2010年5月12日水曜日

「懲戒処分の標準例に関する質問書」に対する回答

 長期間にわたって未回答が続いていた「懲戒処分の標準例」を巡る問題ですが、5月7日(金)にようやく職員組合の質問に対して回答がありました。内容は以下の通りです。

①"懲戒処分の標準例"は、横浜市の"横浜市懲戒処分の標準例"をもとに作成されているようであるが、公立大学法人化された本学においては、地方自治体の一部局としてではなく、独立した高等教育研究機関である「大学」としての教育・研究・医療を基本とした経営が期待される。横浜市が本学を法人化したのもそのような公立大学法人制度の趣旨に則ったものと考えられるが、この標準例の作成に当たっては、そのような高等教育研究機関としての「大学」の特性、社会的責任等についてはどのように考慮されたのか。
  • 回答: 本学の特性、社会的責任については、当法人が、地方独立行政法人法に基づき、横浜市が設立した法人であることも考慮した。

②"横浜市懲戒処分の標準例"をそのまま転用したにもかかわらず、2(1)①~③のみは大学独自のものとして付け加えられており、さらに、この種のものは確認できた範囲において他の国公立大学の同種の文書にも含まれていない。これらの項目は、基準の適用を曖昧にするものとなっているが、どのような考えに基づき付加されたのか。
  • 回答: 標準例の作成は、「求められる教職員の姿~教職員行動計画」の策定に合わせ、連続した不祥事の再発防止策の一環として、教職員一人ひとりの倫理観を一層高めることも目的とした。

③2(1)①の"信用失墜行為"とは、具体的に倫理規定違反以外にどのような行為を対象とするのか。また、それは誰が判断するのか。さらに"法人の運営に重大な支障"とは具体的にどのような状態を意味し、また、どのような手順を踏んで誰が判断するのか。
  • 回答: 倫理規程に反しなくても、信用失墜させた場合は懲戒処分となり、理事長からの付議に基づき、懲戒審査委員会で処分の要否や内容の審査を行った上で、最終的には理事長が発令する。なお、重大か、特に重大かは、事案に応じて審査される。

④2(1)①の"信用失墜行為"に関する処分は、懲戒解雇から戒告まで、すなわち総ての処分が記されているが、具体的にどのような行為がどの処分に当たるのか、基準は何か。また、どのような手順を踏んで誰が判断するのか。
  • 回答: 標準例は、あくまでも代表的な事例に基づき標準的な量定を掲げたもので、信用失墜に至る具体的事案の個々に対する基準はない。個別の処分内容については、基本事項の各項目に照らし判断することになる。

 上記の回答は、①大学の独自の社会的役割や特性を考慮するよりは設置者としての横浜市の存在、意向を重視している、②懸念していた通り、何が"信用失墜行為"に当たるのかの解釈、また行為と処分の関係について経営側がフリーハンドを握っており、場合によっては恣意的な処分も制度的に可能である等の問題点をはらんでいます。

 ようやく質問に対する回答が得られたので、今後はこれらの問題点について是正、歯止めを求めていきます。

にほんブログ村 教育ブログ 大学教育へ

0 件のコメント:

コメントを投稿