2014年5月21日水曜日

大学運営交付金に関する横浜市長への要求と回答

 昨年の8月になりますが、職員組合の上部団体である横浜市従業員労働組合(横浜市従)から横浜市長に対して、横浜市大に対する運営交付金も含めた2014年度予算に関する要求書を提出していました。これに対する回答がありましたので紹介します。

 横浜市従業員労働組合2014年度予算要求

〈大学〉

 市立大学においては、①第1期、第2期の中期計画開始時及び中期計画期間全体での大幅な交付金の削減、②第1期中期計画期間における、ほぼ毎年の交付金の予定額からの大幅削減、③各年度予算の市OB・市派遣幹部職員による執行段階での使用の抑制、④大学の教育研究活動の特質について十分な理解を持たない市OB・市派遣幹部職員による、実際のニーズと必ずしも適合しない年度予算編成など、不安定かつ縮小的な大学運営と適切な資源配分の不足により、教育研究活動に大きなダメージを受けている。はるかに少額の削減しか受けていない国立大学においてすら、法人化以降、教育研究への負の影響が出ていることがマクロデータで確認されつつあり、市大の教育研究の向上を真に望むのであれば、①運営交付金の削減に歯止めをかけ、②毎年の交付金額も安定させると共に、③執行段階での削減を大学の名で市OB・市派遣幹部職員が行うようなやり方を改め、④現場の教員・固有職員の声を反映させた適切な予算編成を行うこと。

回答

 ①②大学部門における学費対象経費として措置されている運営交付金については、第1期中期計画と同様「第2期中期計画(23~28年度)」においても、私学への国補助金相当及び私学との授業料差額相当を交付額の基準として、医学科の定員増を踏まえ、安定的に大学運営がなされるよう交付額を計画し、その交付額等をもとに大学において、予算編成・策定を行っています。③また、執行段階においては、予算に定められた金額を交付しているため、大幅な削減を求めるようなやり取りは行っておらず、計画外の事業支出のあたっても柔軟に対応していると聞いております。④市大からは、予算編成において、学生教育及び経済的支援にかかる経費や基礎的な研究経費については重点的に粗予算措置するなど、大学を取り巻く状況を適切に捉え、教学側と調整した上で、決定していると聞いております。
市・市大とも大変厳しい財政状態が続きますが、市大においては、一般管理費の圧縮や外部研究費の獲得に努める一方、今後も学内で議論を重ねて、更なる教育・研究の充実を図れるよう取り組んでいただきたいと考えております。

 上記の要求に関しては、昨年9月6日付の職員組合ニュース【公開版】(http://ycu-union.blogspot.jp/2013/09/blog-post_6.html)において、①~④の各項目について、具体的な数値に基づいて主張の根拠を示しています。市からの回答は、それに対して説得力のあるものとなっているとは残念ながら思えません。また、「大学において」、「市大からは」等、大学が独立した存在として判断や行動を行っているかのような印象を受ける記述がなされていますが、市大の運営は、上記の組合ニュースでも書いたように横浜市OBである経営者に権限が集中し、実態としてはそのかなりの部分がさらに横浜市OB、横浜市派遣の事務局幹部(事務局長以下、管理部門の管理職の大半を占める他、学務教務系においても増加しています)に委任されている状況であり、「大学」とは、実際には市OB・市派遣幹部を指すものです。

 要求から回答まで相当の時間がかかっており、その間に新たに24年度の決算数値が公表されていて(http://www.yokohama-cu.ac.jp/univ/corp/finance/h24zaimu_report.html)、本来であれば、これも加えて昨年の組合ニュースでの解説を更新すべきなのですが、残念ながら相変わらず問題が山積していること、また、トップダウンの大学らしく文科省の競争的事業への大量の応募が学内に指示された影響などで、分析をやり直している余裕がありません。ご関心の向きには、上記の昨年9月6日付の職員組合ニュース【公開版】の記事と、加えて同じく上記の大学HPにある平成24年度財務レポート(パンフレット版)の数値をご参照ください。

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