2021年2月2日火曜日

緊急事態宣言に伴う在宅勤務に関する申し入れに対する回答

前号でお伝えした「緊急事態宣言に伴う在宅勤務に関する申し入れ」に対して口頭での回答がありました。回答内容は以下の通りです。


1.職員の在宅勤務が業務命令によるものである点を明確にすること

 本来、勤務場所の如何にかかわらず業務命令によらない勤務などはあり得ないはずであり、また、現に在宅勤務に給与が支払われている以上、問題になるはずのない点であるが、在宅勤務における労働者側の支出に関連し、交渉時に当局側からその点について否定する発言があったことを踏まえ、事後に問題が生じないよう、適切な対応が行われることを要望する。
 → (回答)
「就業規則では勤務場所は大学と定められている。したがって在宅勤務は本人の希望を認めているもので命令ではない」
※当局側は「業務命令」を従業員本人の希望と無関係に一方的に出すもののみを指すと考えているようです。これはもちろん解釈としてはおかしいもので、従業員の意見や希望を聞いたうえで「在宅勤務を命令している」のです。在宅での労働が業務命令によらないものだというのであれば、申し入れに書いたようにそもそも当局側には対価としての給与を払う理由がないわけですし、当局側が在宅勤務に際して「就業規則を守るよう」要求している根拠も消滅してしまいます。「業務命令」という言葉の解釈がおかしい旨、説明して再度回答を検討するよう求めました。


2.在宅勤務において超過勤務が発生した場合、法令に従い手当てを支給すること

 この点についても、前回の緊急事態宣言中の在宅勤務に関連して、当局側から「在宅勤務における超過勤務を認めていない以上、超過勤務は存在しない」という実態とは無関係の「あるべき論」からの主張が展開された。今回は、1月から新しい勤怠管理システムが導入されたところであり、在宅勤務についても新システムが適用されるとされていることから、実際の労働時間が把握されることになる。超過勤務が発生した場合は、法令に違反することなく超過勤務時間に応じた手当てを支給されたい。また、管理職が実際とは異なる労働時間を記録するよう指示したり、誘導したりすることのないよう、徹底されたい。
 → (回答)
「通常の大学での勤務と同様に、所属長への事前申告に基づき行われた超過勤務に対して手当が支給される」
※これまでの、「在宅勤務では超過勤務は認めていないのだから超過勤務は存在しない」という冷戦時代の共産圏のイデオロギーのような回答から現実に対応した姿勢へと変わりました。それ自体は評価できるものです(このレベルの対応を引き出すために1年近くにわたって延々と要求、交渉を繰り返さなければならないという点は別として)。ただし、在宅勤務では労働管理が困難になる面がある、緊急事態への対応という性格上、業務に予測しがたい面があるなどの点を踏まえ、現場での運用が硬直的になることで却ってサービス残業などを誘発することにならないよう申し入れました(もちろん、労基法、36協定などの遵守は大前提となります)。


3.個別職員の事情への配慮

 若年層に極端に偏った採用を行ったこともあり、育児、介護等、家庭における個別の事情を抱える職員が多数存在している。在宅勤務においては出勤時よりもこれらの問題に関連する困難が発生する可能性もあり、個別職員の事情を無視した在宅勤務の運用とならないよう、十分な配慮をされたい。
 → (回答)
「前回緊急事態宣言時と違って保育所は休止していない。従業員の個別事情については授業員本人がそれぞれの事情を踏まえて(在宅勤務の申請、勤務を)行っていると思う」
※全般的状況としては、当局側指摘の通り保育所をはじめとして前回に比べましな状況にあるとは言えそうです。ただし、全般的状況と異なる「個別状況」はいくらでも存在しうるものであり、問題があれば今後も組合として要求を行う旨を伝えました。もともと組合員が少なく、すべての部署での問題を把握できているわけではないこと、在宅勤務化等により組合の活動も影響を受けており、特に情報収集での影響が大きいことなどから、組合が把握できていない問題が存在する可能性は十分あると思われます。問題を抱えている方は組合にご相談ください。また、自身の問題でなくても問題を把握している方には情報の提供をお願いします。

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SDに関するお知らせ

 以前、大学専門職2人が役員になっていることを活用して組合独自のSDに力を入れていた時期がありました(例えば「本年度の学習会(職員組合SDプログラム)の概要と第1回のご案内」、「『大学職員基礎講座』(特別編)『36協定と労働基準法』ご案内」など)

 その後は、職員の身分、処遇に関する重大な経営方針、制度の変更が相次ぎ対応に追われたこと、講師役の組合役員に余裕がなくなってしまったことなどから久しく開催できていません。

 代わりにというのではないのですが、組合役員が講師を務めるSDがオンライン、学外にも公開の形で行われるのでご紹介します。

タイトル:「新型コロナ禍が照射する日本の大学の課題と大学職員」

開催日時:2021年2月12日(金) 13:00~14:30

 詳細は、広島大学高等教育研究開発センターの
https://rihe.hiroshima-u.ac.jp/2021/01/2-12-2/
ないし、京都大学高等教育研究開発推進センターの
https://w.bme.jp/bm/p/bn/list.php?i=asagao&no=all&m=1932
をご覧ください。

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