まず、本学の節電の対応に関しては医学部、附属病院は節電の対象から外されていますが、その他の八景等のキャンパスにおいては15%の節電を求められています。これに対して本学の節電の方策としては、一般的な節電対応 ―― 冷房の設定温度の28度への固定、蛍光灯の間引き、一部自販機の停止、理学系における輪番停電等 ―― のみにほぼ限られています。
このため、まず職員組合としては、節電の必要性自体について異議を唱えるつもりはないものの;
- 労働安全衛生法と事務所衛生基準規則に基づき、職員の安全と健康の確保のために「冷房の設定温度」ではなく「室温」を28度とすることが原則であること。
- また、政府の電力需給緊急対策本部「夏期の電力需給対策について」に基づいて自発的な措置として室温を29度とする場合は、厚生労働省労働基準局長通知「夏期の電力需給対策を受けた事務所の室内温度等の取扱いについて」及び「職場における熱中症の予防について」に基づき熱中症の予防対策等を講じること。
という2点に関して申し入れを行いました。
これに対して、当局側より、ワークライフバランスの一貫として夏季休暇、年次休暇の取得促進、ノー残業の徹底等を図りたいといった説明がありました。
そして、その後の遣り取りを通じて、予想通りではありましたが、具体的な冷房の使用に関して、「誰が」、「どのような基準」と「どのような手順で」使用を決定したり、止めたりするのかについての大学としての運用ルールのようなものは定められていない、つまり大学として節電に取り組んでいると言いながらも、具体的な冷房の使用、不使用についてはそれこそ何の基準も存在しておらず、ただ冷房の設定温度を28度にしてロックしているだけという状態であることが明らかになりました。また、節電に関して総合的に検討や対応を行う対策本部的な組織も存在していないそうです。考えるまでもないことですが、設定温度を28度にしただけでは場所によっては室温が30度を超えてしまう事もありえますから、職員の安全と健康を守るという観点からも杜撰な話ですし、節電という観点からも問題があると思われます。このため、職員組合としては短期的な対応及び中長期的な対応の双方に関し、以下の諸点についての検討、対応を行うよう申し入れました。
- 節電への対応は、少なくとも今冬まではその必要性が継続すると考えられ、中長期的な観点から、大学としての総合的な対応を検討する必要があり、必要であればそれを担う対策本部的な組織も設置すべきである。
- その際、節電の方策としては、今回行っているような単に冷暖房機器や照明機器の使用を抑制するといった対応だけでなく、授業期間、休業期間の変更、一斉休業等のソフト面での対応、及び照明のLED化、パソコン等の電気機器の電力消費のより少ない機種への更新等、可能な範囲での施設設備のハード面の対応という3つがあり、本来それらを組み合わせて実施する必要がある。組合としては、事務所衛生基準規則に定められている室温(17度以上28度以下)を維持すべきという考えであり、その範囲での冷暖房機器の使用の抑制では節電の目標値を達成することが困難であるなら、ソフト面、ハード面の他の対応と組み合わせた節電対策を考えるべきある。
- 本来これらの問題について関与すべき労働安全委員会は、6月の委員会においては検討が間に合わず殆ど議論していないということであるが、夏季の節電が必要になるであろうことは既に3月には予想されていたところである。9月に開かれるという次の委員会では、冬季の節電対策も含め検討を行うべきである。
- ノー残業の徹底といっても、無駄な業務の合理化を同時に行う必要がある。さもないと単なる仕事の自宅への持ち帰りになってしまう可能性がある。
- 短期的な対応としては、現在、何の基準もなく部屋単位で曖昧な運用が行われているらしい冷房機器の使用について、「誰が」、「どのような基準」、「どのような手順で」使用や使用の停止を決定、実施するかを定め全学に周知すること。その際、基準は冷房の設定温度ではなく室温とし、事務所衛生基準規則に定められている28度とすべきである。もし、電力需給緊急対策本部「夏期の電力需給対策について」にある事業所としての自発的な判断で室温29度とする場合においては、「職場における熱中症の予防について」に基づく熱中症予防対策を取る必要がある。また、室温を28度ないし29度とするためには各部屋単位での日照等の条件で冷房の使用状況が異なってくることから、冷房の使用に関する判断は、各部屋の温度計の数値に基づき課長か係長が行うことが望ましい。
これに対して、当局側からは、短期的な対応に関しては総務財務課に伝える、中長期的な対応に関しては、組合からの提言として検討したいというものでした。当面、今回の協議内容がどのように現実化されるか見守りたいと思いますが、既に触れたように、法令上の基準はあくまでも室温28度が上限で、今回の節電に絡み自発的な判断としてこれを引き上げる場合でも室温29度かつその場合、熱中症対策を取ることが求められています。最高気温が30度を超す期間はまだ2ヶ月ほどは続くでしょう。自分の健康を守るために、例えば室温が28度を越すような状態が続いているようであれば、上記のような法令上の定めがあることを示して適切な対応を取るように求めましょう。それでも改善が見られないような場合は、組合にご相談ください。
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