1.働きやすい職場環境と職員参加の拡大について
国立大学法人制度・公立大学法人制度の発足から7年が過ぎ、大学を巡る環境は一層厳しさを増している。高等教育機関としての総合的な経営力が問われる中、特に本学においては、大学法人制度の想定を超えたレベルの設置者による直接コントロールの強化・拡大と極端なトップダウン型経営の導入により、従前より公立大学の弱点とされていた事務局機能や適切なトップダウンとボトムアップの組み合わせが不可欠な教育研究の改善等において深刻な問題を抱えている。
本来の公立大学法人として、大学の全職員が大学の民主的な運営と教育研究への取り組みに積極的に関われる環境整備と職場内におけるコミュニケーションの拡充が重要であり、教職員間のコミュニケーションを高めながら、多くの大学職員の理解と協力体制のもとに、大学教育への取り組みが進むよう運営の改善と取り組みを要望する。
【当局回答】市民が誇りうる、市民に貢献する大学となるよう、また、市民から信頼される大学として、持続可能な経営を確立していくために、所属する教職員が一丸となって大学運営に取り組んでまいります。【コメント】要求もそれに対する回答も昨年度と殆ど同様です。要求と回答は基本的にすれ違ったままであり、今後とも要求を続けていくことになります。
2.超過勤務への対応について
一昨年来、手当圧縮等の要請からくるものと思われるが、超過勤務の抑制が行われている。もちろん、超過勤務自体は削減することが望ましいが、その方策は多く個人の努力に帰せられており、組織としての合理的・効率的なマネジメントの遂行という観点が薄く、事実上のサービス残業の強制につながりかねないものとして強く懸念する。業務と残業の実態について把握と公表を行うと共に、現場の職員の要望に基づき、私立大学に比べ著しく非効率的と思われる事務局内部の意思決定や業務執行のプロセスの効率化に努めるよう要望する。
【当局回答】超過勤務削減につながる事務改善や効率的な執行体制の構築に努めてまいります。【コメント】こちらも昨年度と同様の要求ですが、回答については、昨年度の「事務改善の実績もあげられており」という部分が今年は消えています。現状認識が変わったということなのかは不明ですが、非効率的な意思決定、事務執行という構造的な要因に変化はないため、これもまた、継続要求としていきます。
3.メンタルヘルス等への対応について
詳細については不明であるが、先般、人事課より本学のメンタルヘルス等に関連して教職員の休職、復帰、ケア等に関する制度整備を行いたいとの説明があった。大学が法人化され横浜市より独立した時点で対応がされるべきであったものであり、遅ればせとは言いながら制度整備が行われること自体は歓迎する。
しかしながら、休職及び休職からの復帰が辞令による処分として行われる以上、教職員の身分、処遇に関する問題であり、それにもかかわらずその内容について組合との協議を拒否したことは遺憾である。
また、本学の場合、医療技術職を除く全教職員が任期制の下にあり、病気休職は契約更新の拒否等による失職につながる可能性があるなど、休職は必ずしも安心して療養を行う環境には結びつかない懸念がある。休職に至る以前の段階でのケア、更にはメンタルヘルス等の問題が引き起こされないような労働環境、職場環境の構築を含む労働安全対策としての総合的対応が必要であり、これらの体制整備のため、職員組合と協議を行うよう、改めて要望する。
【当局回答】今年度は、病気の早期発見・対策等に向けた教職員健康相談の開設や、休職中職員の円滑な職場復帰支援「慣らし勤務」の制度化等、メンタルヘルス対策を充実してまいりました。【コメント】今回新たに要求に加えた項目です。本来、法人化時に市の制度から切り離された時点で大学として対応しなければならなかった問題ですが、回答の通り、今年度ようやく制度整備が図られました。それ自体は評価しますが、特に休職者の復帰時の対応に重点が置かれており、全員が任期制の下にある常勤、非常勤の固有職員にとっては対応として不十分であることが問題です。非常勤職員の場合、休職という制度自体ありませんし、常勤職員の場合も、特に更新年次に休職した場合、そもそも契約更新が行われるかどうか保証の限りではないからです。休職に至る前の段階での対応、さらには、メンタルに問題を抱える職員が続発する環境の改善こそが重要であり、この点を中心に要求を続けていきます。
今後も、保健管理センターを中心として、教職員の相談体制強化やメンタルヘルス対策の拡充に努めてまいります。
4.任期制の廃止について
現在、医療技術職を除く全職員に適用されている任期制に関しては、その法的根拠は曖昧であり、国会においてもその問題点が指摘されている。
第1期中期計画期間が終了し、大学としての長期的な人事政策としても、職員の積極性やインセンティブを高める効果はかならずしも期待できず、法人化後絶えることのない職員の病気休職や退職に象徴されるように、かえってマイナスの影響の方が大きいことが明らかになったと考える。
大学の本来の目標である、質の高い教育研究の実現のためにも、本学の第1期中期計画期間の実績、民間企業の人事政策での教訓や他大学の実態を踏まえ、任期制を廃止、より適切な人事政策を検討するよう要望する。
【当局回答】任期制の運用上の課題等については、引き続き検討してまいります。【コメント】昨年度までの「職員の任期制度は、自発的な能力開発を動機づけ、職業人としての知識や経験の幅を広げていくことを趣旨としたものであり、今後も継続してまいりたい」というわけの分からない回答に比べれば意味が理解できる、また課題があることが認められている分、回答としてはましになったと言えます。ただ、依然として全員任期制という制度自体は健在であり、6年前に採用された法人化後第一期の固有常勤職員の約半数が既に退職しているなど、この問題は本学の経営上の課題の根幹をなす一つであり、引き続き要求と取り組みを続けていきます。
5.契約職員・嘱託職員雇い止め制度廃止について
契約職員、嘱託職員の多くは、実質的には不足する正職員の業務を担っており、雇い止めの強行は大学自身の経営力、大学間競争力にマイナスの影響を与えずにいられない。競争的環境の下、高等教育機関としての活動レベルの維持・向上に必要な人的資源の確保に悩む多くの地方国大が制度の撤廃や弾力的運用に動く中、本学においては、医療技術系の嘱託職員に関して例外規定を活用した雇用の延長が認められ、さらに、昨年度から職員労働組合の取り組みの成果として、契約更新期間終了後の嘱託職員について再応募が認められたが、このような弥縫策ではなく、雇い止め制度自体を撤廃するよう要望する。また、再応募の結果採用された嘱託職員については、給与、休暇等がリセットされ、新規採用者と完全に同じ扱いとなっており、この点についても改善を要望する。
【当局回答】規程に基づく運用を基本としつつ、適切な対応に努めてまいります。【コメント】再応募により再度雇用された嘱託職員に関して、有給休暇をリセットすることは、労働基準法第39条に抵触する可能性が高いと思われます。既に交渉で指摘し、当局側でもこの点につき確認中ですが、組合としてもさらに検討、必要な対応を取ります。
6.業務評価の適切な運用と本人公開の維持・改善について
各職場における実際の業務評価の運用は、透明性の問題、客観性の確保など、その困難性が民間企業の多くの失敗事例を始めとして、広く指摘されているところである。
人事運用の失敗は、職場のモラール・業務能力の深刻な低下を招くばかりでなく、職員間の反目や間違いを指摘できないような非生産的な職場環境を生み出す温床となることも危惧される。
評価制度の適切な運用、特に評価の客観性を担保するための評価者に対する専門的トレーニング及び評価の透明性を担保するための本人に対する一層詳細な評価情報(判断根拠に関する評価者の記述等)の公開を行うよう要望する。
【当局回答】人事考課制度については、一昨年度から全職員に考課結果を開示することで、人材育成や能力開発をより効果的に行えるよう取り組んでおり、引き続き、考課者研修等の充実にも取り組んでまいります。【コメント】昨年度と同様の回答で前進はありませんでした。ということで昨年度のコメントを以下に再掲します。「この問題については、現実に複数のトラブルが発生しています。「全職員に開示」されるのはあくまでも評価結果だけで、その評価が適切なものであるかどうかを検証するために必要な評価の判断根拠に関する評価者の記述は非公開のままです。「評価の透明性や客観性の確保や考課者研修」が適切なものか検証するためにも、引き続き評価の判断根拠に関する評価者の記述部分の公開を求めていきます。」(以上再掲)
大学経営に関する業務上の知識、経験を持たず、しかも2、3年で入れ替わる多数の市派遣管理職が依然として主要ポストを占める中、この問題は中長期的な大学の経営能力という点からも非常に重大です。
7.紛争処理手続きにおける客観性の確保について
本学におけるハラスメントや人事等に関する紛争処理に当たる委員会等は、基本的に学内者のみで構成されており、外部の弁護士等の客観的な第3者の参画が想定されていない。全員任期制という制度下においては、一般の教職員にとっては学内の幹部のみで構成される組織に対して各種の訴えを起こすこと自体ためらわれるケースがあり、紛争処理における客観性の確保、ひいては風通しのよい良好な職場環境の確保のために、これらの委員会等に客観的で大学及び設置者に利害関係を持たない第3者を加えるよう制度の改定を行うことを要望する。
【当局回答】プライバシーを保護し、客観性が確保された制度運用に努めてまいります。【コメント】この項も昨年度と同様の回答で前進はありません。ただ、口頭で当局側の言う「客観性」とは、紛争当事者-例えばパワハラなら被害者と加害者-以外の学内者による処理という意味であるとの説明がありました。教員とは異なり身分上の上下がはっきりしており、しかも市派遣管理職が組織の中枢を握る事務局の職員に関して、それが客観性を十分担保するものとは思えません。引き続き利害関係を持たない外部の第3者の参画を要求していきます。
8.契約職員の規程上への適切な位置づけについて
これまでも職員組合が指摘してきたように、契約職員については、関係規程上に位置づけがなく、「公立大学法人横浜市立大学契約職員雇用要綱」なる根拠・手続きの不明な一枚の文書がその存在、雇用条件等の根拠となっている。このような状態はもちろん異常であり、規程上に明確に位置づけるよう要望する。また、その際、8時30分から5時15分までの勤務時間、週5日間勤務で残業もあるという雇用条件の契約職員を非常勤職員として扱うのはいかなる意味においても無理があり、当然、常勤職員として位置づけるよう要望する。
【当局回答】契約職員の雇用条件等については、契約職員雇用要綱及び非常勤職員就業規則で定めるとおりです。【コメント】これも昨年度と同様の回答です。問題点も昨年度のままということで、コメントも再掲します。
「地方公務員は、その存在と職務権限を法令及び条例に依拠しているはずですが、大学に出向している横浜市職員にはこの法令等に関する意識の点で奇妙な傾向を示す職員が多々見られます。上でも指摘したように、職員組合が入手した「公立大学法人横浜市立大学契約職員雇用要綱」には誰がいかなる権限において定めた文書なのかが全く記載されていません。また、非常勤職員就業規則は一読すれば明らかなように嘱託職員を対象として制定された規則です。何時からこのようなことになっているのかは不明ですが、横浜市大では学則、規程等の組織のルールの作成において問題がある状況が続いており、契約職員の位置づけはその一つです。引き続き契約職員に関する適切な規程上の位置づけを求めていきます。」
8.大学専門職制度の堅持と評価の客観性、透明性の確保について
大学専門職制度は、本学の法人化に当たって大学職員の高度化、専門化の試みとして紛れもなく国内大学において先進的な取組であったが、実際には市派遣幹部職員によって制度運用段階で事実上存在しないか、単なるプロパー職員管理職に関する身分であるかのように変質させられた。さらに昨年度には、個別に一般事務職への身分変更か契約期間終了による雇い止めかを迫るなど、職員制度を地方公務員制度に同一化させるがごとき動きが見られ、結果として本学の大学運営に関する告発本『キャリア妨害』の出版につながるなどの問題を生じている。
大学専門職制度を堅持すると共に、その評価に当たっては、制度設計の趣旨に則り、その専門分野に関する業績・経験を有し、専門的見地から客観的に評価しうるものを参加させるなど、客観性・透明性を確保するための措置を取るよう要望する。
【当局回答】大学専門職の評価については、引き続き適切な対応に努めてまいります。【コメント】この問題については、度々のキャンペーンもあってか、昨年度のように契約更新該当者を個別に呼び出し、真偽も定かでない「人事委員会or理事長が大学専門職制度の廃止を決定した」という主張に基づき、一般事務職への身分変更か契約終了による退職を迫るというような事態は発生しませんでした。ただし、それ以外の、上記要求のような専門的な見地に立った評価の客観性・透明性の確保を始めとする問題についての前進はなく、教員に非常に近い大学専門職の性格(制度設計上もそれは明らかです)に応じて行われるべき運用上の諸課題は総て残ったままです。また、昨年12月で契約期間の終了した組合執行部の大学専門職2名の新規契約については、現在、組合として協議要求書を出して交渉を継続中の状態です。
10.職場の職員配置内容を明確にすること
職場の人員体制の明示は、労働環境を守る観点からも基本事項にとなる重要な問題である。職員の配置や配属のあり方においては、他大学等の調査をおこなうと共に、具体的に業務の実態を比較検討し、適切で働きやすい配置内容となるよう、要望する。また、昨年度要望に対する回答で「職員配置の変更等に際しては、職員組合とも協議してまいりたい」とされたが、実際にはその後、組合との協議は行われておらず、昨年度回答に従った対応を求める。
【当局回答】職員の配置にあたっては、今後とも効率的な執行体制を目指して必用な対応を行ってまいります。【コメント】昨年度の回答では「職員配置の変更等に際しては、職員組合とも協議してまいりたい」とありましたが、現実にその回答に添った対応はなされないまま、今年度の回答では組合との協議云々と言う表現は消えてしまい、昨年度より後退した内容となってしまいました。
また、組合が「適切な」配置を求めているのに対し、当局側回答では「効率的な」執行体制とあるように、職員配置の基準自体が食い違っています(当局側の言う「効率的」が本当に「効率的」なのかも問題ですが)。組合としては業務量に見合った職員配置を原則として今後も要求を続けます。
11.職員の配転基準の明確化について
職員の配置基準についての骨格を明示するとともに組合と事前に協議するよう要望する。
職員配転に当たっては、職員のキャリア形成を図る観点からも、中・長期的な視点のなかで仕事に取り組めるような配転等の基準を要望する。
【当局回答】職員の人事異動の考え方は「人事異動の基本方針」に示しており、今後とも職員の人材育成や能力活用等を目指した異動を行ってまいります。【コメント】「公立大学法人横浜市立大学職員の人事異動の基本方針」は、係長以下の法人固有職員を対象としたもので、3年から7年を目安に異動等、ごく簡単なローテーションの原則等が示されたものです。それだけでは異動に関する総てを網羅しうるものではありませんが、とりあえず、一応「ただし、職場の執行体制の確保等、特別な事情がある場合はこの限りではない」という断りはあるものの、実際には職場体制の考慮という点で疑問のある異動が行われていること、また、「特段の理由がある場合又は緊急に人事異動を必要とする場合は、本基本方針とは別に扱う」としながらも、実際に固有職員が病気やトラブルなどで異動が望ましい状況に陥ってもこの項が活用されることは困難という2点を問題として指摘しておきます。また、最大の問題点としては、学内のグループウェアであるYcu-netの人事関係のファイルにはこの基本方針が見当たらず、内部検索をかけても出てこないことでしょうか。「横浜市大」、「人事異動の基本方針」でGoogle検索を行うと職員組合の3年ほど前のこの問題を取り上げた記事「「人事異動の基本方針(案)」について」が最初に引っかかって、そこのリンクからたどれるようになってはいますが、他の方法ではそもそも文書自体が見つからないと思われます。
12.人材育成について
本学に限らないが、公立大学における職員の育成は国立大学、私立大学に比べ大きく遅れをとっている。本学に関しては、人材の長期的育成と矛盾する全員任期制の存在が根本的な問題ではあるが、単なる資格取得などに留まらない、大学という独自のミッションと組織的特性を持った組織のスタッフとしての意識、能力の育成を目的として人材育成に取り組むよう要望する。
【当局回答】本学の人材育成プラン等に基づき、今後とも職員育成に取り組んでまいります。【コメント】タイトル、項目を見る限り非常に立派な「人材育成プラン」が確かに存在しています。ただし、上記の組合の要求のように、それが本当に「大学という独自のミッションと組織的特性を持った組織のスタッフとしての意識、能力の育成」を目指して設計・運用されているのかは疑問が残ります。経営・研究等に関して職員に必要な知識として真っ先に挙げられているのが、地方独立行政法人法であるという一点からも首を傾げざるを得ません。どこを向いて必要とされている知識なのでしょうか。
13.障害者の雇用について
昨年度、多数の障害者の方が職員として雇用された模様であるが、これらの方のサポートが各部署任せになっているという指摘がある。大学としてのサポート体制等の現状について説明を行うよう要望する。
【当局回答】障害者雇用については、各職場とも十分連携しながら取り組んでまいります。【コメント】この点については、雇用開始より時間がまだあまり経っていない状況で、各部署と連携して情報を集めているところであるという説明がありました。それ自体は了としますが、やはり人事課が主体となって責任あるサポートを行う必要があると考えます。この問題に限らず、本学の場合、市派遣管理職が統括する企画、総務、財務、人事、経理等の法人経営に関連する部門で、通常であれば当然その部署が担当する業務を現場の各部署・担当者に投げようとする傾向が目に付きます。その一方でこれらの部門は年々拡大傾向にあり、公立大学や私立大学の基準で考えると肥大気味で非常に不思議です。
14.派遣社員の対応について
各職場における派遣社員の配置においては、その必要性や運用の効果と課題を見極め、職場内で十分な論議をおこなうとともに、慎重な対応を要望する。また、職場における変更事項として、変更が生じた場合には組合に事前提案をおこなうよう要望する。加えて、昨年度センター病院における派遣社員の取り扱いに関して労基署の指導があった模様であるが、これを受け大学として派遣社員に関してどのような見直しが行われているのか、現状について説明を行うよう要望する。
【当局回答】人材派遣については、労働者派遣法に基づき、適切に運用してまいります。【コメント】労基署の指摘との関係で法律に基づいた運用が約束されましたが、それ以外は無回答でした。全体のデータが不明なため確たることは言えないのですが、派遣社員の数が依然として増加を続けている印象もあり、10.の職員の適切な配置とも関連することから引き続き要求を続けます。
15.教室業務に係る出張手続きついて
昨年度、医学部教室における業務出張について、大学の出張として認められないケースがあり、事故の際の取扱等の問題もあり、大学の業務として事務手続き上も位置づけるよう要望を行った。この項については、改善が行われた模様であるという情報も一部から寄せられているが、全体の対応の確認が取れないため、改めて要望を行う。
【当局回答】出張手続きについては、当該担当課で、本学規程に基づいた事務処理を行っており、今後とも、適切な事務手続きに努めてまいります。【コメント】説明では、以前から規則上は大学の出張であるはずだという説明でした。だとすると規則通りの運用がなされていなかったところ、運用が改善されたということになります。ただ、個別の教室内部で完全に規則通りの事務運用が行われているかどうかまでは、組合も当局側も把握し切れていませんので、もし、以前として大学としての出張とされていないケースがありましたら組合までご相談ください。
16.コンプライアンス重視の経営の確立について
法人化以後、学位授与等を巡る問題などで本学のコンプライアンスが問題となった。その一方で労働三法を始めとする労働関係法規に関する法人化以降の本学の対応の問題は、社会的には明らかになっていないため批判を受けるようなことにはなっていないが、非常に問題のある状態が続いている。
これまでの労基法の改正に対する対応や育児休業・介護休業等に関する法改正に対する対応にも現れたように、法人化された大学においては(地方公務員法等ではなく)基本的に民間企業と同様の労働関係法規が適用されるにもかかわらず、そもそも関係法規をきちんと読んでいないと思われるケースや、民間の雇用の基本的ルールである「契約」という概念を理解していないのではないかと思われるケースなど、法人化された大学の運営の前提となる法的リテラシーに関して担当部署、市派遣幹部職員等の理解には危惧を覚えざるを得ない。本来の意味でのコンプライアンス(法令に則った組織運営)を徹底させるよう要望する。
【当局回答】今後ともコンプライアンスの推進に努めてまいります。【コメント】心からそう望みます。
17.給与システム等人事システムの信頼性の確立について
昨年度の職員組合のチェックオフに関する誤り(職員組合とは何の関係もない付属病院教員が何故か大量に職員組合員として登録、問題発覚の翌月も同様のミスが繰り返され、しかも原因は最終的に組合に対し明らかにされていない)や福浦キャンパスの臨床系教員の諸手当について間違いが頻発しているなどの状況は、給与システム等人事システムの信頼性に対し不安を覚えさせるものである。以上については当事者の組合や教員側が気づけば是正可能な問題ではあるが(もちろん本来あってはならないミスである)、一般的な月々の給与・手当等の支給額が正確かどうかなどは各教職員にとって確認の困難な問題であり、信頼しうるシステムの存在は教職員が安心して業務に取り組むための大前提である。給与システム、給与等の処理に関する作業手続き等人事システムの信頼性の確立を要望する。
この問題については、今年度、職員組合が協議要求書を提出しているにも拘らず、いまだに協議が実現していない。関係システムの更新が予定されているとのことであるが、問題は情報システムのみに帰すべきものとも思われず、協議要求に応ずるよう求める。
【当局回答】人事給与システムについては、現在、再構築を進めているところであり、引き続き適切な事務処理に努めてまいります。【コメント】この問題については、回答の通り、ハード面での改善が図られているところです。法人化時に、課どころか係単位で(相互の調整や全体設計を伴わずに)ばらばらに違う会社のシステムを入れたという話が事実であるなら、事故が起こるのは当たり前で、ハード面での改善が図られることは大きな前進です。とは言うものの、総ての問題がハードのみに起因するとも思われず、昨年6月に出した協議要求が棚上げになったままであることから、引き続き協議要求を続けます。
18.昼食時間中の拘束性の高い入試業務においては、従事者に弁当を支給することについて
入試の実施に際しては、安全・公正な実施環境の保持のため、従事者の不要な外出を制限し、試験本部等の限られた場所と時間において、拘束性の高い状態で昼食を取れるように配慮する必要がある。2年前に公費での弁当支給が一律に認められなくなったが、実情に応じて必要な弁当の公費負担を認めるように要望する。
特に、全国一律にタイトな実施時間が定められている事などにより、円滑な実施の為には組織的な弁当の手配が不可欠となっている大学入試センター試験においては、現状は従事者から私費負担で代金徴収を徴収して対応しているが、金銭管理や運営負担などの点から看過しがたい問題であり、すみやかな協議を求める。
【当局回答】現状でご理解願います。【コメント】なぜ不可能なのか全く理由を示さず、極めて不誠実な回答内容であるため、 当局への協議・交渉を求めています。
19.施設整備・管理に関する体制の整備
金沢八景キャンパスにおける校舎の建て替え、耐震工事等が計画されている模様であるが、これらの計画及びその前提となる本学の施設整備に関する中長期的考えについて、学内に対する説明や学内外に対する情報公開を要望する。
【当局回答】学内の諸会議やYCU-net等を通じて、適宜情報提供に努めてまいります。【コメント】回答の通り、校舎の建て替え、耐震工事等について学内に情報は公開されているはずという説明でしたが、YCU-netには管見の限りそのような項目は見当たらず、また、経営審議会、教育研究審議会、合同調整会議、教育研究会議の会議資料の議事事項を見る限りでも殆ど情報はありません。それ以前の問題として、会議の内容や資料を調べようとすると、いちいちPDFファイルを全部開いて中を見なければ分からないという時点であまりにもユーザビリティ無視だと思われますが。
20.災害発生時等の対応について
夏季の節電への取り組みなどにおいても同様の傾向が見られたが、本学の災害発生時の対応について、本来大学として責任を持った統一的な対応が求められる場面、例えば先日の台風15号接近時の対応などにおいて、実際には課、係といった個別部署単位での判断に任されている事例があるようである。学生はもちろんのこと、勤務する教職員の安全の確保という観点から、単なる文書としての危機管理マニュアルの作成に止まらない現実レベルでの実効的な対応が確保されるよう、責任ある体制の確立を要望する。また、関連して現状においては大学として把握していないとされている非常勤職員、派遣社員等の各部署での配置状況について、大学として統一的に把握するよう要望する。
【当局回答】学生及び教職員の安全確保という観点からも、災害発生時の対応について、学内の意識をより高めていくことが重要と認識しており、今後とも適切な対応に努めてまいります。【コメント】意識の問題よりも、組織として最悪を含め様々なケースを想定し、それに対して都合のいい仮定は抜きにして実行可能な対応を策定するとともに、事前に可能な準備は整え、それらを学生、教職員に周知することが必要なはずです。
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