2017年9月13日水曜日

法人固有常勤職員給与体系見直し提案に対する組合要求への当局側回答

8月29日付組合ニュース(公開版)でお伝えした法人固有常勤職員給与体系見直し問題に関する組合の要求に対し、9月12日、当局側から以下の通り、回答がありました。


平成29年9月12日

法人職員給与体系見直しに提案についての要求に対する回答

要求項目
(H29.8.23)
回答
1.今回の提案と法人化時の「法人固有職員の処遇は市職員に準じる」という合意の関係が不明確であり、この点に関する法人の見解を明らかにされたい。法人化時の合意に対する当局のスタンスは、一昨年度の住居手当問題以降揺れ続けており、合意の存在自体の否定から現在の有効性の否定、原則としての容認まで一貫性を欠いている。組合としては、①同一業務には同一の賃金が支払われるべきという原則、②労使間の重要な合意の変更には説得力ある根拠とこれまでの経緯を踏まえた充分な交渉に基づく新たな合意の形成が必要である、③市職員の給与自体は国家公務員と同様に市内の民間との給与格差に基づいて変動するという明快で合理的な原則に基づいており、これに準じることは原理的にも経営コスト的にも合理的である等の理由から法人化時の合意は可能な限り維持すべきものと考える。  法人職員と市派遣職員の給与等については、原則同一であるべきと考えています。職員の勤務条件等の変更を検討する場合は、引き続き組合と誠実に話し合ってまいります。

なお、法人職員の給与は地方独立行政法人法により、「法人の業務の実績を考慮し、かつ、社会一般の情勢に適合したものとなるように定めなければいけない」と規定されています。

したがって、国や横浜市、他の国公立大学の制度改正や給与改定等の動向、法人の経営状況などを総合的に勘案し、法人職員の給与等処遇を決定するものと考えています。
2.また、仮に当局側が人事給与制度の在り方について法人化時の合意に基づかない運営を考えているのであれば、市内民間事業者間の賃金との比較に基づいて決定する横浜市職員賃金に準じるという現在の在り方に代わってどのような原理原則に基づき固有職員の給与等処遇を決定していくのか、明らかにする必要がある。
3.当局側は主たる提案理由の一つとして「法人財政の悪化」を挙げている。しかしながら、この4月より始まった第3期中期計画は逆に拡大型の計画であり、第2期中期計画後半も含め、組織、施設の新増設が相次ぐことになる。施設建設や学部レベルの組織の新設は10年単位での支出を伴うものであり、その累積による支出増は少なくとも10億円単位、100億円を超える可能性もある。現時点で「法人財政の悪化」を理由に給与体系の変更を求めながら、このような経営拡大方針が取られていることは中長期的観点に立った大学経営という点から懸念を禁じ得ない。また、労働組合としては、固有職員人件費、更には教員人件費や学生経費の削減を原資とした経営拡大のごときは当然受け入れがたい。今回の給与体系の変更提案と現在の法人の経営拡大方針との関係について説明するとともに、法人が経営上の理由から諸経費の削減を行わざるを得なくなる状況に陥った場合、固有職員人件費を他に優先して削減するような行為は行わないよう強く求める。  今回の給与体系の見直し提案は、人件費の削減を目的とするものではなく、第3期中期計画における法人経営上の4つの重点取組の一つとして位置付けている「人材育成・人事制度に関する目標を達成するための取組」として、「大学職員・病院職員としてのプロフェッショナルな人材育成」に基づき、職員の専門性や業務の継続性を高めるキャリア形成を進めるとともに、職員の意欲・能力・実績をより反映できるメリハリのある人事給与制度とするため実施するものです。

これらの制度の運用を通じて①職員のモチベーションの向上、②安心して働き続けられる勤務条件の確保を実現することを目的としています。

なお、当然のことですが、給与については重要な勤務条件であり、教職員の生活を支える「柱」であると強く認識しております。



8月23日の要求以降、組合はこの要求への回答を巡って当局側と交渉を重ねてきました。

①及び②の要求に対しては、今回の提案が法人化時の「法人固有職員の処遇は市職員に準じる」という合意から外れるものであるにも拘らず、今後、当局側が固有常勤職員について「今回、一部変更するものの、それ以外の部分については市職員に準じるという法人化時の合意に沿って行くのか、言い換えると法人化時の合意は原則として維持されるのか」、それとも「新たな何らかの原則に基づき人事給与制度を設計・運用していくのか」がはっきりしないため、「法人化時の合意を維持すべきである」という立場から、その明確化を求めたものです。

この問題については、2年半前の住居手当の引き上げ問題の交渉において「法人化時にそのような合意があったことは承知していない」という合意自体の否定(組合からすると法令に定められた労使間関係の基盤自体を破壊するような発言です)から出発して、合意自体の存在は認めるが現在の効力は否定というポジションを経て、今回、ようやく「法人職員と市派遣職員の給与等については、原則同一であるべき」という原則を再確認することが出来ました。また、勤務条件等変更の際には「組合と誠実に話し合う」ことも確認しました。なお、回答の後段部「法人の業務の実績を考慮し、かつ、社会一般の情勢に適合したものとなるよう~」については地方独立行政法人法第57条第3項の規定をそのまま記載してあるものです。

③に関しては、組合ニュースで繰り返しお知らせしたように、住居手当問題も含めて「法人財政の悪化」が口頭では繰り返され、実際、財務数値を見るとその通りであるにも拘らず、第2期中期計画後半から組織、設備の拡大方針へと転じており、財政状況がさらに悪化する可能性が高いため、一体何を考えているのかの説明とともに、拡大方針による財政悪化のつけを固有職員人件費に回さないよう求めたものです。

回答としては、上記の通りです。今まで繰り返された「法人財政の悪化」は何だったのかという思いはありますが、交渉の結果としての正式回答であり、今回の制度変更は「人件費削減が目的ではなく」、「職員のモチベーション向上」と「安心して働き続けられる勤務条件の確保」が目的であることになります。

後段の「給与については重要な勤務条件であり、教職員の生活を支える「柱」であると強く認識しております」については、要求の「法人が経営上の理由から諸経費の削減を行わざるを得なくなる状況に陥った場合、固有職員人件費を他に優先して削減するような行為は行わないよう強く求める」に対応するものです。上でも書いたように、将来、拡大経営のつけを一般職員に回さないよう念押しするとともに、交渉の過程で「給与の生活給としての面」についても指摘、配慮を求めました。回答は、組合として望んだレベルの明確なものではありませんが、給与の「生活給」としての面を認め、安易な給与削減は行わないことが約束されたものと理解します。

また、組合としては本来、さらに交渉を重ねる前提で、非常勤職員制度、常勤固有職員人事考課制度と同様に制度の検証とその結果に基づく組合との協議を追加で要求する予定でした(制度変更の目的が「人件費削減」ではなく「職員のモチベーション向上」であるのであれば、「本当に職員のモチベーション向上に繋がったのかどうか」の検証はさらに重要になります)が、当局側が制度実施のスケジュール上の都合で交渉の決着を求めたため、文書ではなく口頭で「制度の検証と組合との協議」を要求し、同じく口頭ではありますが「人事考課等の制度については、定期的に検証を行い必要に応じて見直します。なお、見直す必要があるときは組合とも協議をしてまいります。」との回答を得ました。

1月以降、中断を挟みつつ交渉を行ってきた固有常勤職員給与体系変更問題ですが、当局側の回答としてはこれが最終的なもので、それに対する組合の最終回答を近日中に取りまとめる予定です。


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