. については、「夏季一斉休業日については、平成27年10月1日に説明したとおり、職員が休みやすい環境を作ることを目的に窓口対応及び施設管理等を日曜日や年末年始と同様の扱いとしたものですが、勤務を要しない日としていないことから、出勤しない場合は休暇等の対応となります。」というものでした。

若干、意味が判りにくいですが、要するに「一斉休業日」とは「職員が休みやすいように窓口等対外業務を行わないことにした日」のことで、「休まなければならない」日のことではありません。あくまでも職員の利便性 ― 例えば「窓口などの対外業務が無いのだから休ませてください」と言いやすくする ― のためで、大学側が「『一斉休業』する日にしたから休暇はこの日に取るように」と強制するような日のことではないということです。他の日に取得したいので「一斉休業日」には休まないとしても一切問題はありません。

この点について、そもそも「一斉休業日」という名称が紛らわしいものであり、それが「その日に特別休暇を取得させられる」職員と「その日に特別休暇を取得させる」現場管理職に誤解を生んでいる可能性があり、当局側には注意を促しました。

繰り返しますが、「一斉休業日」は強制的に特別休暇を取得させられる日ではありません。組合の要求と当局側の回答という形で確認がなされましたのでお知らせします。

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2020年6月17日水曜日

新型コロナウイルス感染症と関連した今後の勤務態勢・職場環境等に関する要求

 6月12日、政府による緊急事態宣言解除と神奈川県知事の大学への休業要請解除を受けて、当局側に対し下記の通り「新型コロナウイルス感染症と関連した今後の勤務態勢・職場環境等に関する要求」を提出しました。

2020年6月12日
公立大学法人 横浜市立大学
理事長 二見 良之 様
横浜市立大学職員労働組合(横浜市従大学支部)
委員長 三井 秀昭

新型コロナウイルス感染症と関連した今後の勤務態勢・職場環境等に関する要求

市民から期待され信頼される大学教育と運営の確立に向け、日頃の取り組みへのご尽力に敬意を表します。

さて、今般の新型コロナウイルス感染症に関しては、政府の緊急事態宣言が解除、これに伴い神奈川県知事の大学への休業要請も解除され、本学においても新型コロナウイルス関連第33報(6月4日)において活動基準の適用レベル緩和、原則として在宅勤務から在宅勤務「推奨」へと、従前の出勤を基本とする勤務態勢に徐々に戻ろうとしています。

これを踏まえ、下記の通り今後の勤務態勢・職場環境等について要求します。なお、下記項目の中には既に要求を行ったものの、協議や実際の対応が行われていないものも含みます。


1. 教職員・学生の心身の健康、生命を守るための適切な措置の実施

国、神奈川県、関連学会等の各種ガイドライン、チェックリストなどを参考に、例えば職員の職場における物理的距離を確保すること、教職員・学生の健康状態を把握することなど教職員・学生のキャンパスにおける心身の健康、生命を守るための適切な措置を講ずること。また、今後、第2波、第3波の再流行も懸念されるところであり、今回対応が泥縄となり確保が困難であった消毒液等の物資、機材について、その流通が回復している間に必要量の確保に努めること。

2. 教職員の育児、介護等の負担に関する適切な配慮

緊急事態宣言は解除されたものの、幼稚園、小学校、保育園、福祉施設等に関しては、新型コロナウイルス感染拡大前と同じ状態での利用が出来ない施設も多い。家庭において育児、介護の負担のある職員については、個別の事情を考慮した勤務形態、業務配分とすること。

3.在宅勤務に伴う教職員の業務準備、業務実施の費用負担に対する補償

今回の原則在宅勤務への移行は、組合ニュース(公開版)(4月9日)で指摘したように、4月8日に突然「明日から原則在宅勤務」という指示のみが出されて始まった泥縄式のものであり、後に(組合の指摘もあってか)決定した「大学のPCを自宅に持ち帰って業務に使用することも可」という措置を除けば、そのためのPCや周辺機器の購入、通信費、在宅勤務による光熱水費の増等についてすべて各教職員の負担とされたままである。業務命令に基づく業務を遂行するための費用は雇用者側が負担するのは当然であり、この点に関し制度面での改善並びにこれまでの各教職員の私費による負担分について補償を行うよう求める。

4.有期雇用職員、アルバイト職員等の雇用の維持

今回の緊急事態宣言、またその前段階での「自粛」に伴う経済面での影響は現在進行中の事態でもあり、その全体像を明らかにすることは困難だが、既に一部で解雇などの問題が発生している。緊急事態宣言に基づく業務縮小の間、アルバイト等についても解雇を行わず法定の休業手当の支払いに努めた経営姿勢について評価するとともに、今後も有期雇用職員、アルバイト職員等も含め教職員の雇用を維持するよう求める。

5.給与の維持

同様に安易な教職員給与の引き下げ等を行わないよう求める。本学の財政については、例えば2019年7月29日付の「本学の財務・人件費の状況と今後の職員の処遇に関する質問書」とそれへの回答に見られるように、組合が懸念し自制を求めてきたにもかかわらず近年経営方針として支出を増大させる拡大路線を取り続けてきたものであり、それに伴う財政状況の悪化については一般の教職員が責任を負うべきものではない。今般の新型コロナウイルスに関しても、日本の地方財政制度、大学法人の会計制度の仕組み等により、すでに例年並みの資金が確保されており、今回の新型コロナウイルス感染症を理由として安易な教職員給与の引き下げ等を行う環境にはない。

6.就業規則、規程の適切な改正

在宅勤務、時差出勤については、既に組合より就業規則、規程等の根拠が無いか疑義のある状態であることを指摘し、当局側もその点については対応を約束したものの、未だに改正がなされていない。改めて適切な改正を行うよう求める。

以上

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「教学マネジメント」とIR ―「教学マネジメント指針」と 大学教育学会第42回大会 ラウンドテーブル20「教学マネジメントとIRをつなぐ組織体制づくりを考える」から―

 なぜか今頃になって「教学マネジメント指針」の冊子が回ってきたことと、先日、オンラインで開催された大学教育学会第42回大会で教学マネジメントとIRに関連したラウンドテーブルに参加したので、備忘録も兼ねて感想のようなものを記しておこうと思います。といっても色々と余裕を欠いている状態のため箇条書き&説明抜きになります。
  • 「教学マネジメント指針」は「大学の管理層」の「管理運営」のためという、もともと限定された観点から作成されたものだが、そういった限定的な性格のものであるという点は、大学側に適切に認識されているだろうか?そうでない場合、教育においても上からの「管理」という側面のみが突出することになりかねない。
  • 測りやすいものを測っている(量的指標、その更に一部)ことなど、「測定の限界」は管理層に認識されているだろうか?また「測定」と「評価」の違いについては?
  • 選択された諸指標への機械的な最適化が進みかねない力学は認識されているだろうか?(特に国公立大学の法人評価)
  • プロフェッショナルでない経営者とプロフェッショナル文化、特に「プロフェッショナル倫理」(所属組織での利害関係等を超える専門家としての倫理)の脆弱な社会における専門家の組み合わせという日本独特の問題。
  • 指針を作成した側は、「評価」や「測定」の問題点についてどの程度認識していたのか?

    cf. ジェリー・Z・ミュラー 「測りすぎ ―なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?」みすず書房
    「ジェリー・ミュラーさんの『測りすぎ』という本,今,すごくはやって,皆さん読んでいますけれど,この委員会に出ていると,これをみんなもっと読んだ方がいいのではないかという気持ちにとてもさせられます」教学マネジメント特別委員会(第7回)
    cf. 政策評価論の研究者からは、以前からNPM※型改革における評価やその基本的な手法であるパフォーマンス・メジャーメントの問題点(この点は教学マネジメントの諸指標についても同様)が指摘されている。
    ※NPM(New Public Management):民間企業における経営手法などを公共部門に適用することで効率化・活性化を図ろうとする手法。日本では国立大学、公立大学に対しても適用された(大学法人化)
  • 今回の新型コロナ感染症拡大に伴う一連の事態は、政策的に“推奨”されてきた日本のIRの在り方の特徴―平時の、安定した状況を前提とする「中期計画」等の定型的な枠組みにおける「PDCA」の「測定」に最適化したものーを明らかにするとともに、それではカバーできない様々な問題を浮き彫りにした。本来は、質的なものも含めたより広範なdata、informationに基づくintelligenceが必要とされているのではないか。
  • 「指針の基本的な性格を踏まえた運用」「測定の限界を踏まえた抑制的運用」を行うと共に「学生、教員のための、管理運営以外の視点に基づく基準」の創造を行うことが必要ではないか。
  • また、管理層、IRerの「プロフェッショナル化」も必要ではないか(ただし「プロフェッショナル化」とは単なる専業化ではない。特に「プロフェッショナル倫理」を内面化していない専門家は「プロフェッショナル」と呼んでいいのか疑問であるだけでなく、組織や社会を危険にさらす懸念がある)。
(菊池 芳明)
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2020年4月9日木曜日

新型コロナウィルス感染拡大に対応した大学部門の全教職員原則テレワーク化について

4月8日、新型コロナウィルス感染拡大に対する非常事態宣言を受けて本学においても「原則として大学部門の全教職員をテレワークとする」旨の方針が突然示されました。

非常事態宣言が出た場合の大学の対応については、4月6日の時点で組合から当局側に問い合わせていましたが、未定との回答でした。

4月8日午前、本日中に学内に周知するとして原則全員テレワーク化等の文書案が組合に送付されてきました。直ちに午後に人事課に説明を受けましたが、その時点で既に文書は正式なものとして各管理職に送付されてしまっていた模様です。

人事課からの説明は基本的に文書に書いてある以上のものではなく、もっぱら組合側から、確認、指摘、要望を行うことに終始しました。

組合からの主な指摘事項、要望事項等は以下の通りです。
  1. 原則全員テレワーク化と言いながら、テレワークの実施のためのきちんとした調査や計画、準備がなされていない。実施については各課の課長の判断で、という現場丸投げになっており、送られて来た文書自体についても各所で整合性の点で問題が散見されるものとなっている(原則と言いながら、ルールの方は「例外的」利用を前提としたもののまま等)。
  2. いきなりこのような具体的計画を伴わない文書だけを渡されて「明日からテレワーク」と言われても現場は「ムリだ」という声が圧倒的である。
  3. 緊急事態であるからこそ超過勤務を余儀なくされる事態が発生する可能性は高いが、逆に「超過勤務を命じることが出来ない」として超勤は存在しないものとしてしまっている。現実と適合しないことをすればサービス残業につながるだけである。
  4. 在宅勤務中にも職務専念義務があるのは事実だが、政府が保育所の縮小を求めているなど、一般職、総合職の女性を中心に子育て中の職員が多い現状と適合しない。「勤務時間中に職務に関係ない行為を行った場合は、職務専念義務違反で懲戒処分となる可能性があります」などという記述は不必要なだけでなく、状況への適切な認識と職員への配慮を欠いている。
  5. テレワークに職員の私物PCを使用とするというのは不適切。今後も続けるなら法人からのPC貸与とすべきである。
  6. テレワークに伴う通信費等の経費を職員が負担するとしているのも不適切。業務である以上は法人が負担すべきである。
  7. 法人職員をテレワークとしながら派遣社員についてはこれまで通りの出勤を求めるのは不合理であり、各課長に派遣元との契約変更を指示すべきである。
  8. 特別休暇の創設は結構なことだが、①例示の「緊急事態宣言により出勤を制限された場合」があくまでも知事による休校の指示の場合のことで今回はこれに該当しないこと、また②テレワーク中に子供の面倒を見るために一部時間をこの特別休暇とすることなどは可能であることを追加で説明することが望ましい。
  9. 法人の指示による原則テレワーク化なのにテレワークを行いたいとの申請書を書かせる、申請書で出勤困難な事情、希望理由を記入させるなどはおかしな話であり、少なくとも。出勤困難な事情、希望理由等の記入は不要とすべきである。
  10. 知事からの休校要請や指示が無い現状においては、きちんとした業務実施計画の裏付けなしの原則テレワーク化よりは、職員を2グループや3グループに分けて交代で在宅勤務と出勤を行い(感染者が出た場合に部署が全滅するのも避けられる)、それにさらに出勤組の時差出勤を組み合わせる方が現実的でかつ十分な措置ではないのか。
  11. すでに正式に通知されてしまい、かつ非常事態下であることを考えると上記の指摘、要望に関して直ちに対応することは困難かもしれないが、5月以降も同様の状況が続く可能性は低くはなく、今回の運用期間である5月6日までには、組合からの指摘、要望も踏まえ、法人が責任を以て具体的なテレワークの実施体制等を整えるべきである。世界に冠たるトップダウン型の制度設計となっている日本の国公立大学において、このような実際にどうやって実行するかは現場の教職員の努力に丸投げなどという大学経営はすべきではない。また、5月6日以前に対応可能なもの、対応すべきものについては今回の運用期間中に適切な処理を行うべきである。

すでに正式に通知されてしまっており、9日からというテレワークの実施自体は止めることはできませんが、適用、運用で問題のある場合などは組合にご相談ください。執行委員の勤務態勢も不明確なため、連絡は組合のメールアドレス ycu.staff.union(アット)gmail.com までお願いします。

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2020年4月6日月曜日

一般職の処遇についてのアンケート結果について ~ 処遇改善を一歩でも進めるために ~

職員組合では2018年10月4日発行の組合ニュース「一般職の処遇に関する要求書」および2019年10月15日発行の組合ニュース「一般職への登用について(回答)」、「一般職への登用について(要求)」にてお伝えしているとおり、当局との間で一向に改善されていない一般職の処遇改善の要求を継続して行っています。

組合では一般職の方の生の声を聞き、当局との協議に活用するため、2020年2月に組合員を通じて一般職の処遇についてのアンケートを行いました。今回の組合ニュースではその結果を報告いたします。またアンケートに回答していただいた4名の方々に、この組合ニュースにて改めてご協力のお礼を申し上げます。

なお、アンケートは無記名で行い、組合員以外の回答も可能にしたため、回答者の中には組合員以外の方も含まれています。


設問1 あなたの勤務形態についてお知らせください。

雇用形態について尋ねたところ、回答者4名全員が「フルタイムの一般職(無期雇用)」でした。


設問2 現在、処遇・業務についてどのように感じていますか?

回答 とても満足0名、満足0名、どちらでもない0名、不満2名、とても不満2名。


設問3 前問でそう感じた理由をお知らせください。

回答となる自由記述内容を一言一句全て記載することは割愛させていただきますが、大きく分けて「業務内容」、「賃金」についての不満の声があがりました。

「業務内容」については、そもそも一般職が旧嘱託職員・旧契約職員から制度変更となる際、当局との間で業務内容は変わらないとの説明を組合は得ています。しかし、実際には総合職が担うはずの企画・調整等の業務を一般職が負担している事例が恒常的に発生している、管理職が職種ごとの業務範囲を正しく理解していないとの回答がありました。

「賃金」については前述の業務内容についての不満と関連しますが、総合職の業務内容そのものや一般職の業務内容を上回るにもかかわらず給料は総合職より低いこと、給料が上昇していないこととの回答がありました。


設問4 平成30年度以前より継続して勤務されている方のみお答えください。嘱託職員・契約職員から一般職に変わったことによって変化はありましたか?

回答 とても良くなった0名、良くなった0名、どちらでもない3名、悪くなった1名、とても悪くなった0名。
※今回ご回答いただいた4名は全員平成30年度以前より継続して勤務されている方でした。


設問5 前問でそう感じた理由をお知らせください。

回答 どちらでもないと答えた方の理由の一例は、短時間勤務からフルタイムになった良い面と給料が業務内容に見合っていない悪い面の相殺によるものでした。
悪くなったと答えた方の理由は制度変更で一般職になったことで何かと業務が割り当てられるためとのことでした。


設問6 他に現在の処遇・業務について感じることがありましたらお答えください。

回答はここでも職種と業務内容について言及するものが多々見られました。中には;
「総合職、一般職、有期、派遣がいる職場にいるが、職位に応じた業務が適切に割り当てられているのかが疑問。管理職は一般職の処遇を知っているのか疑問。」

「一般職に限らず、大変根深い問題だと感じてきました。根底には、管理職も含めた多くの人が、この問題について、(自分自身も含めて)他者・他所管の責任と考えていることにもあると思います。制度上の問題、各所管ごとの見過ごされている問題、職員ひとりひとりの認識・行動の問題など、現状を分析し、法人全体として取組みができないのであれば、もはや内部での改善は期待できないと考えています。」
(どちらも原文まま)と、職種と業務内容・処遇の問題については一般職だけでなく全ての職種で見直す問題だと感じている方がいます。


アンケート結果については以上になります。特に「業務内容」と「賃金」については冒頭で紹介した2019年10月15日発行の組合ニュース「一般職への登用について(要求)」で当局に継続して訴えているにもかかわらず当局に協議すら応じてもらえない不誠実な対応により棚上げ状態になっているため、その不満がアンケート結果として如実に現れたものと受け止めています。

この4月のパートタイム労働法等の改正、いわゆる「同一労働同一賃金」の導入により、職種(賃金)と業務内容の不合理は解決すべき喫緊の課題です。職員組合はいただいた回答を踏まえ、今後も継続して当局に一般職の処遇改善を求めていきます。

今回のアンケートに回答していない方でも、問題に見舞われている方、要望のある方は組合までご相談ください。

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2020年3月26日木曜日

「新型コロナウイルス感染拡大に対する本学の対応に関する質問及び要求」への回答

前回組合ニュースでお伝えした「新型コロナウイルス感染拡大に対する本学の対応に関する質問及び要求」に対する回答がありました。内容は以下の通りです。

質問及び要求回答
1.3月2日に通知されたテレワーク実施要領の対象者について「イ その他新型コロナウイルスの影響により出勤することが難しい状況下にあること」とあるが、組合への口頭説明の内容はより広範な適用を示唆するものであった。適用対象について明確にされたい。  適用対象としては、職員本人が濃厚接触者となった場合や職員の子が学校の休校により出勤ができなくなったなどが想定されます。適用対象としては、今後の状況を踏まえ必要に応じて明示してまいります。
2.「教職員の対応について(第1報)」においては、本人や同居家族が感染した場合について定められているが、職場において感染者ないし感染の疑いがある職員が出た場合の周囲の職員に関する対応について言及がない。今後、十分可能性のある問題であり、この点についても明確にされたい。  職員が感染した場合は、当該職員は病気休暇又は年次休暇、職場については保健所(区福祉保健センター)が当該職員の職場について関係者調査及び健康調査を実施します。その結果、濃厚接触者と判断された場合は、保健所の意見を踏まえ、原則として職場への出勤を自粛(自宅待機)等となります。
3.「教職員の対応について(第1報)」において、同居家族が感染ないし感染が疑われ、そのため健康観察等で就業できなくなった場合は、年次休暇を利用するとあるが、本人の責によらない問題での休業に年次休暇を使用させることは適切ではない。大学の判断として休業を命じるとともに特別休暇とするよう求める。  令和2年3月6日付人第15162号の通知にあるとおり、小学校等の臨時休業等により影響を受ける労働者を支援するため、労働者を有給で休ませた場合の制度について国において検討されています。これを踏まえ法人として今後の対応を検討するため、当該状況に関連した休暇等の取得状況を把握しているところです。
4.時差出勤による勤務時間の変更については、個々の職員の希望、事情を考慮した運用とすることを徹底させること。  令和2年3月2日付人第14786号の通知にて、「個々の職員の事情を考慮するとともに、通常の勤務時間内に対応できる体制が取れるように前日までに所属長が割り振りをします。」と周知をしているところです。
5.時差出勤及びテレワークについては、緊急事態として年度末までの運用を容認するが、前者については適用根拠とされている例外規定はあくまでも突発的、部分的なケースを想定したもので、全学的に継続的な利用を想定したものではない。後者についても規程の裏付けはなく「試行」を全学的に拡大しようとするものである。4月以降も同様の措置を継続するのであれば、組合及び過半数代表者との協議と合意に基づき適切な規程の改正等を行うこと。  今回の対応については、臨時的な対応としております。制度として適正に運用するに当たっては、引き続き協議してまいりたい。


今回の回答は、法人化以降の労使関係の中で見ると極めて異例と言っていい素早さで帰って来たものです(非常時であり、もともと組合の要求とは関係なく検討を行っているであろう問題であることは確かであるにせよ)。その点は評価したいのですが、中身については仕方のない面があるとはいえ、実は回答になっていないものも多くなっています。

1.については、口頭ではこの機に働き方改革の一部としてのテレワークの活用拡大も考えている、といったニュアンスの説明もあったので、その辺りの考え方と実際の適用について確認したかったのですが、新型コロナ感染拡大対策としての一般的な範囲の例示と「今後の状況を踏まえ必要に応じて明示してまいります。」という回答になっています。これでは相変わらず適用範囲は不透明なままです。

2.については、職場に感染者や感染の疑いがある職員が出た場合、日本の事務職員の物理的な意味での職場環境 ― 民間企業サラリーマンや公務員と同様に大部屋で机をくっつけて、数十センチからせいぜい1メートル程度の間隔で密集して勤務している ― を考えると、周囲の職員は自動的に「濃厚接触者」であり、少なくとも担当単位で自宅勤務にせざるを得ない可能性が高いのではないか、また、その場合、大学側の必要性に基づきそのような対応になるのであるから、有休ではなく特別休暇等の対応とすべきではないかという点について確認したかったのですが(さらに加えるなら、部署から感染者が一人出た場合、その部署が丸ごと出勤できなくなるような環境自体についても)、回答はそこまで辿りついてないものになっています。ただし、この点は次の3.の要求に共通する問題のため、3.への回答が回答になっているとも言えます。

その3.ですが、その後、「新型コロナウイルスへの対応に関し教職員の働きやすい環境を整えるため国や横浜市の取り扱いを踏まえ特別休暇等の検討をしている」という追加説明がありました。上記の回答よりは姿勢としては前進したものですが、横浜市の決断待ちということで、それまでは最終的な決断には踏み切れないようです(独法ですので法的な面での制約はないはずです)。この点については「法人として決断すること」を口頭で求めました。

4.は既に発表されている方針について、現場レベルでの運用に確実を期すように求めたものです。

5.については、本来、来年度も同様の措置を取らざるを得ない前提で既に協議を行っていることが望ましいものですが、状況が流動的であり、時間的余裕もないことから、「臨時的な対応であること」「来年度については組合と協議すること」を確認したことでとりあえずは良しとすることにしました。

まとめると、特に1.2.3.については不透明あるいは未確定な内容を含む回答、4.については「既に周知している」という回答です。実際の運用に当たって様々な問題が発生する(あるいは既にしている)可能性があります。

この問題については、当然これで終わりではなく今後も当局側との協議を続けていきます。また、問題に見舞われている方、要望のある方は組合までご相談ください。

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2020年3月10日火曜日

新型コロナウイルス感染拡大に対する本学の対応に関する質問及び要求

新型コロナウイルス感染拡大を受けて本学でも種々の対応がなされていますが、3月3日、組合及び金沢八景キャンパス過半数代表者に対して、時差出勤とテレワークに関する説明がありました。これらと「教職員の対応について」に関し、以下の通り質問及び要求を行いました。

また、この問題に関連して悩み事等のある方は組合までご相談ください。

2020年3月10日
公立大学法人 横浜市立大学
理事長 二見 良之 様
横浜市立大学職員労働組合(横浜市従大学支部)
委員長 三井 秀昭

新型コロナウイルス感染拡大に対する本学の対応に関する質問及び要求

市民から期待され信頼される大学教育と運営の確立に向け、日頃の取り組みへのご尽力に敬意を表します。

さて、今般の新型コロナウイルス感染拡大に関する本学の対応に関し、以下の通り質問及び要求します。

  1. 3月2日に通知されたテレワーク実施要領の対象者について「イ その他新型コロナウィルスの影響により出勤することが難しい状況下にあること」とあるが、組合への口頭説明の内容はより広範な適用を示唆するものであった。適用対象について明確にされたい。
  2. 「教職員の対応について(第1報)」においては、本人や同居家族が感染した場合について定められているが、職場において感染者ないし感染の疑いがある職員が出た場合の周囲の職員に関する対応については言及がない。今後、十分可能性のある問題であり、この点についても明確にされたい。
  3. 「教職員の対応について(第1報)」において、同居家族が感染ないし感染が疑われ、そのため健康観察等で就業できなくなった場合は年次休暇を利用するとあるが、本人の責によらない問題での休業に年次休暇を使用させることは適切ではない。大学の判断として休業を命じるとともに特別休暇とするよう求める。
  4. 時差出勤による勤務時間の変更については、個々の職員の希望、事情を考慮した運用とすることを徹底させること。
  5. 時差出勤及びテレワークについては、緊急事態として年度末までの適用を容認するが、前者については適用根拠とされている例外規定はあくまでも突発的、部分的なケースへの対応を想定したもので、全学的に継続的な利用を想定したものではない。後者についても規程の裏付けなく「試行」を全学的に拡大しようとするものである。4月以降も同様の措置を継続するのであれば、組合及び過半数代表者との協議と合意に基づき適切な規程の改正等を行うこと。

以上

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2020年2月4日火曜日

アルバイトの定年年齢の設定について(回答)

1月15日、これまでアルバイトについて定年が設けられていなかった点について、70歳を定年とするよう要綱の改正を行いたいとの提案があり、下記の通り了解する旨の回答を行いました。なお、今回の要綱も含め、規程以下のレベルで設定されているルールに関して、そもそも何があるのか判らない、存在は分かっていてもどこにあるのか判らない、そのため内容も不明といった問題が存在しており、過去にそれが交渉上の障害になったこともあって、その点につき改善するよう求めました。

2020年1月30日
公立大学法人 横浜市立大学
理事長 二見 良之 様
横浜市立大学職員労働組合 執行委員長
横浜市従大学支部 支部長 三井 秀昭

アルバイトの定年年齢の設定について(回答)

1月15日付で提案のあったアルバイトの定年年齢の設定について、以下の通り回答します。


アルバイトの定年年齢について70歳とする当局側提案について了承します。

なお、今回の要綱も含め、規程以下のレベルで制定されている人事関係の諸ルールについてはその透明性やアクセシビリティに問題があり、学内からのアクセスと内容の確認が容易となるよう改善を強く求めます。

以上

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本学の財務状況と職員の処遇に関する質問書への回答 ― 組合の警告通りの赤字転落、そして教職員人件費へのつけ回しの懸念 ―


昨年7月29日、横浜市大の財務状況と職員の殊遇に関し当局側に質問書を出していましたが、1月23日、ようやく当局側から説明がありました。

質問のポイントは、

①「法人財政の悪化」を口にしつつ、中期計画は大幅な組織・施設の拡大政策を取っており、国公立大学の場合、これは(私学とは異なり)収入増以上の支出増につながる可能性が高いが、拡張路線に伴う支出に関し計画策定段階で本来必要なレベルの検討がなされておらず、事後的になし崩しの支出が進められているのではないか

②「働き方改革」に対応した超過勤務の縮減の影響

③ 附属病院におけるいわゆる「無給医問題」の影響(AERAの1月27日号にこの問題についての記事があり、横浜市大も含めて「無給医」に給与を支払った場合の附属病院経営への影響に関する推計値が出ています。それによれば横浜市大は約6700万の純利益から約12億3千万の損失へと転落するとされています。ただし、この数値は「無給医」の範囲を最大限に取った場合のもののようで、大学側は逆に最小限に取っていると思われます。)

④ 以上を踏まえた固有職員人件費の状況とそれらに基づく今後の方針

です。

1月23日に担当課から行われた説明の概要は、

①については、学部再編、データサイエンス研究科の新設、救急棟などについて、市からの交付金には未計上で、市の援助なしでやっていかなくてはならない、

③については、全教室の実態調査を行ったうえで今年度分は人件費として支出、昨年度分も支払い、損失として計上した、

④については、①も含め財務状況は厳しく、令和元年度の法人決算も赤字の見込みであり、固有職員の給与、賞与については市並みでやってきたもののそれが限界で、組合が要求している手当までは難しい

というものでした(②についての説明はありませんでした)。

以上の説明で特に驚きだったのは、何年も前から組合が指摘、警告していた通り、①現行中期計画における組織、施設の拡大路線が本当に設置者である横浜市との財政負担についての合意と裏付けなしに実行されており、かつ、②それがやはり組合の懸念通り財政悪化に拍車をかけていたという点です。

「予測しておいて今さら何を驚くのか」と言われるかもしれませんが、予測は、あくまでも断片的な公式情報から組合役員の大学専門職が専門的知見と過去の経験に基づき「そう考えるのがもっとも辻褄が合う」と判断したものであり、同時にやはり通常の公立大学運営の在り方から「いくらなんでもそれはあり得ないだろう」と最終判断を留保していたものでした。

組織も施設も一度作ってしまえば、通常10年単位で多額の支出が続くものです。だからこそ、決定の際には財政的な見通しについて可能な限りの検討を行うのが通常の(大学に限らない)経営の在りようです。「財政的な見通し、手当ては後廻しにして作ってしまおう」、そして次に「支出増分は設置者に交付金増を交渉しよう」、それがダメとなると「自己負担でやるしかない、財政悪化だ」というのは、高等教育セクターの縮小が現実化しようとする外部環境下において、あっていい話ではありません。まして、次に予想されるのは「それ以外の所を削ろう」であり、今回の④の説明にあったようにその一部は、まさに固有教職員の処遇(具体的には固有総合職の住居手当と一般職、有期雇用職員の給与など)です。

もう一つ、経営のモラルハザードも懸念されます。上記の「財政的な見通し、手当ては後廻しにして作ってしまおう」、そして次に「支出増分は設置者に交付金増を交渉しよう」、それがダメとなると「自己負担でやるしかない、財政悪化だ」という一連の流れは、戦略的な経営という観点から言えばひどいと言うしかないものです。しかし、それぞれを細分化、分節化すると、「短期間で組織の設置をやり遂げたのは素晴らしい」、「困難な状況下で市と一生懸命交渉を行った」、「悪化した法人財政を立て直すために果敢に支出カットに取り組もうとしている」という、あべこべの高評価を行う可能性が出て来ます。まるで旧帝国陸海軍のような話(戦略レベルはお話にならず、目先の作戦レベルに血道を上げる)ですが、現実にはどうもそちらの論理で動いているのではないかという懸念を禁じ得ません。マッチポンプのような話ですが、その場合、ツケを回されるのは一般教職員です。

引き続き、責任を持った経営と固有職員の処遇改善の実現を求めて交渉を継続します。

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2020年1月6日月曜日

マイナンバーカード取得状況調査について

先月、人事課より職員組合に対して「マイナンバーカードの取得状況調査を年明け早々に実施したい。その旨、情報提供します。」との連絡がありました。

横浜市において、このマイナンバーカードの取得状況調査に関しては回答する/しないは任意であることを労使間で確認していることに鑑み、組合より人事課に対して、市では任意であることを確認しているが、大学でも同様か、また記名式と言うが記名も任意か問い合わせて回答を求めました。

12月23日、回答がありましたが、「文科省からの依頼に応じて調査をしますが、その後の督促等までは今のところ考えていません」「記名は必須かということについては、文科省へ照会したところ、今回の調査については本学に対し、『いつ』、『誰が』、『どのような回答をしたか』について記録をするよう求めており、その情報を元に今後追跡調査も予定していることから、必要であると考えています」というものでした。

強制については曖昧にしたうえで提出しなくても督促はしない、名前については文科省が書いて欲しいと言っているから書いて欲しい、という回答です。しかし、法的には調査への協力は任意であり、更にいうならばマイナンバーカードの申請、取得も任意です。

重ねて強調しておきますが法令上、カードの取得は義務ではありません。問題が発生した場合は組合までご相談ください。

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