2012年11月1日木曜日

横浜市立大学職員労働組合2012-2013年度活動方針について

 10月19日、本年度の横浜市立大学職員労働組合の大会を開催し、2012-2013年度の活動方針を決定しました。こちらも職場諸要求同様に毎年問題が積みあがっていくので、これまでの項目はそのままで、それに新たな項目を追加していくパターンになっています。今年度は、全員任期制の廃止に関連して、先日可決され来年度より施行される労働契約法改正による有期雇用の無期雇用への転換問題、そして3月29日に突然、「組合事務室を4月1日以降、賃貸借契約とする」として一方的に賃貸借契約書を突きつけられた組合事務室問題の2つを追加しています。

職員労働組合・横浜市従大学支部 2012-13年度 活動方針

1.働きやすい職場環境の確保への取り組み

 社会環境の激変とそれに伴う大学への要求の多様化、公的助成の削減など日本の大学を巡る環境は年々厳しさを増しています。特に横浜市立大学においては、前市長の下における法人化決定以降、全員任期制の導入、国立大学の比ではない大幅な経費の削減、市OB・市派遣幹部職員への経営権の集中による無駄な業務の増加と現場負担の増大など、非常に不安定な大学経営が続いています。大学に働く職員の職域を代表する労働組合としてこれらの問題に取り組み、職員の労働環境の改善、安心して働ける職場の確保に全力を挙げます。

2.組織拡大への取り組み

 法人化以降、市派遣職員の引き上げ・退職に伴う組合員の減少が続いていましたが、常勤・非常勤の固有職員の加入により減少に歯止めがかかりそうな様子も見えてきました。とは言うものの、大学にとどまっている市派遣職員は漸次退職を迎え、固有職員の組合員については、事務系職員及び大学専門職は全員任期制で雇用の継続が不安定な状態が続き、嘱託職員・契約職員には雇止めの問題があるなど組合の維持・拡大は依然として容易ではない状況です。近年の嘱託職員や契約職員問題への取り組みや組合ニュース【公開版】を通じた情報提供、問題提起等によりプロパー職員の組合に対する信頼・期待は高まっていますが、これを組合員・組織の拡大へとつなげていく必要があり、これまで取り組みの遅れていた派遣会社からの派遣社員も含め、新規の組合員の獲得に取り組みます。また、ずらし勤務の導入や業務の多忙化で難しくなっている組合員相互の交流を確保・促進し、組合の基盤を強固なものとします。

3.任期制廃止への取り組みと労働契約法改正への対応

 附属病院の医療技術職を除く全教職員への任期制の導入という国内でもほとんど例のない人事制度は、人材の流出、職場のモラールの低下等、大学に問題しかもたらしていません。引き続きその廃止を求めるとともに、任期制と表裏一体の関係にある評価制度の運用の透明化、公平性の確保などに取り組みます。
 また、本年8月に労働契約法が改正され、有期雇用については5年を超えて契約が反復更新された場合、無期労働契約に転換することが可能になりましたが、この法改正は、全職員が任期制の下にある本学職員にとっては、必ずしも安心の出来るものではありません。法律を尊重し、5年を超えた職員から順次無期労働契約に転換するならば、法人化に際しての最大の制度変更である全員任期制の放棄という政策上の大転換に踏み切らなければなりません。一方、法人化時の方針の堅持及び固有職員の人件費の抑制を図るなら、最悪、5年を迎える以前に大量の雇い止めが行われるという事態が起こり得ないとは言えません。これらの中間の方向性が取られる場合でも、法施行後第1回の任期更新段階での選別(雇い止め)や任期の短期化、労働条件の事前の切り下げ、労働条件の低レベルでの固定化などの問題が発生する危険があります。今後、勉強会などを通じ、今回の法改正の内容、本学職員にとっての意味などの周知を図るとともに、職員にとって不利益が生じる事態を回避し、全員任期制の撤廃に繋げるよう、取り組みを進めます。

4.嘱託職員、契約職員雇止めの廃止への取り組み

 この問題については、職員組合の取り組みの結果、一昨年度、任期更新が終了した嘱託職員について、引き続き嘱託職員が必要であると認めた業務に関しては、雇止めになる嘱託職員の再応募を認める等の措置を取るという運用上の変更を勝ち取ることができました。しかしながら、再応募の結果採用された嘱託職員については給与、賞与、休暇等の処遇がリセットされており、引き続きこれらの改善を求めていくと共に、さらに雇止め自体の撤廃へとつなげるよう取り組みを進めます。

5.大学専門職の雇用問題への取り組み

 大学専門職制度は、国内の大学関係者等の大学職員の高度化(アドミニストレータ化)への要請に対する先進的取り組みとして導入されたものでしたが、法人化直後から大学の経営権を事実上掌握した市派遣幹部職員によって、その趣旨を無視した制度運用が行われ、さらに、契約更新を迎える個別の大学専門職に対して、「大学専門職の廃止が決まった」(学内にはそのような情報は一切明らかにされておらず、事実かどうかすら不明です)などとして一般事務職への身分の変更か退職かを迫るという不当行為が行われ、このような不透明な行為の結果、本学の運営に関する告発本が出版される事態にも至っています。昨年度来の取り組みの結果、組合執行委員でもある大学専門職2名の雇用と身分はとりあえず維持されましたが、職員の高度化や専門化とは相反する人事政策上の動きは続いており、大学専門職自体僅か3名にまで減少させられた中、その身分や業務の安定性の確保、専門職としての評価の問題などの課題は引き続き残っており、今後も取り組みを継続します。

6.コンプライアンスに基づく労使関係確立への取り組み

 組合ニュース【公開版】を通じた度々の指摘がいくばくか功を奏したのか、多少変化の兆しのようなものも感じられますが、法人化後、大学は労働関係法制において民間同様の扱いとなったにも関わらず、事実上人事権等を掌握する市派遣幹部職員の関係法令、制度等への知識・認識の不足が本学の労使関係の底流を流れており、人事制度、制度運用、個別の雇用関係トラブルにそれが表れています。労働3法等の関係法令及びそこで保障された労働者・労働組合の権利の尊重に基づく労使関係の確立を求め取り組みを続けます。

7.組合事務室使用問題

 昨年度末の3月29日、突然、施設担当より「4月以降の組合事務室の使用について、賃貸借契約化したい。ただし、来年度に関しては賃料の支払を免除する。また、光熱水費、共益費についても徴収する。組合会議室は、組合専用でなく一般の会議室とする」等の申入れがあり、高額の賃料が記載された賃貸借契約書が一方的に提示されました。「この場でサイン出来るような問題ではない」として一旦持ち帰り、情報収集に努めたところ、その後、教員組合に対しては同様の申入れが4月に入ってから行われたこと、その一方で病院組合に対しては、一切、そのような話は来ていないことなどが分かりました。
 このため、組合との当局側の窓口となっている人事課に対して「この問題は重大な労使問題であり、賃貸契約化云々の前に、まず組合事務所の使用に関する労働協約を締結すること」、「病院組合に対しても賃貸契約化を行うのであるなら、まず病院組合に対しても同様の申入れを行い、総ての組合への説明が済んだ後で改めて話を持ってくるように」等の申入れを行いましたが、その後は当局側からは何の連絡がないまま約5ヶ月が経過しました。 8月末に、「9月に組合事務室問題について協議を行ないたい」との申入れが当局側からあり、第1回の協議を9月13日に行いましたが、当局側は賃貸借契約ではなく労働協約化することには応じましたが、その一方で、とりあえず今年度は全額免除とするものの「賃料」という項目を明記することと、毎年更新を行うことについては譲らず、現在協議を継続しているところです。組合事務所は、安定した恒常的な組合活動の基盤であり、本学のような紛争、問題が絶えない大学においては、適切な職場環境の確保や法律で認められた職員の権利保護に死活的な影響を及ぼすものです。引き続き組合事務室及び組合会議室の安定的な使用の確保のための取り組みを進めます。

8.横浜市従本部、教員組合等との連携

 本学の労働環境は、法人プロパー教職員にとって非常に厳しい、全員任期制等の国公立大学にはあるまじき状態が続いています。また、労働契約法改正問題や組合事務室使用問題という深刻な問題も新たに浮上してきました。横浜市従本部、教員組合や病院組合等との連携を深めつつ、山積する問題に取り組んでいきます。

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