2021年3月31日水曜日

テレワーク制度化に関する提案に対する回答

新型コロナ禍下、根拠は曖昧、運用は不透明という状態で継続されてきた在宅勤務ですが、3月8日にようやく新年度からの制度化のための就業規則の改定等の案が提示されました。

制度としての基本的な性格は、キャンパスへの出勤を原則とし、育児や介護といった事情等のある職員が願い出たものに対して大学側が承認するという、例外としての在宅勤務というものです。その意味では、今回の新型コロナを機にした、一部の民間企業に見られる積極的な在宅勤務の推進のようなものではなく、また、昨春の緊急事態宣言下で広く行われた、強制あるいは事実上の強制による在宅勤務に対応するものでもありません。

すでに新年度までに3週間しかない時点での提案であり、まともな交渉、修正ができるスケジュールではなかったのですが、あくまでも「例外」としての制度に関するものである点も踏まえ、4月以降、組合回答に基づく交渉を行うことを確認の上、3月17日、以下のように回答を行いました。

なお、「在宅勤務」と「テレワーク」では後者の方がより広い概念で、基本的に在宅勤務を対象とする今回の新制度は「テレワーク」よりも「在宅勤務」という呼称の方が適切ではないかと思われますが、当局側の制度名は「テレワーク」となっているため、当局側の制度、文書に関する部分では「テレワーク」の語を用いています。
※「テレワーク」における勤務地は、自宅以外にホテルや駅構内のワーキングスペース等も含まれることが一般的です。

2021年3月17日
公立大学法人 横浜市立大学
理事長 二見 良之 様
横浜市立大学職員労働組合(横浜市従大学支部)
委員長 三井 秀昭

テレワーク制度化に関する提案に対する回答


市民から期待され信頼される大学教育と運営の確立に向け、日頃の取り組みへのご尽力に敬意を表します。

さて、3月8日に提案されたテレワークの制度化に伴う就業規則改正等について、以下の通り回答いたします。

  1. 新制度は「例外的に事情等のある職員が願い出たものに対して大学側が承認する」という、出勤を基本とする中での例外的な勤務としてのテレワークという位置づけのものであり、昨年の緊急事態宣言時におけるような、命令や事実上の強制に基づくテレワークには対応していない。新型コロナの脅威が依然として続いている状況下では、これら新制度に包摂されないテレワークについても、その対応や根拠について明らかにしておく必要がある。

  2. 超過勤務は原則として認めない、ただし、事前に申し出て所属長が命令した場合にはあり得るという制度設計であるが、この1年の国内における企業等の経験からは、テレワークでは実際にはサービス残業が発生しやすいことが明らかになっている。超過勤務を認めないというのであれば、サービス残業が発生しないよう、例えば勤務時間外に上司とのメールのやり取りが行われていないか、大学のシステムへのアクセスが行われていないかなどを過半数代表者が確認するなどの防止措置をとることが必要である。

  3. 「例外的に事情等のある職員が願い出たものに対して大学側がテレワークを『許可』する」のだから費用は原則として本人が負担するとしているが、勤務場所が職場であろうと自宅であろうと大学の業務を遂行しているのであり、そのために必要な費用を大学ではなく本人が負担するというのは、業務遂行に当たって必要な費用は雇用者側が負担するという原理原則に反するものであり、組合としては認められない。また、労働契約法第9条の不利益変更に当たる可能性もある。

  4. テレワークを認めるのは1週間2日まで、ただし「理事長が認める場合」は2日を超えて認めることがあるとされているが、「理事長が認める場合」について明確にされたい。組合としては、例えば、現在の状況下では新型コロナに対して「本人がハイリスク者」「同居家族にハイリスク者がいる」などの場合、希望があれば2日を超えて在宅勤務が認められるべきと考える。

  5. 本学に多数存在する派遣会社社員については、本学就業規則の対象とはならないが、派遣会社との契約を職員と同様にテレワークが可能となるようにすべきと考える。
以上

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