2009年7月17日金曜日

非常勤職員雇い止め問題に関する国立大学の動向

 昨年度、京都大学における大規模な非常勤職員の雇い止め問題をきっかけとして、職員組合でもこの問題に対する取り組みを開始しましたが、今回は京都大学を始めとする国立大学のその後の動向について簡単にご紹介します。

  • 京都大学:非常勤職員の5年での一律雇い止めに関して、一部非常勤職員が非常勤職員組合を結成、団交を要求しましたが、当局と条件で折り合わず、一方で職員組合も雇い止め反対の署名運動と団交を行いましたが、当局側は回答を拒否、結局、期限の来た非常勤職員は3月末で雇い止めになりました。非常勤職員組合は学内にテントを張って無期限ストを行うと共に京都府労委に調停斡旋申請を行い、現在も継続中です。また、職員としての地位確認と賃金支払いを求める訴訟も行っています。これに対し当局側はテント明け渡しを求め提訴に踏み切りました。
  • 東京大学:職員組合が雇い止め反対の署名運動及び団交を行いましたが、当局側は撤回を拒否。また、一部教職員有志も署名運動を行いました。結局、京都大学と同様に期限の来た非常勤職員は雇い止めになりましたが、職員組合として引き続き撤回を求め運動を継続しているようです。
  • 名古屋大:職員組合が雇い止め撤廃を要望するも当局は拒否、また、個別の非常勤職員に関する協議も拒否し、京大、東大と同様に期限の来た非常勤職員は雇い止めになりました。
  • 神戸大:教職員組合が雇い止め撤廃を要望、これに対し、当局側は雇い止め自体は撤廃しなかったものの、非常勤職員が退職後6ヶ月で再度応募できるという案を提示しました。組合が再応募までの期間を6ヶ月としたことの根拠を問うと特にないと回答、最終的に再応募までの期間は3ヶ月に短縮されました。ただし、実際に求人があるかは不明であり、元の部署で働ける保障もありません(むしろ3ヵ月後には別の非常勤職員がその職場で勤務していると考えるほうが自然でしょう)。
  • 大分大:契約期間が満了になった非常勤職員のうち希望者全員を再雇用しました。
  • 信州大:就業規則を改定し、一律の雇い止め制度を撤廃しました。
  • 佐賀大:一律の雇い止めは撤廃されたようですが詳細は不明です。
  • 電気通信大学:すでに2007年に雇い止め制度を撤廃しました。 
  • 鳥取大:2月時点で、景気悪化による雇用不安への対応として、3月に契約期限を迎える非常勤職員に対して特例的扱いを検討するとしていたようですが、その後の経過は不明です。

 以上、いくつかの国立大学における事例を紹介しました。特徴的なのは、多数の職員を有する旧帝大が雇い止めを強行したのに対して、国立大学の序列でそれよりやや下位になる神戸大学が制度の撤廃はしないものの妥協案を提示し、さらにそれより下位に位置づけられ、職員数も旧帝大に比べれば少なく経営上の余裕のない地方国大で雇い止め自体の撤廃に踏み切った大学がいくつも出ているという点です。これらの大学の内部事情についてはよく分かりませんが、法人化以降(あるいはそれ以前から)の人員削減で、人的資源に余裕のない地方国立大学の場合、実際には非常勤職員が正規職員の業務の多くを肩代わりさせざるを得ず、雇い止めを強行すれば大学の経営自体に深刻なダメージを受けるような状況になっている可能性があります。前回ご協力をいただいた非常勤職員アンケートの結果では、本学においても複数の方から正規職員と同様の業務を行っているという回答があり、もし、これらの地方大学が経営上の配慮から雇い止めを廃止せざるを得なくなったのだとしたら、本学にとっても参考にすべき事例となると思われます。

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本学の非常勤職員制度・運用について

 前回組合ニュースで非常勤職員アンケート結果についてお知らせしましたが、その後、当局に対して、本学の非常勤職員制度・運用について事実関係の把握を行う目的で、組合副委員長名で以下のような問い合わせを行っています。残念ながら、精査の上で回答したいということで現段階では回答は得られていませんが、回答があり次第、皆様には組合ニュースでお知らせする予定ですので続報をお待ちください。

●非常勤職員制度・運用についての当局への問い合わせ事項
  1. 法人化以前から勤務している複数の嘱託職員について、労働条件通知書の但し書きで、非常勤職員就業規則の規程に関らず、更新回数について、平成16年度以前の条件を引き継ぐものとする旨の記載がされていることを確認していますが、これは法人化以前から勤務している嘱託職員全員について、同様であると理解してよろしいでしょうか。
  2. その場合、非常勤職員就業規則に附則等でその旨を記載するのが本来望ましいと思われますが、現時点において、そのような検討はなされていますでしょうか。
  3. 契約職員について、任期は最長10年とされているようですが、契約職員については、非常勤職員就業規則においてその身分等に関する記載が見当たらず、そのほかの規程でも契約職員の身分、待遇等を扱ったものを見つけることができませんでした。任期の問題も含め、契約職員に関し根拠となっている学内規程は何でしょうか。
  4. 国立大学においては、雇い止めによる人的資源の喪失が教育研究、経営の能力低下につながることを懸念するなどして、複数の大学で雇い止めの撤廃、緩和などが行われています。本学においては、現時点で、非常勤職員の雇い止めの撤廃や上限回数の緩和などは検討されていますでしょうか。

 以上が、当局に対する問い合わせ事項の内容です。基本的に事実関係に関する問い合わせですので、組合としては問題なく回答が得られるものと考えていましたが、残念ながらやはり法人化以降の本学の経営は、非常に混乱した国公立大学らしからぬものとなっているようです。また、これらの問い合わせ事項のうち、特に3.の契約職員について問題は深刻です。もし、本当に契約職員が学内規程による身分や待遇の定めのないまま雇用されているとすれば、その雇用はきわめて不透明、不安定な部分を含んでいるといわざるを得ません。これらの問題について情報をお持ちの方は、ぜひ職員組合までお寄せくだるようお願い申し上げます。

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職場集会の開催について

 詳細については、決まり次第別途お知らせいたしますが、8月に八景、福浦の両キャンパスで職場集会を開催する予定です。非常に重要な事項について組合員の皆様と意見交換をしたいと考えていますので、ぜひとも皆様にはご参加いただくようお願い申し上げます。

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