2021年12月27日月曜日

職員労働組合・横浜市従大学支部 2021-2022年度 活動方針について

12月17日、2021-22年度の横浜市立大学職員労働組合・横浜市従大学支部の大会を開催し、活動方針について下記の通り決定しましたのでお知らせします。


職員労働組合・横浜市従大学支部 2021-22年度 活動方針

  1. 働きやすい職場環境の確保への取り組み

    社会環境の激変とそれに伴う大学への要求の多様化、公的助成の削減など日本の大学を巡る環境は年々厳しさを増しています。特に横浜市立大学においては、法人化以降、全員任期制の導入、国立大学の比ではない大幅な経費の削減、市OB・市派遣幹部職員への経営権の集中による非効率な業務の増加と現場負担の増大など、国立大学法人、多くの公立大学法人に比べ非常に不安定な経営環境下に置かれることになりました。

    労働契約法の改正と法人化以降の取り組みの結果、固有常勤職員の任期制は廃止されたものの、それのみで固有常勤職員をめぐる諸問題が解決されたわけではなく、人材育成、人事評価、労働時間等の職場環境に関する多くの問題が残されています。雇用契約法改正による非常勤職員の一般職への移行に関しても、給与の改善は伴わないままの責任と負担のみの増が懸念され、新たに設けられた有期雇用職員から一般職への転換に関する公平性への疑念、一般職における短時間勤務とフルタイム勤務における時間当たりの給与格差など幾つもの問題が残されています。

    また、財政の膨張を支えていた附属病院経営の悪化はコロナ禍に伴う緊急支援という非常事態に伴う要因により一時的に好転していますが、あくまでも一時的な状況であり、今期中期計画における経営拡大方針という支出の拡大を前提とする基本的な方向性の下、固有常勤職員の給与体系の変更や教員に対する給与・賞与・退職金の削減提案など、しわ寄せが一般教職員の人件費に及んでいます。

    マクロ経済環境は消費税引き上げの影響に加え、新型コロナ禍による経済的打撃により、さらなる深刻化の可能性があります。過去の若年層の極端に偏った固有総合職採用と「法人財政の厳しさ」を謳いながら同時に行われている近年の経営拡大という構造的要因と併せ、今後、法人の経営はさらに悪化することが予想されます。組合の警告に耳を傾けることなく実施されたこれらの施策のつけを、経営責任を問うことなく一般教職員、そして学生に転嫁することは容認できるものではありません。さらに今回の新型コロナ禍は、在宅勤務など労働環境の激変をもたらしていますが、この点への法人の対応も十分なものではありません。

    大学に働く職員の職域を代表する労働組合としてこれらの問題に取り組み、法人化時の「固有職員の処遇は市職員に準じる」という労使合意を遵守させるとともに、職員の労働環境の改善、安心して働ける職場の確保に全力を挙げます。
  2. 組織拡大への取り組み

    法人化以降、市派遣職員の引き上げ・定年退職、固有職員の転職等に伴う組合員の減少が続いおり、固有職員の組合員については、すべての職種で様々な問題を抱え、かつ多忙化により目前の業務以外に目を向けるゆとりさえ失いつつある状況で組合の維持・拡大は依然として容易ではない状況です。

    また、若年層に広くみられる、労働環境や雇用条件等に問題を感じる場合、労働組合に加入して職場の改善に地道に取り組むのではなく転職を選択するという傾向は本学においても共通しており、固有職員組合員の退職による組合の脱退も続いています。

    組合ニュース【公開版】を通じた情報提供、問題提起等によりプロパー職員の組合に対する信頼・期待は高まっていますが、これを新規組合員の獲得・組織の拡大へとつなげていく必要があります。特に、近年は新規職員の一括採用が無くなり、これに合わせて実施していた広報・勧誘活動も行われない状態が続いているため、これらの取り組みの立て直しを図ります。また、職場集会、学習会などを通じてずらし勤務の試行導入や業務の多忙化で難しくなっている組合員相互の交流を確保・促進し、組合の基盤を強固なものとします。
  3. 常勤固有職員の給与体系変更、人事考課制度変更問題への取り組み

    2017年度来、交渉を行ってきたこれらの問題については一昨年8月、9月に相次いで大枠で合意しました。しかし、制度の具体的設計、運用等に関しては懸念すべき点が残っており合意時に確認した一定期間経過後の検証も合意時の約束に反し行われていません。また、市職員との処遇差が生じている住居手当に関しては、一昨年来、たびたび交渉再開を求めているにも拘らず、以前として交渉が行われないままとなっており、引き続き交渉再開を求めるとともに格差の解消に取り組みます。
  4. 嘱託職員、契約職員の一般職への移行に伴う問題への取り組み

    雇用契約法改正による非常勤職員の一般職への移行に関しては、一昨年7月に大枠に関して合意しましたが、その時点で本学嘱託職員と横浜市嘱託職員で月額4万円以上に格差が拡大していた給与についての改善は実現しませんでした。それにもかかわらず、正規職員化に伴い責任と負担のみの増が懸念される状況で、また、制度変更後の有期雇用職員から一般職への転換に関する公平性への疑念、一般職における短時間勤務とフルタイム勤務における時間当たりの給与格差など幾つもの問題が残されています。短時間勤務契約でありながら超勤の恒常化により実態としてはフルタイム勤務となっているにもかかわらず、この時間当たりの給与格差により、超勤手当を合わせても同じ時間働いたフルタイム契約の一般職より給与が少ないなどの問題も発生しており、これらの問題の解決を求めるとともに、横浜市嘱託職員並みの給与の獲得を目指して取り組みを継続します。
  5. 大学専門職の雇用問題への取り組み

    大学専門職制度は、国内の大学関係者等の大学職員の高度化への要請に対する先進的取り組みとして導入されたものでしたが、法人化直後から大学の経営権を事実上掌握した市派遣幹部職員によって、その趣旨を無視した制度運用が行われ、告発本の出版など様々な問題が起こってきました。組合執行委員でもある大学専門職2名についても3年ごとの契約更新の度に様々な問題に見舞われ、前回の契約更新に際しては、「学務教授」への変更について、教員、固有職員、横浜市職員に比して著しく均衡を逸した実現困難な基準を一方的に示すなど、職員の高度化や専門化とは相反する人事政策上の動きが続いています。労働契約法の規定により無期雇用転換権が発生しているため、任期制の問題は法人の方針とはかかわりなく強制的に解決されることになりましたが、高度専門職としての適正な処遇を求め、今後も取り組みを継続します。
  6. コンプライアンスに基づく労使関係確立への取り組み

    1.でも記したよう法人化以降積み重ねてきた交渉や組合ニュース【公開版】等を通じた指摘がある程度の影響を及ぼした模様で、法人化後の数年間の状況に比べれば担当者レベルでの対応に関してはある程度の改善が認められるものの、法人化後、事実上人事権等を掌握する市派遣幹部職員の労働3法、労働契約法を始めとする関係法令、制度等への知識・認識の不足が本学の労使関係の底流を流れており、それが人事制度、制度運用、個別の雇用関係トラブルに大きく影響を与えています。ただし、近年、政府の労働政策上の修正を反映したものと思われる労働基準監督署からの厳しい指導もあって、法人としても組合との関係も含め法令順守の姿勢を示さざるを得ない環境下に置かれています。これも追い風として関係法令及びそこで保障された労働者・労働組合の権利の尊重に基づく労使関係の確立を求め取り組みを続けます。
  7. 新型コロナ禍による雇用労働環境への影響に対する取り組み

    新型コロナ禍により、大学では民間企業などと同様に広く在宅勤務が行われるとともに、学生への教育の短期間でのオンラインへの切り替え、経済的困難におちいった学生への支援措置などの新たな取り組みが必要となりました。これに伴う労働環境上の問題については、すでに複数回にわたって当局側に対して要求や交渉を行っていますが、在宅勤務についてそもそもそれが業務命令によるものであることを否定するなど、非常時であることを考慮しても当局側の認識や対応には不審な点が目に付き、様々な問題が残されたままとなっています。適切な労働環境の確保と雇用環境の維持を目指して取り組みを続けます。
  8. 横浜市従本部、教員組合等との連携

    本学の労働環境は、法人プロパー教職員にとって非常に厳しい状態が続いています。横浜市従本部、病院組合、近年、金沢八景キャンパスにおける諸問題について共同で要求、交渉を行うことが増えている教員組合等との連携を深めつつ、山積する問題に取り組んでいきます。
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