2010年3月25日木曜日

「非常勤職員の雇い止めに関する要求書」回答

 昨年来、度々取り上げてきた非常勤職員の雇い止め問題ですが、前回の職員組合ニュース【公開版】でご紹介した12月16日付け「非常勤職員の雇い止めに関する要求書」に対して、2月23日にようやく回答がありました。回答の内容は、規則どおりに雇用の更新は4回までを基本とするというもので、残念ながら非常勤職員の雇い止め制度の廃止と制度廃止までの間、希望する非常勤職員の雇用の継続を行うという職員組合の要求は受け入れられませんでした。

 ただし、この間、当局との折衝において、病院で医療に従事する嘱託職員に関して非常勤職員就業規則の但し書きを使った雇用の延長がありうることが示されました。具体的には、「嘱託員の雇用期間について」なる文書に基づき、特別の事情があるとして所属長が要請し、理事長が必要と認めた場合は、非常勤職員就業規則第4条の3の但し書き「ただし、職務の性質等特別の事情があり、理事長が必要と認める場合にはこの回数を超えて更新することができる」を適用し、雇用の延長を行うというものです。これにより非常勤職員のうち、病院で医療に従事する嘱託職員に関してのみ、雇用の延長の可能性があることになりました。

 とは言うものの、この措置には、①医療職以外の非常勤職員はそもそも対象外、②本人の希望ではなく、あくまでも上司の判断に基づく、③例外規定の活用では、その適用対象になるかどうかの判断が毎年行われ、雇用の継続はその結果次第ということになり、対象者は1年単位の不安定な雇用条件下に置かれる、等の重大な問題があります。

 また、このような病院の医療職にのみ適用するという判断は、外部環境の激変により大学の経営能力の強化が必要な中、教育研究、大学経営のいずれにおいても専門家でない市職員に実質的な権限を集中するという本学の特異な状況を反映したものとも言えます。病院の医療職に関しては、人員の確保が困難で、かつ必要な人員を確保できなかった場合のリスクの予想が素人でも容易である一方、それ以外の職員に対しては、大学経営に関する専門知識、経験を欠いている場合、まるで20年以上前の大学のような定型的な事務作業をイメージし、職員もいくらでも代替可能であるかのように考えてしまう可能性があります。既にお伝えしたように、少なからぬ地方国立大学において、非常勤職員の雇い止めが大学の経営能力の低下を招き、大学間競争力の低下につながることが認識され、制度の撤廃や緩和が行われています。また、国立大学における非常勤職員雇い止めの代表格である京都大学も、来年度以降、雇い止めになる非常勤職員の再応募を認めるという方向転換が決定されています。職員の雇用を守るという観点からも、また、大学の経営能力の低下を防ぐと言う観点からも、職員組合は来年度以降も雇い止め制度の廃止に向けた取組を継続します。

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