2017年8月26日土曜日

人事考課制度見直し提案に対する組合回答

上記のような当局側回答を受けて、8月23日、この問題について最終的に組合として回答を行いました。

①問題点は依然としてあるものの、当初予想していたような大幅な変更ではなく、現行制度の延長上にある修正であること、②異議申し立てにおいて外部者を入れること以外については、基本的に組合の要求に近い修正がなされたこと、③特に3年程度を目安として評価・検証とそれに基づく見直しが約束されたため、問題があれば制度の修正も可能であること、以上の理由から、今回は当局側回答の実行を条件として当局側提案を了解したものです。

2017年8月23日
公立大学法人 横浜市立大学
理事長 二見 良之 様
横浜市立大学職員労働組合 執行委員長
横浜市従大学支部 支部長 三井 秀昭

固有常勤職員人事考課制度見直し提案について(回答)

6月30日付で提案のあった固有常勤職員人事考課制度見直し提案について、以下の通り回答します。


今回の当局側の提案内容については、7月18日付要求に示したように組合としては複数の問題点があるものと考えるが、組合の懸念事項に対して概ね対応が約束され、3年を目途とした評価・検証とそれに基づく見直し、及び組合との協議が明確にされたことから、今回の提案内容については基本的に了解するものとする。

8月22日付の組合要求に対する回答事項、特に現在の「人事考課に関する相談等」制度の改善及び3年を目途とした新人事考課制度の評価・検証とそれに基づく見直し、組合との協議については確実に実行されたい。


以上

懸念点という事で以下2点ほど付け加えておきます。

第1に、今回の提案も含めた本学の職員の育成、評価は、基本的に職能資格制度をベースに目標管理、ACPAの大学マネジメント・業務スキル基準表などが混合されて作られているようですが、職能資格制度にしてもACPAの基準表にしても、基本的にまず職場の「仕事」の分析が必要になります。これを「ジョブ」を単位としてやってしまうと日本のメンバーシップ型雇用の働き方と適合しないので、職能資格制度を理論化した楠田丘は、より細かい「課業(タスク)」を単位として各現場で分析すること(「職務分析」ではなく「職務調査」)を提唱しました。それ自体は理に適っているのですが、「職能資格制度」を導入したはずの多くの日本企業では、実際には「職務調査」は実施せずに職能資格制度を導入しました。恐らくは、調査の負荷とメンテ、それに基づく運用のコストを嫌ってのものなのでしょうが、同様に負荷を嫌って制度の“空洞化”に至った場合、人件費抑制を基調とした“成果主義”との組み合わせは評価と分配に関する不満を引き起こす可能性があり、逆に真面目に「職務調査」に取り組み、厳密な評価とそれに基づく配分に取り組めば、それ自体のもたらす負荷が組織の活動を圧迫する懸念があります。これらの問題については交渉の過程で指摘しましたが、交渉段階で人事課に指摘しても担当課レベルで受け入れられるような話でもなく、とりあえずは実施とそれに基づく評価・検証を見守ることにしたものです。

第2に、労働組合の主要な役割は、今回のような従業員に関わるシステム・制度というマクロの枠組みに関して従業員の立場に立って交渉を行うことですが、従業員全体ではなくシステム・制度の中での個別の従業員の問題への対応も重要な役割です(むしろ実際には法人化後、こちらの方が大きなウェイトを占めてきました)。今回の制度については、上記のように問題点は依然としてあるものの、現行の異議申し立て制度の改善と3年程度の実施後の検証・評価及び必要な見直しを約束させることが出来たのでとりあえず実施に同意しましたが、3年程度の間はこの枠組みで動くことになり、それに伴う問題の発生が予想されます。

特に現行の「人事考課に関する相談等」制度については、前述のように少なくとも一部について改善が約束されましたが、それで本当に機能する保証はありませんし、全体として改善されたとしても個別に問題のあるケースが発生することは十分にあり得ます。過去において組合に相談があった事例においては、組合要求に対する当局側回答の解説部分で示した4つの問題点のいずれかにぶつかり、申し立てを断念するか、申し立てても店晒しにされ自然消滅というパターンに終わってしまいましたが、今回は少なくとも当局側が問題の存在を認め、一部については改善が行われることから、組合としても以前よりも交渉の余地が広がることになります。新制度下での人事考課において、「納得できない」「おかしい」と感じた職員の方は組合までご相談ください。

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