2017年8月26日土曜日

人事考課制度見直し提案に対する組合要求への当局側回答

6月30日に固有常勤職員の人事考課制度に関する当局からの変更提案があり、それに対して7月18日付で組合から要求を行いました。

それ以降、当局側と3項目の要求事項について交渉を続けていたのですが、8月22日に当局側より最終的な回答を受け取りました。

回答は以下の通りです。


平成29年8月22日

人事考課制度見直し提案に対する組合要求への回答

組合要求内容当局側最終回答
1.新制度の目的として掲げている「職員のモチベーション向上」に関連し、一般職員による管理職評価を同時に導入すべきである。これは人事考課全体の適切性の担保のためにも有効であると考える。  管理職自らの気づきを促し、人材育成や組織活性化に活用することを目的とする「360 度フィードバック」について、来年度からの導入を視野に入れながら検討してまいります。
2.考課内容について異議がある場合の申し立て制度を整備することが必要である。異議申し立て機関は、学外の、本学や横浜市と利害関係を持たない、人事に精通した複数の外部者を中心として構成されること。  人事考課結果に対する苦情の多くは、本人の自己評価と上司の評価との間で乖離が生じた場合に具体的説明がなされないなど、フィードバックが十分に機能していない場合にあることから、全管理職を対象に実施する人材育成研修等を通じて徹底されるよう周知します。
また、各所属の人事担当課による相談窓口の周知を図るとともに、人事考課に関する相談窓口が効果的に運用されるよう、苦情申出期限の見直しや処理決定期間等の明示化など、人事考課制度の見直しと併せ、検討してまいります。
なお、人事に精通したとしても、外部者は必ずしも本学の人事制度や実態に通じているものではないことから、外部者を中心とした異議申し立て機関については、慎重に考えたいと思います。
3.人事考課制度をより精緻に設計、運用することについては民間企業において多くの先行事例が存在し、少なくともその一部については、実施上の負担に伴う制度の形骸化や構成員の評価に対する不満の高まりなどの問題につながっている。仮に新制度について当局提案通りに実施に移す場合、3年程度の実施の後、その成果、課題について当局・組合側で評価を行い、必要があれば修正等を行うこと。  制度の運用にあたっては、3年を目途に評価・検証を行い、その結果を学内へ公表するとともに、組合からの意見も取り入れながら必要な見直しを検討します。



いくつか解説を加えると、1.については、極端なトップダウン型組織において人件費縮小を前提とした評価制度を実装すると、正確でない評価(そもそもメンバーシップ型雇用において“個人の成果”を正確に測定・評価できるのかという問題もありますが)や人間関係に影響された評価などによる負の影響が大きくなるため、一般職員による管理職評価を導入することにより、それを緩和する目的で要求したものです。

それに対して当局側が検討を表明した管理職に対する「360度評価」は、そのような効果もない訳ではありませんが、直接的にはそのような趣旨のものではなりません。組合が「360度評価」を要求しないもう一つの理由は“コスト”の問題です。大学に“アカウンタビリティ”が持ち込まれて相当な時間が経過しましたが、アカウンタビリティのための評価の負担、トレードオフの関係になることもある改善のための評価の後退等の問題が生じています。法人化以降のトップダウン型組織における弊害は組合としてもいやというほど味わってきたので、その対応は必要なものと考えていますが、「360度評価」については、コストに見合うほどの意義があるのか疑問を持っており、「トップダウン型組織における人件費縮小を前提とした評価制度」の弊害の緩和を優先した要求としています。

2.については、当初、昨年度の給与体系の変更提案時に新たな人事考課制度についても検討するとされていたため、セットで異議申し立て制度も新たなものになると考えて上記のような内容で要求したものです。しかし、当局側にはそのような意図は無く、かつ、回答のように外部者を入れること自体受け入れられないというスタンスであったため、途中で現行の「人事考課に関する相談等」制度の改善へと要求を変更しました。

具体的には、①市よりもはるかに小規模な大学の事務局において、学内の上位者のみで構成された機関へ一般職員が異議申し立てを行うことは心理的に困難、②「一般相談・苦情相談」の処理期間が定められておらず、勇気を出して申し出を行ってもこの段階で店晒しにされる、③本人による申し出の期限が短すぎる(考課結果等開示後の1週間or2週間)、④「考課者」自体が考課に当たるには不適切な人物である場合が想定されていない(パワハラの当事者であるケースなど)として、4項目の改善を求めました(ちなみにこれらは実際に組合に相談等があった事例です)。最終的な当局側の回答は②、③について問題の存在を認め改善を検討するというものになりました。①については、せめて手続き的な透明性や公平性の担保のために、2段階になっている現行制度の2段階目「苦情処理手続き」だけでも1人でいいから外部者を入れるようにと要求しましたが、当局側を翻意させることは出来ませんでした。

3.については、当初の当局側回答にはなかった評価・検証を行う時期の明示、結果の学内への開示について最終的に勝ち取ることが出来ました。

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