教員組合のHP(2008/8/28、2008/10/18、2009/1/13)でも取り上げられたこともあり、既にご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、昨年来、組合員である大学専門職の任期の更新等について問題が発生していました。
この専門職は、元々他大学の教員であったところ、招聘を受けて本学に移ったのですが、その際の招聘条件が、着任後ほとんど守られず(抗議すると、当局側は法律上「法人を代表する」とされている経営者の約束した諸条件を「個人的な約束にすぎない」と主張したそうです)、当初から業務内容等も事前の話とは違い不安を覚えたそうですが、関与したプロジェクトが最終的に失敗に終わると長期間にわたって業務のない状態におかれました。
当該専門職の話によると、この間、担当業務について、専門家としてこうしなければプロジェクトが失敗するとした提言や要望の多くが受け入れられず、さらには失敗に終わった事業の責任を当該専門職に帰そうとする動きなどもあり、招聘時の条件が反故にされたことも含め文書等で抗議したところ、そのような状態に置かれたそうです。また、業績評価もまともに行われていませんでした。
今回、任期の更新時期が近づくと、当局から「あなたの仕事はない」などと任期の更新がないかのような言動や自発的な辞職を促すような言動を受け、これに対して職員組合、加えて教員組合からも文書による要望、質問が出されると、今度は規程上専門職の任期は3年と明確に定められ、招聘の打診を受けた際にも普通に働いていれば3年任期により更新が続くと説明を受けていたにもかかわらず「1年任期での更新ではどうか」という根拠の不明な提案を受け、更新の出来ない状態が続いていました。
結果的には、この問題については、任期切れの当日にようやく約束どおりの3年任期での更新という形で一応の決着を見ました。
この間、職員組合では、当局への要望書の提出、職場諸要求でこの問題を取り上げるなど、当該専門職が不当にその地位を失うことのないよう活動を続けてきました。すべての問題が解決したとは言えないものの、当初の更新なしを示唆するような当局の言動、さらにその後の1年任期での更新の打診といった状況から本来の3年任期での更新を勝ち取ったことは、もともと当局の対応が不当な無理筋のものであったことを差し引いても、組合員の雇用を守るという職員組合の意義が十分に発揮されたものと言えると考えます。
また、この問題については、任期制に関する懸念を同じくする教員組合の支援も大きな力となりました。各大学の生き残りや発展のために教職協働の必要性が指摘される中、いささか後ろ向きな次元でのものとはいえ、本学においても教員と職員の協力が実現したことは一つの成果であったと言えます。教員組合のご支援に感謝申し上げると共に、職員組合としても、今後、教員組合との連携、協調を重視していきたいと考えています。
さらに、今回の一連の経緯は、本学における任期制という制度の問題点を浮き彫りにしました。
第一に、判例において制約が課されてはいるものの、任期制は本質的には任期の定めのない雇用に比べ、雇用者側が解雇(雇い止め)をしやすい制度であり、実際、当局側はそのように認識しているように思われるという点です。
第二に、任期制と表裏一体の関係にある業績評価制度について、既に先行して導入した多くの民間企業の例と同じく、評価の透明性と客観性、不服申し立て制度の不備などの問題が本学においても存在していることが明らかになりました。また、加えて大学経営の専門家である専門職の評価を大学経営の素人である市関係者が行うという本学特有の問題も存在しています。
第三に、このような任期の更新や評価に当たっての問題は、全教職員への任期制の適用という全国にもほとんど例のない制度を採用している本学においては、一部の管理職(市関係者)を除く全教職員に起こりうるものだという点です。実際、昨年度においても、今回とは別の専門職が任期の更新に当たって同様の問題に見舞われています。その専門職は、更新を行わないかのような示唆がされた時点で職員組合に加入し、組合が支援に乗り出しました。その後、今回と同様に根拠の不明な1年任期での更新を打診されましたが、その決着を見る前に国立大学に教員ポストを得て、そちらに転じています。後日、移籍先の国立大学に比べ本学が如何に異様な状況にあるかを語ってくれました。
今回のケースでは、当該専門職の雇用は確保されましたが、これらの問題点は依然として残ったままです。職員組合としても、今後ともこれらの問題に対し粘り強く取り組みを続けていきます。
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