2020年12月30日水曜日

職員労働組合・横浜市従大学支部 2020-2021年度 活動方針について

12月4日、2020-21年度の職員労働組合・横浜市従大学支部の大会を開催し、活動方針について下記の通り決定しました。


職員労働組合・横浜市従大学支部 2020-21年度 活動方針

  1. 働きやすい職場環境の確保への取り組み

    社会環境の激変とそれに伴う大学への要求の多様化、公的助成の削減など日本の大学を巡る環境は年々厳しさを増しています。特に横浜市立大学においては、法人化以降、全員任期制の導入、国立大学の比ではない大幅な経費の削減、市OB・市派遣幹部職員への経営権の集中による非効率な業務の増加と現場負担の増大など、国立大学法人、多くの公立大学法人に比べ非常に不安定な経営環境下に置かれることになりました。労働契約法の改正と法人化以降の取り組みの結果、固有常勤職員の任期制は廃止されたものの、それのみで固有常勤職員をめぐる諸問題が解決されたわけではなく、人材育成、人事評価、労働時間等の職場環境に関する多くの問題が残されています。雇用契約法改正による非常勤職員の一般職への移行に関しても、給与の改善は伴わないままの責任と負担のみの増が懸念され、新たに設けられた有期雇用職員から一般職への転換に関する公平性への疑念、一般職における短時間勤務とフルタイム勤務における時間当たりの給与格差など幾つもの問題が残されています。また、財政の膨張を支えていた附属病院経営の悪化と今期中期計画における経営拡大方針により法人の財務状況は急速に悪化しつつあり、固有常勤職員の給与体系の変更や教員に対する給与・賞与・退職金の削減提案など、そのしわ寄せが早くも人件費に及びつつあり、消費税引き上げ、附属病院における無給医問題による問題のさらなる深刻化も予想されます。過去の若年層の極端に偏った固有常勤職員採用と「法人財政の厳しさ」を謳いながら同時に行われている近年の経営拡大という構造的要因により、今後、法人の経営はさらに悪化することが予想されます。組合の警告に耳を傾けることなく実施されたこれらの施策のつけを、経営責任を問うことなく一般教職員、そして学生に転嫁することは容認できるものではありません。さらに今回の新型コロナ禍は、在宅勤務など労働環境の激変をもたらしていますが、来年度以降、雇用環境へも影響が拡大する可能性が高くなっています。

    大学に働く職員の職域を代表する労働組合としてこれらの問題に取り組み、法人化時の「固有職員の処遇は市職員に準じる」という労使合意を遵守させるとともに、職員の労働環境の改善、安心して働ける職場の確保に全力を挙げます。
  2. 組織拡大への取り組み

    法人化以降、市派遣職員の引き上げ・退職に伴う組合員の減少が続いていましたが、常勤・非常勤の固有職員の加入により減少に歯止めがかかりそうな様子も見えてきました。とは言うものの、大学にとどまっている市派遣職員は漸次退職を迎え、固有職員の組合員については、常勤職員、非常勤職員とも様々な問題を抱え、かつ多忙化により目前の業務以外に目を向けるゆとりさえ失いつつある状況で組合の維持・拡大は依然として容易ではない状況です。また、若年層に広くみられる、労働環境や雇用条件等に問題を感じる場合、労働組合に加入して職場の改善に地道に取り組むのではなく転職を選択するという傾向は本学においても共通しており、固有職員組合員の退職による組合の脱退も続いています。組合ニュース【公開版】を通じた情報提供、問題提起等によりプロパー職員の組合に対する信頼・期待は高まっていますが、これを新規組合員の獲得・組織の拡大へとつなげていく必要があります。特に、近年は新規職員の一括採用が無くなり、これに合わせて実施していた広報・勧誘活動も行われない状態が続いているため、これらの取り組みの立て直しを図ります。また、職場集会、学習会などを通じてずらし勤務の試行導入や業務の多忙化で難しくなっている組合員相互の交流を確保・促進し、組合の基盤を強固なものとします。
  3. 常勤固有職員の給与体系変更、人事考課制度変更問題への取り組み

    2017年度来、交渉を行ってきたこれらの問題については一昨年8月、9月に相次いで大枠で合意しました。しかし、制度の具体的設計、運用等に関しては懸念すべき点が残っており合意時に確認した一定期間経過後の検証も含め、引き続き制度化と運用について注視して行きます。また、市職員との処遇差が生じている住居手当に関しては、一昨年来、たびたび交渉再開を求めているにも拘らず、以前として交渉が行われないままとなっており、引き続き交渉再開を求めるとともに格差の解消に取り組みます。
  4. 嘱託職員、契約職員の一般職への移行に伴う問題への取り組み

    雇用契約法改正による非常勤職員の一般職への移行に関しては、一昨年7月に大枠に関して合意しましたが、その時点で本学嘱託職員と横浜市嘱託職員で月額4万円以上に格差が拡大していた給与についての改善は実現しませんでした。それにもかかわらず、正規職員化に伴い責任と負担のみの増が懸念される状況で、また、制度変更後の有期雇用職員から一般職への転換に関する公平性への疑念、一般職における短時間勤務とフルタイム勤務における時間当たりの給与格差など幾つもの問題が残されています。短時間勤務契約でありながら超勤の恒常化により実態としてはフルタイム勤務となっているにもかかわらず、この時間当たりの給与格差により、超勤手当を合わせても同じ時間働いたフルタイム契約の一般職より給与が少ないなどの問題も発生しており、これらの問題の解決を求めるとともに、横浜市嘱託職員並みの給与の獲得を目指して取り組みを継続します。
  5. 大学専門職の雇用問題への取り組み

    大学専門職制度は、国内の大学関係者等の大学職員の高度化への要請に対する先進的取り組みとして導入されたものでしたが、法人化直後から大学の経営権を事実上掌握した市派遣幹部職員によって、その趣旨を無視した制度運用が行われ、告発本の出版など様々な問題が起こってきました。組合執行委員でもある大学専門職2名についても3年ごとの契約更新の度に様々な問題に見舞われ、前回の契約更新に際しては、「学務教授」への変更について、教員、固有職員、横浜市職員に比して著しく均衡を逸した実現困難な基準を一方的に示すなど、職員の高度化や専門化とは相反する人事政策上の動きが続いています。労働契約法の規定により無期雇用転換権が発生しているため、任期制の問題は法人の方針とはかかわりなく強制的に解決されることになりましたが、高度専門職としての適正な処遇を求め、今後も取り組みを継続します。
  6. コンプライアンスに基づく労使関係確立への取り組み

    1.でも記したよう法人化以降積み重ねてきた交渉や組合ニュース【公開版】等を通じた指摘がある程度の影響を及ぼした模様で、法人化後の数年間の状況に比べれば担当者レベルでの対応に関してはある程度の改善が認められるものの、法人化後、事実上人事権等を掌握する市派遣幹部職員の労働3法、労働契約法を始めとする関係法令、制度等への知識・認識の不足が本学の労使関係の底流を流れており、それが人事制度、制度運用、個別の雇用関係トラブルに大きく影響を与えています。ただし、一昨年度来、政府の労働政策上の修正を反映したものと思われる労働基準監督署からの厳しい指導があり、法人としても組合との関係も含め法令順守の姿勢を示さざるを得ない環境下に置かれています。これも追い風として関係法令及びそこで保障された労働者・労働組合の権利の尊重に基づく労使関係の確立を求め取り組みを続けます。
  7. 新型コロナ禍による雇用労働環境への影響に対する取り組み

    新型コロナ禍により、大学では民間企業などと同様に広く在宅勤務が行われるとともに、学生への教育の短期間でのオンラインへの切り替え、経済的困難におちいった学生への支援措置などの新たな取り組みが必要となりました。これに伴う労働環境上の問題については、すでに複数回にわたって当局側に対して要求や交渉を行っていますが、在宅勤務についてそもそもそれが業務命令によるものであることを否定するなど、非常時であることを考慮しても当局側の認識や対応には不審な点が目に付き、様々な問題が残されたままとなっています。さらに来年度には大学、そして設置者である横浜市の財政悪化に伴い、雇用環境についても影響が出てくることが予想されます。適切な労働環境の確保と雇用環境の維持を目指して取り組みを続けます。
  8. 横浜市従本部、教員組合等との連携

    本学の労働環境は、法人プロパー教職員にとって非常に厳しい状態が続いています。横浜市従本部、病院組合、近年、金沢八景キャンパスにおける諸問題について共同で要求、交渉を行うことが増えている教員組合等との連携を深めつつ、山積する問題に取り組んでいきます。
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1月からの八景キャンパスの新しい36協定について

2020年12月31日で現行の36協定が期限切れを迎えるため、2021年1月1日から3月31日までの八景キャンパスの新しい36協定が締結されました。現行の協定は、新型コロナの影響で始まった在宅勤務に十分に対応したものとなっていないのですが、この点について、在宅勤務の際の残業の取り扱い(この点についてはこれまでも報じてきたように、組合の要求に対して当局側は「残業は認めていない。したがって残業は存在しない」というスタンスを取ってきました)、および在宅勤務にかかる経費の負担(この点についても当局側は「在宅勤務は業務命令に基づくものではないので法人が経費を負担する必要はない」という事実に反するアクロバティックな主張を展開してきました)を含め、来年度からの在宅勤務の制度化に向けて組合と協議することが約束されたため、とりあえず年度内に関してはこれまで通りの内容とすることを認めたものです。

内容は以下の通りです。

時間外労働及び休日労働に関する労使協定書

公立大学法人横浜市立大学(以下「法人」という。)と金沢八景キャンパス事業場の職員の過半数を代表する者(以下「八景キャンパス事業場過半数代表者」という。)は、労働基準法第36条第1項に基づき、時間外労働及び休日労働に関し、次のとおり協定する。

(定羲)
第1条 この協定において「時間外労働」及び「休日労働」とは、次に掲げる労働をいう。
(1) 時間外労働とは、法定労働時間を超えて行う労働及び勤務を要しない日に行う労働をいう。
(2) 休日労働とは、法人職員就業規則第40条に規定する休日に行う労働をいう。

(時間外労働・休日労働を必要とする場合)
第2条 法人は、次のいずれかに該当するときは、時間外労働又は休日労働を命ずることができる。
(1) 対外的事由により、法定労働時間内にその業務の実施が不可能なとき
(2) 入学試験、就職等の学生支援業務が集中し、法定労働時間内の勤務では処理が困難なとき
(3) 入学試験関連業務を行う必要があるとき
(4) 契約等により時期の限られた業務を実施する場合であって、作業を予定どおり進捗又は完了させるとき
(5) 専門的な技術、知識、経験等を必要とする業務を行う場合であって、その業務の処理を他の職員に代替させることができないとき
(6) 災害又は災害発生のおそれのある時など、臨時に作業を行う必要があるとき
(7) 各種システムの運用、操作等を行わなければ法人の運営に支障がでるとき
(8) 緊急を要する施設管理・補修のための業務を行う必要があるとき
(9) 決算に関する計算及び書類作成を行う必要があるとき
(10) 月内、期末等の経理事務等が繁忙なとき
(11) 各種行事又は会議の資料作成及びその他行事・会議開催に係る業務を行う必要があるとき
(12) その他前各号に準ずる事由が生じたとき
2 職員は、正当な理由がある場合には、時間外労働及び休日労働を拒むことができる。

(時間外労働及び休日労働を必要とする業務の種類及び職員数)
第3条 時間外労働及び休日労働を必要とする業務の種類及び職員数は次のとおりとする。
(1) 事務系職員 140 人
(2) 技術·医療技術系職員 7 人
(3) 医務系職員 2 人
(4) 教員 l35 人
(5) 非常勤職員 51 人
(6) 非常勤教員 15 人

(延長することができる勤務時間数)
第4条 この協定によって延長することができる勤務時間数は、次のとおりとする。
(1) 1日につき4時間
(2) 1か月につき45時間以内
(3) 1年につき360時間以内

(勤務させることができる勤務を要しない日及び休日数)
第5条 この協定によって延長できる、勤務を要しない日及び休日(以下「休日等」という。)数は1か月につき4日以内とする。

(休日等勤務の時間数の限度)
第6条 前条の規定により休日等に勤務させることができる時間数は、1日の休日等につき8時間以内とする。ただし、必要と認められる場合には第4条第1項第1号で定める1日の延長時間の範囲内において延長することとするが、第4条の各号の延長時間には算入されない。

(限度時間を超える時間外労働)
第7条 法人は、第2条第1項各号に掲げる業務に従事する職員のうち、一時的又は突発的に第4条に定める限度時間を超えて業務を行う必要がある場合であって、その業務が次号に掲げる事由に該当する場合には、労使の協議を経て、年6回を限度として、第4条各号に関し1か月80時間まで及び1年につき720時間まで延長することができる。
(1) 入学試験、定期試験、卒業・進級判定に関する業務
(2) 学部設置認可申請・届出に関する業務
(3) 緊急を要する学生への対応業務
(4) 予算・決算業務
(5) 3月・4月の採用・退職手続き及び年末調整業務
(6) 大規模災害の発生時対応
(7) 重大な施設(電気、機会、機器等)のトラブル対応
(8) 大規模な施設の改修
(9) 大規模なシステムの改修の業務
(10) 臨時かつ緊急対応が求められる市会業務及び外部機関への対応
(11) 公的機関による立入調査のうち臨時に実施されるものへの対応
(12) 時限的なプロジェクトに関する業務
(13) 国・県等の補助金事業への申請・事業報告等の対応
2 前項を適用した場合において、法人は当該職員の健康・福祉の確保のため、次の各号に掲げる措置を実施する。
(1) 保健管理センターによる相談
(2) 産業医等による助言・指導や保健指導

(時間外労働の割増賃金率)
第8条 時間外労働の時間数が1か月45時間を超えた場合又は1年360時間を超えた場合の割増賃金率は2割5分とし、1か月60時間を超えた場合の割増賃金率は5割とする。

(育児又は家族の介護を行う職員の時間外労働等の制限)
第9条 第4条、第5条及び前条の規定にかかわらず、育児又は介護を行う職員が請求した場合には、法人職員の育児・介護休業等に関する規程第20条、第20条の2及び第21条の規定により、時間外労働及び深夜勤務を制限する。

(有效期間)
第10条 この協定の有効期間は、令和3年1月1日から令和3年3月31日までとする。


令和2年12月22日

公立大学法人横浜市立大学 理事長 二見 良之

金沢八景キャンパス事業場過半数代表者 小幡 敏行


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