2018年2月8日木曜日

大学専門職問題

本学の法人化後初代理事長予定者であった故・孫福弘氏がその持論に則って大学経営の新たな担い手として構想、制度したはずの「大学専門職」については、孫福氏が法人化を前に急逝して以降、実際にはその趣旨を無視した運用がなされ多くの問題が発生してきました。いまや大学に残っているのは組合役員である2名のみとなっていますが、3年ごとの任期更新時を中心に様々な問題に見舞われてきました(このあたりは過去も組合ニュースの中で可能な範囲で様々に報じてきました)。今回の任期更新にあたり、前回更新時に「専門職人事委員会において学務教授としての審査を行うこと」を要望したものの「学務准教授が学務教授となることは想定していない」などとして審査自体を拒否されていた問題について、再度審査にかけることを求め、応じないのであれば組合役員に対する不当行為の疑いがあるとして組合として取り上げると通告していました。

その結果、専門職人事委員会終了後に「『横浜市立大学学務教授』名称付与基準」なる文書が示され、「この基準を満たしていないと判断したため、専門職人事委員会の審査自体にかけなかった」との説明がありました。

この「『横浜市立大学学務教授』名称付与基準」の内容に疑義があるため、組合として要求、ついで団体交渉要求を行い、説明を求めていました。

具体的には、
  1. 基準の1として挙げられている「直近3年間におけるMBOの総合評価(二次評定)がいずれも『A』かつ『S』が一つ以上」について、職員の評価はBが標準で、特にSは例外的につけられるものであること。また、それ以前の問題として、大学専門職を評価に当たって事務職員の一部として組み込み、その母集団の一部として同様の基準により相対評価を行うことは専門職としての独自性を無視しており不適切であること。
  2. 基準の2として「本学の大学運営に資する多大な貢献」としているが、具体的な基準が不明であり、いくらでも恣意的な解釈、運用が可能であること。
  3. 基準の3として「他大学では見られない顕著な実績」とあり、更に口頭で「他大学の同種の専門職と比べて顕著、という意味である」との説明があったが、同様に「顕著な実績」の具体的基準が不明で恣意的な解釈、運用が可能なだけでなく、「他大学の同様の職種に比べ顕著な」という基準自体、本学の教員、市派遣職員、固有職員、いずれにおいても「他大学の同様の職種と同様」以上の基準は求められていないはず(説明に当たった人事担当者自身も含め)である以上、著しく均衡を欠く不公正なものであること。
  4. 以上を満たすのは事実上困難であり、組合役員である2名を「学務准教授」にとどめ置くために作成された恣意的な基準である疑いがある。

という諸点についての説明を求めたものです。付け加えるならば、当該文書自体、作成日時も作成者も不明なもので、いつから存在するのか、今回の審査前に変更されたりしていないか全く不明です。

最終的に当局側は団交に応じましたが、団交およびその事前折衝の段階で当局側からあった説明は、
  1. 事務職員の評価は30%以上がA評価以上(うちS評価は5%以下)とされていて、S評価は実際にはこれまではあまり出してこなかったが今年度は出すようにしている。実現困難ではない。大学専門職の独自性については、大学専門職はあくまでも規程上、一般職員の一部である。
  2. 「大学運営に資する多大な貢献」については、教授及び診療教授の資格でも同様に定めている。「多大な貢献」な貢献の具体的内容について事前折衝で説明の必要は無いと言ったのは「多大」には色々あって説明できないということだ。
  3. 「他大学では見られない顕著な実績」というのは、学務教授なのだからURAなどよりははるかに高い実績が必要ということ。「顕著な実績」については色々総合的に判断する。その時々の個別具体的な話になるので具体的に示すのは困難。
  4. この基準は専門職人事委員会において承認されており問題は無い。

というものでした。団交の席において重ねて「『多大な貢献』『顕著な実績』が総合的な判断で明らかにできないというのはおかしい。実際に判断する以上、基準は必要なはずであるし、その基準は明らかにされている必要がある」と説明を求めましたが、「総合的な判断なので明らかにできない」と繰り返すばかりでした。

さらに加えて指摘すると、「大学専門職」は確かに就業規則上は広義の「一般職員」(教員以外の職員全てを包摂)ですが、「事務職員」とは別に「大学専門職に関する規程」「大学専門職年俸に関する要綱」(大学専門職のための)「専門職人事委員会要綱」が規程として設けられており、規程上も運用上も事務職員とは別に扱うべきものです。「公立大学法人横浜市立大学事務組織規程」においても、職員の分類は「大学専門職事務職員、技術職員、医務職員その他必要な職員」とされ、別々に区分されています。

また、「『多大な貢献』『顕著な実績』は総合的な判断で明らかにできない」という説明については、解釈、運用は恣意的に行うと宣言しているようなものであり、論外というべきです。教授、診療教授の資格について当局側は団交の席で言及しましたが、例えばその教員の場合、評価における恣意的な運用を避けるために教員組合との間に合意を交わし、教員評価において、教育面を例にとると「学生のレベルアップにつながる教育を行わず、授業の質が確保されていない」と判断される場合について「授業をたびたび放棄する」など具体的な事例を列挙し、制度の公正な運用を期しています(もっとも、その後、当局側は合意に反した運用を行おうとして、その結果、教員組合が神奈川県労働委員会に斡旋申請を行うという事態も起こったようですが)

もう一点、当局側は大学専門職に対して一方で教授、診療教授の基準を、また一方で事務職員に対する考え方を、と自分たちの主張に都合よく恣意的に適用しています。過去、組合書記長で大学専門職である菊池が中教審における「高度専門職」の新設を巡る議論について、濱口桂一郎氏の「メンバーシップ型」「ジョブ型」という枠組みを援用して分析したことがありましたが、
大学専門職を巡る交渉を通じて事務職員も該当する「メンバーシップ型」と教員や大学専門職が該当する「ジョブ型」という人材の在り方の違いについては当局側にも説明し、当局側もそのような概念があり、それが社会的にも広く通用するようになってきたことは理解をしていたはずなのですが、いざとなると素知らぬ体を装うつもりのようです。

「学務教授なのだからURAなどよりははるかに高い実績が」云々というのも他大学の専門職に対して非礼なものであるだけでなく、国立大学の場合、URA、IRerなどの専門職も教員として採用されているケースが多く、国立大学の専門職の「教授」よりも本学の「学務教授」は「はるかに高い」業績が無ければいけないというのは論理的論拠がまるで判らない主張です。

最後に、この基準は今回、しかも審査後に初めて明らかにされたもので団交中に組合側からも声が出たように「後出しじゃんけんと言うしかないもの」です。

3年半ほどのやり取り、最後は団交まで行ってようやく明らかになったのは、残念ながら当局側にはこの件でおよそ誠意ある対応を行う気はなさそうだということでした。横浜市従本部とも相談の上、今後の対応を決めていくことになります。

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