2011年4月15日金曜日

(訂正):中教審答申「グローバル化社会の大学院教育」と産経新聞の誤報(?)、あるいは「バスに乗り遅れるな」

 前回の組合ニュースで書いた中教審の大学院教育に関する答申についての記事ですが、非常に初歩的な間違いをやらかしてしまいましたので訂正します。

 答申内容の具体化に向けた事業として「博士課程教育リーディングプログラム」の紹介をしましたが、この採択件数について、「オールラウンド型17件、複合領域型10件、オンリーワン型5件」と書きましたが、正しくは「全17件 オールラウンド型2件、複合領域型10件、オンリーワン型5件」です。単に、最初に出ている合計採択件数をオールラウンド型の採択件数と読み間違えて、そのまま気づかなかったようです。

 因みに、局別の詳しい予算資料を見ると、オールラウンド型は1件当たり3億円、複合領域型は1件当たり2億5千万円、オンリーワン型は1件当たり1億5千万円が計上されています(実質半年で!)。さらに支援期間は最大7年とされていますから、予定通りにいけば、この事業に採択された大学院とされなかった大学院の7年後の格差は、投資額から見る限り相当大きなものとなるでしょう。

 答申が意図し、「博士課程教育リーディングプログラム」が誘導・促進しようとするアメリカ型大学院への転換がそう簡単にいくかどうかについては、前回疑問点等を書いてみましたが、しかし、この予算額、支援期間から見る限り、文科省自身は相当本気で、一部の厳選された大学院においてこの方向を進めるつもりのようであり、これは言い換えれば大学院における機能分化が政策的に強力に推進されることを意味しています。民主党の参院選の敗北に加えての今回の震災で、予算自体は成立したとは言え、それが本当に実施されるのかは不透明になってしまっていますが、文科省がいわば大学の機能分化を、内部組織や教育課程のあり方まで含め、文科省自身の設計図に基づいて本格的に推進しようとした最初の年ということになるのかもしれません。
(菊池芳明)

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