2010年4月14日水曜日

次期中期計画に関する職員労働組合の意見

 現在、次期中期計画に関する学内の検討が事実上最終段階に入っています。職員組合としても、この次期中期計画に関しては、検討過程、内容の両面に関して問題のあるものとして認識しており、不十分な情報の下での検討ではありますが、事実上の時間切れを前に、以下の通り職員労働組合として経営面に関する意見の表明を行いました。

2010年4月5日
公立大学法人 横浜市立大学
理事長 本多 常高 様
横浜市立大学職員労働組合
(横浜市従大学支部)
委員長 登坂 善四郎

次期中期計画に関する意見書

 市民から期待され信頼される大学教育と運営の確立に向け、日頃の取り組みへのご尽力に敬意を表します。

 現在、次期中期計画に関する検討が進んでいるようですが、検討状況の学内への公開や検討に当たっての学内の意見の集約などが不十分な状態にあります。 職員労働組合としても、長期間にわたって大学の方向性を規定する中期計画の策定について、一般職員、プロパー職員の意見が十分に取り入れられていない点について強い懸念を持っています。

 検討中の内容について十分な情報公開がなされておらず、組合としての対応を検討するにも困難な面がありますが、学内での検討が事実上終わろうとしている状況に鑑み、現在公表されている情報に基づき、特に法人の経営に関する部分について、以下の通り職員労働組合として意見を表明します。

1.大学の教育研究、経営の向上には教員・職員の密接な協力による大学の運営が不可欠になっているが、現在の案はそのような教職協働の見地を完全に欠いている。

2.市派遣職員を除く全職員に対する任期制の導入は、優秀な職員の確保や職員のモラールの維持の面で問題があり、また、任期制と表裏一体の関係にある評価制度についても度々問題が発生している。これら制度が大きく関係すると思われる度重なる職員のメンタル面での問題からの休職や退職者の続発等は到底無視しえないものであり、制度に関する再検討を盛り込むことを求める。

3.プロパー職員の採用について、わずか数年間で大量の新卒、第二新卒者の採用が行われているが、このような極端な採用行動は、20年後、30年後の組織のあり方(職員の年齢構成、処遇等)についての懸念を抱かせる。また、職員の能力育成に関して、大学職員には地方公務員とは全く異なる課題が課せられているという点が認識されているかどうかも不明である。(独自の社会的役割と課題を持った)大学としての中長期的な観点に立った固有職員の採用、育成を行う点を明記すべきと考える。

4.非常勤職員制度に関し、制度の実態の検証を行うと共に必要であれば改善を行うことを盛り込むべきである。その際、短期的な人件費に係る視点からのみ判断するのではなく、大学の中長期的、総合的な経営力の維持・向上という観点を考慮すべきである。

5.20年ほど前までは、大学職員の業務の多くは、先例の踏襲や教授会の決定事項の遂行など定型的な処理が可能なものであったが、このような状況は既に終わり、今や大学職員は、急激な変化を迎えている大学という独自の社会的役割と課題、特色を持った組織体の経営の担い手としての能力の高度化と専門化を求められている。本学の大学専門職制度は、このような状況の変化に対する先進的な取組の試みであったはずだが、実際には、法人化直後からこのような大学を巡る経営上の課題に対する知識・認識を欠く市派遣職員によって制度運用が骨抜きにされ、むしろ国レベルでの中央集権体制を前提としたジェネラリスト志向の強い地方公務員制度に同化させるが如き動きが進められている。現在公表されている次期中期計画関連文書に至っては、大学専門職という言葉自体含まれていない。大学専門職制度の堅持と本来の趣旨に則った運用を求める。

6.市派遣職員の段階的削減が現行中期計画同様盛り込まれているが、現在、企画、財務、人事といった経営中枢部門の管理職の大半は市派遣職員によって占められている。本学の場合、事務局の実質的な権限、影響力は他大学に比べ非常に強く、その幹部の能力は大学のパフォーマンスに大きく影響することから、専門性を欠く市派遣職員によるこれらの幹部ポストの占有は大学経営上望ましくない。早期に引き上げを行うと共に、それまでの間、異動及び(大学の教育研究、経営に関する専門的な)研修を活用し、適切な人材の確保に努めるべきであり、このような方針を明記すべきである。

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