- 京都大学:非常勤職員の5年での一律雇い止めに関して、一部非常勤職員が非常勤職員組合を結成、団交を要求しましたが、当局と条件で折り合わず、一方で職員組合も雇い止め反対の署名運動と団交を行いましたが、当局側は回答を拒否、結局、期限の来た非常勤職員は3月末で雇い止めになりました。非常勤職員組合は学内にテントを張って無期限ストを行うと共に京都府労委に調停斡旋申請を行い、現在も継続中です。また、職員としての地位確認と賃金支払いを求める訴訟も行っています。これに対し当局側はテント明け渡しを求め提訴に踏み切りました。
- 東京大学:職員組合が雇い止め反対の署名運動及び団交を行いましたが、当局側は撤回を拒否。また、一部教職員有志も署名運動を行いました。結局、京都大学と同様に期限の来た非常勤職員は雇い止めになりましたが、職員組合として引き続き撤回を求め運動を継続しているようです。
- 名古屋大:職員組合が雇い止め撤廃を要望するも当局は拒否、また、個別の非常勤職員に関する協議も拒否し、京大、東大と同様に期限の来た非常勤職員は雇い止めになりました。
- 神戸大:教職員組合が雇い止め撤廃を要望、これに対し、当局側は雇い止め自体は撤廃しなかったものの、非常勤職員が退職後6ヶ月で再度応募できるという案を提示しました。組合が再応募までの期間を6ヶ月としたことの根拠を問うと特にないと回答、最終的に再応募までの期間は3ヶ月に短縮されました。ただし、実際に求人があるかは不明であり、元の部署で働ける保障もありません(むしろ3ヵ月後には別の非常勤職員がその職場で勤務していると考えるほうが自然でしょう)。
- 大分大:契約期間が満了になった非常勤職員のうち希望者全員を再雇用しました。
- 信州大:就業規則を改定し、一律の雇い止め制度を撤廃しました。
- 佐賀大:一律の雇い止めは撤廃されたようですが詳細は不明です。
- 電気通信大学:すでに2007年に雇い止め制度を撤廃しました。
- 鳥取大:2月時点で、景気悪化による雇用不安への対応として、3月に契約期限を迎える非常勤職員に対して特例的扱いを検討するとしていたようですが、その後の経過は不明です。
以上、いくつかの国立大学における事例を紹介しました。特徴的なのは、多数の職員を有する旧帝大が雇い止めを強行したのに対して、国立大学の序列でそれよりやや下位になる神戸大学が制度の撤廃はしないものの妥協案を提示し、さらにそれより下位に位置づけられ、職員数も旧帝大に比べれば少なく経営上の余裕のない地方国大で雇い止め自体の撤廃に踏み切った大学がいくつも出ているという点です。これらの大学の内部事情についてはよく分かりませんが、法人化以降(あるいはそれ以前から)の人員削減で、人的資源に余裕のない地方国立大学の場合、実際には非常勤職員が正規職員の業務の多くを肩代わりさせざるを得ず、雇い止めを強行すれば大学の経営自体に深刻なダメージを受けるような状況になっている可能性があります。前回ご協力をいただいた非常勤職員アンケートの結果では、本学においても複数の方から正規職員と同様の業務を行っているという回答があり、もし、これらの地方大学が経営上の配慮から雇い止めを廃止せざるを得なくなったのだとしたら、本学にとっても参考にすべき事例となると思われます。
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