内容は以下の通りです。今年度は、第1 期中期目標・中期計画期間の終了と次期中期目標・中期計画の策定を前に様々な問題が寄せられたこともあり、例年に比べ盛りだくさんな内容になりました。それだけ本学が多くの課題を抱えているということの証左でもあります。
回答があり次第、また皆様にお知らせします。
2010 年9 月22 日 公立大学法人 横浜市立大学理事長 本多 常高 様 横浜市立大学職員労働組合 委員長 登坂 善四郎 職場諸要求に関する要望書 市民から期待され信頼される大学教育と運営の確立に向け、日頃の取り組みへのご尽力に敬意を表します。 横浜市立大学職員労働組合は、上記目的を達成するための労働環境改善に向けた職場諸要求について、以下の通り取りまとめをおこないました。本学は、法人化時の混乱と不完全な制度設計、その後の運用の混乱等から未だに抜け出せず、教育研究のみならず経営面でも数多くの課題を抱えています。第1期中期計画期間の終わりと次期中期計画期間の始まりを迎え、今、改めるべきを改めなければ本学の高等教育機関としての諸能力(特に金沢八景キャンパスにおいて)が危険なレベルにまで低下することを強く懸念します。 ご検討をいただき、10 月22 日までに改善に向けた回答をいただけますよう、ここに要望します。 Ⅰ.職場環境・職員参加 1.働きやすい職場環境と職員参加の拡大について 国立大学法人制度・公立大学法人制度の発足か6年が過ぎ、大学を巡る環境は一層厳しさを増している。高等教育機関としての総合的な経営力が問われる中、特に本学においては、大学法人制度の想定を超えたレベルの設置者による直接コントロールの強化・拡大と極端なトップダウン型経営の導入により、従前より公立大学の弱点とされていた事務局機能や適切なトップダウンとボトムアップの組み合わせが不可欠な教育研究の改善等において深刻な問題を抱えている。 本来の公立大学法人として、大学の全職員が大学の民主的な運営と教育研究への取り組みに積極的に関われる環境整備と職場内におけるコミュニケーションの拡充が重要であり、教職員間のコミュニケーションを高めながら、多くの大学職員の理解と協力体制のもとに、大学教育への取り組みが進むよう運営の改善と取り組みを要望する。 2.超過勤務への対応について 昨年来、手当圧縮等の要請からくるものと思われるが、超過勤務の抑制が行われている。もちろん、超過勤務自体は削減することが望ましいが、その方策は多く個人の努力に帰せられており、組織としての合理的・効率的なマネジメントの遂行という観点が薄く、事実上のサービス残業の強制につながりかねないものとして強く懸念する。業務と残業の実態について把握と公表を行うと共に、現場の職員の要望に基づき、私立大学に比べ著しく非効率的と思われる事務局内部の意思決定や業務執行のプロセスの効率化に努めるよう要望する。 Ⅱ.人事制度等 3.任期制の廃止について 現在、医療技術職を除く全職員に適用されている任期制に関しては、その法的根拠は曖昧であり、国会においてもその問題点が指摘されている。 第1 期中期計画期間の終わりを迎え、大学としての長期的な人事政策としても、職員の積極性やインセンティブを高める効果はかならずしも期待できず、法人化後絶えることのない職員の病気休職や退職に象徴されるように、かえってマイナスの影響の方が大きいことが明らかになったと考える。 大学の本来の目標である、質の高い教育研究の実現のためにも、本学の第1 期中期計画期間の実績、民間企業の人事政策での教訓や他大学の実態を踏まえ、任期制を廃止、より適切な人事政策を検討するよう要望する。 4.契約職員・嘱託職員雇い止め制度廃止について 契約職員、嘱託職員の多くは、実質的には不足する正職員の業務を担っており、雇い止めの強行は大学自身の経営力、大学間競争力にマイナスの影響を与えずにいられない。競争的環境の下、高等教育機関としての活動レベルの維持・向上に必要な人的資源の確保に悩む多くの地方国大が制度の撤廃や弾力的運用に動く中、本学においては、医療技術系の嘱託職員に関してのみ例外規定を活用した雇用の延長が認められているが、このような弥縫策ではなく、雇い止め制度自体を撤廃するよう要望する。 5.業務評価の適切な運用と本人公開の維持・改善について 各職場における実際の業務評価の運用は、透明性の問題、客観性の確保など、その困難性が民間企業の多くの失敗事例を始めとして、広く指摘されているところである。 人事運用の失敗は、職場のモラール・業務能力の深刻な低下を招くばかりでなく、職員間の反目や間違いを指摘できないような非生産的な職場環境を生み出す温床となることも危惧される。 評価制度の適切な運用、特に評価の客観性を担保するための評価者に対する専門的トレーニング及び評価の透明性を担保するための本人に対する一層詳細な評価情報(判断根拠に関する評価者の記述等)の公開を行うよう要望する。 6.紛争処理手続きにおける客観性の確保について 本学におけるハラスメントや人事等に関する紛争処理に当たる委員会等は、基本的に学内者のみで構成されており、外部の弁護士等の客観的な第3 者の参画が想定されていない。全員任期制という制度下においては、一般の教職員にとっては学内の幹部のみで構成される組織に対して各種の訴えを起こすこと自体ためらわれるケースがあり、紛争処理における客観性の確保、ひいては風通しのよい良好な職場環境の確保のために、これらの委員会等に客観的で大学及び設置者に利害関係を持たない第3 者を加えるよう制度の改定を行うことを要望する。 7.契約職員の規程上への適切な位置づけについて これまでも職員組合が指摘してきたように、契約職員については、関係規程上に位置づけがなく、「公立大学法人横浜市立大学契約職員雇用要綱」なる根拠・手続きの不明な一枚の文書がその存在、雇用条件等の根拠となっている。このような状態はもちろん異常であり、規程上に明確に位置づけるよう要望する。また、その際、8 時30 分から5 時15 分までの勤務時間、週5 日間勤務で残業もあるという雇用条件の契約職員を非常勤職員として扱うのはいかなる意味においても無理があり、当然、常勤職員として位置づけるよう要望する。 8.大学専門職制度の堅持と評価の客観性、透明性の確保について 大学専門職制度は、本学の法人化に当たって大学職員の高度化、専門化の試みとして紛れもなく国内大学において先進的な取組であったが、実際には市派遣幹部職員によって制度運用段階で事実上存在しないか、単なるプロパー職員管理職に関する身分であるかのように変質させられ、さらに次期中期計画においては制度自体を消滅させ、職員制度を地方公務員制度に同一化させるがごとき動きが見られる。大学専門職制度を堅持すると共に、その評価に当たっては、制度設計の趣旨に則り、その専門分野に関する業績・経験を有し、専門的見地から客観的に評価しうるものを参加させるなど、客観性・透明性を確保するための措置を取るよう要望する。 9.職場の職員配置内容を明確にすること 職場の人員体制の明示は、労働環境を守る観点からも基本事項にとなる重要な問題である。職員の配置や配属のあり方においては、他大学等の調査をおこなうと共に、具体的に業務の実態を比較検討し、適切で働きやすい配置内容となるよう、提案と説明を要望する。
10.職員の配転基準の明確化について 職員の配置基準についての骨格を明示するとともに組合と事前に協議するよう要望する。職員配転に当たっては、職員のキャリア形成を図る観点からも、中・長期的な視点のなかで仕事に取り組めるような配転等の基準を要望する。 11.派遣社員の対応について 各職場における派遣社員の配置においては、その必要性や運用の効果と課題を見極め、職場内で十分な論議をおこなうとともに、慎重な対応を要望する。また、職場における変更事項として、変更が生じた場合には組合に事前提案をおこなうよう要望する。 12.教室業務に係る出張手続きについて 医学部教室における業務出張について、大学の出張として認められないケースがある。事故の際の取扱等の問題もあり、大学の業務として事務手続き上も位置づけるよう要望する。 Ⅲ.コンプライアンス 13.コンプライアンス重視の経営の確立について 法人化以後、学位授与等を巡る問題などで本学のコンプライアンスが問題となった。その一方で労働三法を始めとする労働関係法規に関する法人化以降の本学の対応の問題は、社会的には明らかになっていないため批判を受けるようなことにはなっていないが、非常に問題のある状態が続いている。最近数ヶ月の有給休暇の時間単位取得にかかる労基法の改正に対する対応や育児休業・介護休業等に関する法改正に対する対応に現れたように、法人化された大学においては(地方公務員法等ではなく)基本的に民間企業と同様の労働関係法規が適用されるにもかかわらずそもそも関係法規をきちんと読んでいないと思われるケースや、民間の雇用の基本的ルールである「契約」という概念を理解していないのではないかと思われるケースなど、法人化された大学の運営の前提となる法的リテラシーに関して担当部署、市派遣幹部職員等の理解には危惧を覚えざるを得ない。本来の意味でのコンプライアンス(法令に則った組織運営)を徹底させるよう要望する。 Ⅳ.給与等 14.給与システム等人事システムの信頼性の確立について 今年度の2度に渡る職員組合のチェックオフに関する誤り(職員組合とは何の関係もない付属病院教員が何故か職員組合員として登録、問題発覚の翌月も同様のミスが繰り返され、しかも原因は最終的に組合に対し明らかにされていない)や福浦キャンパスの臨床系教員の諸手当について間違いが頻発しているなどの状況は、給与システム等人事システムの信頼性に対し不安を覚えさせるものである。以上の2つのケースについては当事者の組合や教員側が気づけば是正可能な問題ではあるが(もちろん本来あってはならないミスである)、一般的な月々の給与・手当等の支給額が正確かどうかなどは各教職員にとって確認の困難な問題であり、信頼しうるシステムの存在は教職員が安心して業務に取り組むための大前提である。給与システム、給与等の処理に関する作業手続き等人事システムの信頼性の確立を要望する。 Ⅴ.入試業務 15.昼食時間中の拘束性の高い入試業務においては、従事者に弁当を支給することについて 入試の実施に際しては、安全・公正な実施環境の保持のため、関係者の不要な外出を制限しまた実施時間割の関係から、関係者が試験本部等の限られた場所と時間において、拘束性の高い状態で昼食を取る必要がある。 昨年度、弁当の公費負担が認められず、関係者から私費負担で代金を徴収して対応したが、このような金銭管理を担当者が行わなければならないことは好ましいことではなく、従事者に対し弁当の支給を行うよう要望する。 Ⅵ.施設整備 16.施設整備・管理に関する体制の整備 金沢八景、福浦キャンパス等における施設の整備や管理体制は整理されておらず、日常的な施設設備の利用や管理、将来に向けた適切な整備において問題がある状態となっている。権限と責任を明確化した体制の整備を行うよう要望する。 17.福浦キャンパストイレの洋式化について 福浦キャンパスの医学科の建物は、一部整備が行われたものの、洋式トイレの比率が少ない状況にある。学生利用への配慮を含め、引き続きトイレの洋式化を図るよう要望する。 |
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